川柳 くすのき 新春号 (第112号)

   (川柳楠の会・冨永紗智子


    
     

  


 旗 くすの葉  「新春に向けて」  … 水谷そう美

     新年、明けましておめでとうございます。

    日本語の広さ、深さに触れる機会を与えて下さった

    先輩の方々、句を通してたくさんの励みをくださる

    皆様のご多幸をお祈りいたします。


      新年の手元へ皮膚のやわらかさ  そう美



 旗 新樹抄(秋季号) 推薦と鑑賞 … 松永 千秋

    骨壷は奮発したのよ あなた  長井すみ子

     ※ 身近な人が突然この世からいなくなるとい

       寂しさ空しさ。奮発したと遺影に語りかける。

       やっと自分を取り戻し心にゆとりが出来たのか。



 旗 近詠 自選句抄 新 樹


    みぞおちの辺りに鬼を飼っている  横尾 信雄

    鍵束の一つ一つに欲がある     渡辺 桂太

    風船が萎んでからの風あたり     石田  酎

    ポケットの中で男の汗を知る     糸山好太郎

    ハンドルを捨てて地蔵の話聞く    井上 俊一

    人間の扉がうまく開きません     太田黒文采

    大丈夫まだ雑音が入る耳       楠根はるえ

    どんぐりがやっと止まった崖っぷち  黒川 孤遊

    好きですと言わないためのハッカ飴 さわだまゆみ

    ヘイダーリン尻尾が垂れておりますよ 柴田 美都

    薄氷へ開き直った人生譜        主税みずほ

    お節介あっさり反故にされている   中村 鈴女

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 旗 誌上課題吟 「今」    平井 翔子 選


    秀3句) 今ここで泣けば負けだと知っている  平本つね子

          生きている今を大事に老いの日々  森園かな女

          今だから言える今なら笑えます    冨永紗智子



 旗 血涙記「船還るまで」

      河村露村女      …    黒川 孤遊


 旗 くすの木陰で ⑥     …    梅崎 流青