川柳 ふんえん No、800記念号

平成28年噴煙九州誌上川柳大会号

(川柳噴煙吟社・平田朝子)

  

 

 6月開催予定の800号記念大会は、

熊本大地震の為、誌上大会に変更となり

全国より377名の応募があり、心から

感謝し、厚く御礼申し上げます。(朝子)

 

「案外」 真島久美子(佐賀) 選

天)どん底を案外知らぬ深海魚(土屋起世子)

 逃げないで跳んだあの日の水溜まり(江藤九州男)

 案外と奥が深いぞだんごむし(甲斐雅人)

 案外に親孝行なリーゼント(さわだまゆみ)

 

「案外」 泉 談亭(大分) 選

天)つなぐ手にヒトはどんどん強くなる(石神紅雀)

 出来ちゃった婚を両家に喜ばれ(永石珠子)

 案外は案外として受け入れる(岩切義山)

 素顔の私案外人にわからない(桜木えり)

 

「預ける」 麻井 文博(鹿児島) 選

天)浮雲に託す余生と知ってから(梅﨑流青)

 九条をハトに預けた日の誤算(主税みずほ)

 儲け話に乗った預金が戻らない(古閑萬風)

 歯痒さも預けて送る義援金(月波与生)

 

「預ける」 植村 克志(福岡) 選

天)任せよう火の輪をぬけて来た人だ(梶田隆男)

 介護2の母を預けて疼く夜(日髙賀邁)

 神様へいのち預けている余震(北村あじさい)

 故郷に預けたままの赤い靴(太田ちかよし)

 

「やれやれ」 永石 珠子(長崎) 選

天)子も自立やれやれ寡婦の荷が降りる(松本宏子)

 一先ずは仮説にホッと老い二人(矢村なお美)

 子育てがすんで介護の親が待つ(平瀬芙蓉)

 やれやれを繰り返しつつ老いの坂(七條美千)

 

「やれやれ」 中原たかお(熊本) 選

天)宮仕え終え人間のスケジュール(太田玉流川)

 強情を通した背中泣いている(肥田木聞明)

 ゼブラゾーンの上で安心してしまう(赤松ますみ)

 徘徊のあとはぐっすり眠る母(三宅保州)

 

「 魂 」 西岡 南風(宮崎) 選

天)魂を売った話が錆びている(間瀬田紋章)

 魂だってくよくよしてもいいんだよ(高峰桂介)

 入魂の筆命名の名前かく(阪本ちえこ)

 職人の魂脈打つ町工場(棧 舜吉)

 

「 魂 」 緒方 正堂(熊本) 選

天)魂祭やがて行きつく列に居る (中村鈴子)

 貸し借りを終えて魂正座する(小代千代子)

 魂がまだふらついている自撮り(平田朝子)

 いびつなる魂神の処方箋(齊藤なが月)

 

「 八 」 古谷龍太郎(福岡) 選

 天)八月の空に晶子の詩が浮かぶ(沢田正司)

 八月を絞ると海の味がする(加藤ゆみ子)

 八合目から慢心が止まらない(細山田吐夢)

 八方の果てへ響いている軍靴(間瀬田紋章)

 

「 八 」 平田 朝子(熊本) 選

 天)一号から生きて八百号祝う(安永理石)

 柿八年姉が他人になっていく(梅﨑流青)

 八人目の敵はわたしの海馬かも(冨永紗智子)

 八月になると引き揚げ語る父(徳丸浩二)

  

「自由詠」 田口 麦彦(熊本) 選

 天)ケネディもマドンナもいる我が書斎(覧のぶなが)

 いい季節美女と素足とサングラス(いとうゆうこ)

 脱退を選び結果に狼狽える(松本清展)

 少子化で愛のシャワーを浴びる子等(中山 和)

 

 

誌友募集中 (一般)月額 500円

郵便風振替え  01990-1-4785

名義      川柳噴煙吟社