川柳 くろがね 11月号

創刊900号記念 特集号

 (川柳くろがね吟社・古谷龍太郎)

 

ニコニコ 巻頭言 

 誌齢900号を迎えて ・・・ 古谷龍太郎

 昭和4年2月創刊以来第二次世界大戦による長い休刊は

ありましたものの昭和28年の復刊を経てここに900号を

迎えることとなりました。先達の血のにじむような努力と

同人誌友の支援、全国の柳友諸兄姉のご指導ご鞭撻の

賜物と感謝しております。(略)

 

ニヤリ くろがね900記念号に寄せて ・・・ 大場 可公

 9月に、熊本ふんえん誌の重たい800号を手にしたばかり。

今度のくろがね900号、拍手とともに心からの祝意を申し上げます。

 

 創刊900号記念誌上川柳大会

   投句者 185名  (宮崎からは7名)

 

 入選句の中から少しだけ掲載

 

「 九 」  大田かつら 選

秀) 九条の二項が紙魚に狙われる  (山田こいし)

九条の安全装置開ける音 (柴﨑 幸風)

九分九厘火の輪くぐった戦中派 (主税みずほ)

九分九厘信じた手術今がある (七條 美千)

重陽の節句忘れぬ曼珠沙華 (真島 清弘)

 

「 継 ぐ」  西村 正紘 選

秀)跡継ぎに村中の声ありがとう (佐渡由利子)

笑い皺継ぎ足しながら」生きている (外園ピアノ)

ジャンケンに負けて跡継ぎ引き受ける (石田 酎)

皺の位置まで受け継いで母の齢 (平瀬 芙蓉)

とりあえず継いでみました三代目 (間瀬田紋章)

 

「 たっぷり」  永石 珠子 選

秀)たっぷりの煩悩生きている証し (山下 華子)

米櫃もダムもたっぷりある平和 (中山 仁美)

事故まではたっぷりあったはずの明日 (松本 清展)

たっぷりとお乳の足りた子の寝顔 (西岡 南風)

再会を語り明かしてまだ足りず (麻井 文博)

 

「 貫 く 」  平田 朝子 選

秀)清貧を貫き故郷には基金 (石神 紅雀)

祝い膳貫き通す鶴と亀  (緒方 正堂)

三兄弟結びつけてる母の串 (植村 克志)

一族の骨格見せる老紳士 (山口由利子)

黒は黒貫く人の強い語尾 (藤井 英坊)

 

「 願 う 」  安部 征二 選

秀)流れ星よっしゃよっしゃと消えてゆく (時津みつこ)

ときめきの出会いが欲しい老いの毬 (弘津 明子)

いま一度逢いたい花が褪せぬまま (松村 華菜)

願いごと一つにせよと絵馬笑う (青野 舞)

拉致の子へ一度逢いたい母米寿 (徳永 勝馬)

 

「 真 剣 」  西岡 南風 選

秀)御柱落とす天地が息をのむ (渡邊 桂太)

真剣に紙の兵隊戦った (間瀬田紋章)

じりじりと本気になっていく眉間 (中村 鈴女)

正座して真剣に聞く遺言書 (矢村なお美)

真剣になるほど落ちる丸木橋 (西 ほたか)

 

「 すいすい 」 石神 紅雀 選

秀)余る螺子すいすい回る扇風機 (吉富 廣)

すいすいと昇った梯子外される (中山 和)

すいすいと出来ず嫁の手温かい (松本 宏子)

すいすいと迷わず行ける縄のれん (村田 君代)

すいすいと焼香進む義理の通夜 (間瀬田紋章)

 

「 台 頭 」  古谷龍太郎 選

秀)ルーキーの急追亀を走らせる (廣永 雅彦)

次世代のホープゆっくり目を覚ます (古野つとむ)

新人の意見ミントの風が吹く (真島美智子)

台頭の先に見えてる滑り台 (前川 真)

貧困が右派の台頭許してる (島尻 卓)