田舎で生まれ育ったので、移動手段と言えば車である。

 

鉄道はめったに使わないので、小学校の修学旅行の時は新幹線に乗る練習だ、ということで、体育館にパイプ椅子を置いて、白い紐で新幹線の車体を模して粛々とみんなで乗る練習をした。

その代わり、というわけでもないが、どこに行くのも車なので、車には毎日のように乗っていた。

 

田舎道を走っていると、対向車がパッシングしてくることがある。

「あれはなんだ」と父親に聞いたら、

 

「ポリ公がネズミ捕りを仕掛けているから気を付けろ、と親切に教えてくれているんだ」

と言う。

 

ウチの父親は至って真面目な人であり、反社でもなんでもないんだが、物陰に隠れてスピード違反の取り締まりをする警察を忌み嫌っていた。

 

 

教えてもらうだけじゃなくて、こちらからも教えてあげるのがマナーだそうで、張り込みを見つけたら対向車にパッシングして教える。

相手は軽く片手をあげて「わかった」と挨拶するまでがワンセットなんだが、自分が運転するようになってから、

 

「このルールって全国的なもんなんだろうか」

と考え込んでいる。

 

私の故郷では、通常学生のうちに運転免許を取得する。なので高校最後の春休みに友人同士誘い合わせの上、自動車学校に行く子が多いのだが、私は受験があったため、春休みはないも同然。

 

まあ、そういう子も結構いるのだが進学する場合は、大学生のうちに取ったっていいのである。

要は自動車免許って結構時間がかかるので働き始めてから取得すると大変なのだ。

仕事が終わってから夜間の講習を受けるとなると混み合っていて予約取れないし。

 

私は東京の教習所で免許を取得したが、それから25年くらいペーパードライバーだった。

 

再び乗り始めたのはここ10年くらいなんだが、旅行以外では関東近辺しか運転していない。

で、(道を譲ってくれる場合以外で)対向車がパッシングしてくることなんざ一度もないし、うっかりパッシングなんかしようものなら因縁つけているのかと間違えられそうだ。

 

なので父から教えられたルールというかマナーは実行したことがないのであるが、私の好きなスーパーに行く道に、いつも警察官が2名ほどで張っている場所がある。

 

そこは直進する車は右車線に、左折する車は直進車線に、という初心者にはわかりにくい三叉路で、表示は特に出ていないが、道路に矢印が書いてあるだけ、という場所である。

 

これって、道路を色分けしてわかりやすくするとか、電柱に標識立てれば間違える人が減るんじゃないのか。

 

もちろん知っている人、というか近所に住んでいる人はわかっているので間違えることはないんだが、たまにつかまっている人がいるので、まさに「ネズミ捕り」だなーと思って見ている。