
子宮体癌の手術をしてからしばらくして、近所の美容院に髪を切りに行った。
歩くのには不自由はなくなっていたが、腰をかがめたり腹筋を使うのは少しギクシャクする。
美容院は髪を洗ってもらうとき、リクライニングする椅子で仰向けになる。
一応事前申告しておいた方がいいだろうと思い、
「お腹の手術したからもう痛くはないんだけれど腹筋使うのは時間がかかるよ(そのあたり了解しておいてね)」
と話しておいた。
それから世間話的に入院の話になったわけだが、大学病院に入院していた、というと
「えー。なんか大学病院って大勢の先生方にモルモットにされそうで怖い」という。
個人的意見だが、それは人によるのでは。
例えば私の場合、50歳過ぎて閉経後に子宮体癌が見つかった、というある意味子宮体癌の王道ど真ん中である。
こう言ってはなんだが、医師から見たら珍しくもなんともない。
ステージはⅠだったので、今のところは抗がん剤もない。
一か月も入院していたが、基本的に主治医の小豆先生メインで診てもらった。研修医の先生とか、実習生がわらわら、ということもなかった。
モルモットの対象にもなっていなかったということか。
教授回診的なものは一応あるんだが、王道患者なので教授先生の注意を引くこともなく、
「順調ですね。何か困ったこととかありませんか?」で終了。
何かの研究材料にされたとか、実験台にされたという感覚は全くなく、私主体の治療を受けたのみという感想である。
別に大学病院だからってほかの 病院と違うってわけでもない。
なんてことをまだ若い美容師さんに説明したところで、今後彼女の人生の役に立つかどうかはわからない。
ほとんどの人は大学病院で手術なんかしないで年を取ってなくなっていくのだ。
大学病院らしいな、と思うのは、入院した時、同室の皆様が結構重症だったり、大学病院にたどり着くまで右往左往しながらほかの病院を経由してやってきているあたりか。
私もそこそこ病気持ちなんだが、入院してほかの患者さんの病状を聞いていると(大部屋なのでまるわかり)私なんかはありふれた患者なんだな、と思ってしまう。
なので、入院中はナースコールは極力押さないとか、自分のことは自分でやる、なんて方向になっていくのだ。