アメブロを読み始めたのは、自分が子宮体癌の疑いと言われてからであったが、そもそも最初にかかった小さなレディースクリニックでは、体癌の検査まではできなかったのだ。

 

体癌の検査は子宮内部をがりがりと削って組織を取る、というもので、それはもう痛いので、子宮頸がんの検査はちゃちゃっとやってくれたのだが、それはどうも白だったらしい。

 

それでもMRIを取るように指示を出した年配の女医先生は、確率的に「子宮体癌」を最初から念頭に入れていたとしか思えず、MRIの結果を見ながら、「これは絶対子宮体癌。取れば治るから早く大きな病院に行って」
 

と断言し、現在のところ、先生のおっしゃった通りの経緯をたどっている。

 

まあ、その後、自分でもちょろっと調べて分かったのは、「子宮体癌」っていうのは、50代~60代が発症のピーク。

 

婦人科医のまるぽこ先生によれば、「体癌は関取(デブ)が多い」とのことなのだが、結局のところ、体格がいい、というのは、子供の頃から大柄だった人が多いだろうから、初潮(初めての生理)も早いはず。エストロゲンに一定年数さらされると、発症リスクが上がるのではないかと思われる。

 

と、なれば、最初から、「年齢的にも体格的にも体癌のリスクが高そうな患者がやってきたぞー」と老女医先生は思ったに違いない。

 

その眼力は大正解であった。

なので受診から診断までは早かったし、その後かかった大学病院のせっかちな担当医のおかげで、手術も最短で行われている。

 

 

で、この間ちょっとネットで気になる記事を見つけた。

そのまま引用してみる。(以下、引用部分は青字)

 

子宮全摘から大腸ポリープ、膣がん、大腸がんをはじめ、さまざまな病と闘い、「実は入院手術歴豊富」というフリーアナウンサーの吉川美代子さん。1999年、45歳で子宮の粘膜下筋腫の手術。  この病気では、お腹に22cmにもおよぶ開腹手術を受け、子宮卵巣を摘出。2011年、57歳のときには、会社(TBS)で受けた検診で良性の大腸ポリープが見つかり、すぐに内視鏡手術で摘出。

 

子宮、卵巣を摘出したところは私と同じなんだが、年齢が違うのと、吉川さんはガンではない。良性腫瘍の摘出だ。

 

しかし翌年、58歳のときには、膣がんを発症してしまう。

「全摘して子宮がないのに不正出血したんです。嫌な予感がして、婦人科で診てもらいました。12年間定期的に通っている信頼するクリニックでした」

 診察を受けたが、ドクターからは「年齢的なものだろう。問題なし」の返事。それでも心配で再検査を申請し、それでも心配で1か月後に再度診察を受けたが、やはり異常なしとの診断。

 

「ドクターからは“吉川さんは神経質すぎる。僕の診断を信じないのか!”と言われました。でも絶対に何かおかしいと思い、セカンドオピニオンを申し出て紹介状とレントゲンやMRI(磁気共鳴検査)などのデータの提供を頼んだら、本当に嫌な顔をされてしまいました」

ここからが私とちょっと似ている。

子宮がないのに、不正出血。

 

ただし、私の場合は、子宮体癌の経過観察期間だったため、主治医はすぐに膣内の腫瘍の生検を行ってくれ、そこからがん細胞が発見されたので、子宮体癌の膣内再発、と診断。

 

このあたり私もよくわからないのだが、膣にガンができたからと言って、どうも私は「膣ガン」じゃないようなんである。珍しいことは珍しいのだが、ほかの箇所にガンがあって、膣内にも再発するというのは、「膣が原発」のガンに比べると、希少じゃないみたいなのだ。

 

主治医も最初の頃こそ「めったにない」「珍しい」「おかしい」と言っていたものの、最近はそうでもなくて、「たまにあるよー」に代わってきているのは、おそらくではあるが、同僚とか先輩、上司等に「僕の患者さん、子宮体癌が膣内に再発しちゃって」って聞きまくくったのでは。そうしたら「え、私の患者さんのもそういう人はいるよ」「そこまで珍しくない」って言われたんじゃなかろうか。

 

 セカンドオピニオンはどこがいいか、TBS報道局の医療担当記者に相談したら、


「“膣がんかもしれない。珍しいがんだから経験豊富ながんの専門医に診てもらうべき”と言われました」

 記者が紹介してくれたのはがん研有明病院。

 

「診察したとたんに、“腫瘍があるようです”と言われて。それで細胞を取ってチェック。1週間後、“悪性でした。ごく初期のがんです。すぐ来院してください”という電話を受けました」

 

おお。医療担当記者すごいな。

医者でもないし、内診もしてないのに、「膣がんでは」と病名ズバリ当ててるし。

しかも珍しいがん、っていうのも分かっている。

 

吉川さんは有明病院で、すぐに「腫瘍があるようです」と言われたわけだか、腫瘍自体は行きつけのクリニックを受診したときからあったはずだ。だって、子宮もないのに出血があったわけで、つまり、膣内の腫瘍はそこそこ大きくなってて出血してたってこと。

 

結局、クリニックの医者は、おそらくはベテランだっただろうから、「膣ガンはかなり珍しい」という先入観があって、吉川さんが膣ガンである、という可能性を否定したんだろうなあ。

 

否定するのはまあ、いいんだが、MRIまで撮っておきながら(吉川さんからの再検査の要求に応えて)、細胞診はしてなかったのか。

よっぽど、膣ガンの可能性は考えてなかったんだろうな。

だったらいっそ、再検査の要求にもこたえなきゃいいのに、MRIってお高い検査を入れたのは何なんだ。

 

科学者ってのは、「疑い、仮定し、実際に検証する」んじゃないのか。

医者に向いてないんじゃなかろうか。

 

私の場合は、そもそもガンで経過観察だったので、風邪をひいて咳き込めば、「肺のCT撮ろう」と言われるし、膣内にできものかできれば、「とにかく細胞とって生検」となったわけだ。

 

医者に「僕の診断が信じられないのか」と詰め寄られて、「その通りじゃ。信用できんわ」と自分を貫ける患者って実はそうそういないと思う。

 

そもそも、私たちは「ガンだったらいいなー」なんて思っているわけじゃないので、信頼している先生が、「なんともないよ。大丈夫」と言ったら、それ以上検査なんてしたくないし、ましてや、セカンドオピニオンなんて先生と対立してまで受けたくはない。

 

吉川さんはそこで楽な道を選ばなかった。

その結果、珍しい「膣ガン」で、早めに除去したから、吉川さんは今も元気に活躍なさっている。

 

で、ちょっと思ったんだが、吉川さん、そのクリニックの先生に、「有明まで行ってみてもらいましたが、膣ガンでした。放っておいたら危ないところでした」って伝えに行ったんだろうか。

 

もちろん、有明から紹介された病院に結果報告は言ってると思うんだけれど。

 

なんか吉川さんだったら、行ったような気がしている。

文句を言いに行くんじゃなくて、「医者を育てなくては」って使命感で。