たゆたえども沈まず | 月は東に日は西に

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だいたい本とサッカーの話です。

 原田マハ著。幻冬舎刊。

 「天才画家ゴッホと、日本人画商・林忠正。二人の出会いが世界を変える一枚を生んだ」という、原田マハによる史実を踏まえた創作アート小説。

 原田マハ氏はフリーのキュレーターで、ゴッホにおける日本画の影響を踏まえ、ゴッホ兄弟の悲劇的な生と絵の根元について、オリジナルの登場人物を橋渡しとして描きだす。

 「たゆたえとも沈まず」とは、パリの標語で、セーヌ川にふ浮かぶ船を表す。もとはラテン語だという。

 このフレーズはなぜか自分には高校生の頃から頭にあって、この本を読もうと思ったきっかけでもあった。


 正直に言うと、この史実を踏まえたノットエンタメかつフィクションというジャンルはどうも苦手で、原田マハ氏の絵に関する描写はさすがと思うものの、それ以外の構成(例えば三人称神の視点による地の文という文体)が自分にとっては違和感があり、物語世界にあまり入り込めなかった。

 ので、感想らしきものがなかなか出てこないのだが、良い創作であるとは思うので、例えば高校生の頃読んでいればまた違う感想になったのかな、と思う次第である。