よみがえれ!徳島ヴォルティス | 月は東に日は西に

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だいたい本とサッカーの話です。

 徳島ヴォルティスが苦しんでいる。

 開幕戦惨敗から監督解任、岡田強化本部長の辞任、島川の引退、西谷の契約解除。そして昨日の6対1の大敗。

 ファン・サポーターの生の呟きが流れるXのタイムラインでは、概ねその原因や状況についての認識は共有できているのだが、未だにチームからの説明はなく、コメントで自分に矢印を向け続ける選手たちとの深い溝があるように思う。

 このため、どうしてこうなってしまったか、できる限り客観的に振り返ってみたい。


1 スペイン路線の成功と挫折

 ここ数年の徳島ヴォルティスについて語るとき、リカルド・ロドリゲス監督の招聘に始まるスペイン路線は話の大前提となっている。

 2013年の小林監督によるJ1昇格は、守備を固めてカウンターで勝ち抜く、いわば弱者のスタイルだった。

 地方の弱小チームが勝利を手にするためには弱者のサッカーをするしかない、そんな思い込みを覆したのが、リカルドの持ち込んだポジショナルなサッカーだった。

 それまで相手の攻撃を凌いで凌いで、少ないチャンスをものにするろ他なかった徳島が、常にボールを支配し、ずっと優勢に試合を進める(ように見える)サッカーをして、そして毎年のように昇格レースで競う姿は、物凄く魅力的だった。

 そしてそのチーム強化方針は、岡田強化本部長の発信による「育成型」のチームづくりが、海外サッカーがメインの著名なサッカー誌「footballista」において紹介されることで、徳島サポーターの自信にも繋がった。

 他のどこでもない、徳島ならではのサッカーは、県外の戦術を重視するサッカーファンからも注目を誘い、彼らの高評価によって、徳島のファン・サポーターも単なる応援団の域を越え、現代サッカー、特にスペイン式の戦術に詳しくなるなど、ある意味特異な「徳島のサッカー感」が出来上がってしまった。

 それは2023シーズン、ガンバ大阪にボヤトス監督が引き抜かれた後任に、スペイン一部レアルソシエダの戦術担当コーチであるベニャート・ラバイン氏が就任したことで、ファン・サポーターにとっての「我らのサッカー」に対する興奮は頂点に達した。


2 2023年の失敗

 柿谷曜一朗と渡大生、往年のエースの復帰もあり、期待をかけた2023シーズンは、残念ながらその期待どおりとはならなかった。

 試合前半はボールを保持し得点はするものの、後半に入ると相手にウィークポイントを的確に突かれ、修正することのできないまま勝ちきれない試合が続いた。

 原因を求めるならば、ラバインの監督としての経験不足と日本人選手の特性とのすれ違いが挙げられる。思い返せば、リカルドやボヤトスのときには、その干渉役となり、言語化し、チームをまとめたスーパーな選手「岩尾憲」がいた。しかし、岩尾はもういない。

 チームは勝てなかった。しかし、ラバインを変えろ、という声は大きくならなかった。なにせまだ若い30台だし、ポテンシャルは他の比ではない。加えて、 ついに最下位となっても、チームから監督交代の話は出てこなかった。

 もうこれはベニと心中かな、と思い始めた頃、ようやくチームが勝利した。しかしながら、よしこれから、というタイミングで、ラバイン解任の報が入った。

 後任は、吉田達磨氏。前年、J2甲府を天皇杯王者に導いたその人である。

 吉田新監督率いるヴォルティスは、磐田戦に勝利し降格圏を脱出。2023年のJ2残留を勝ち取った。


3 吉田達磨という人

 残留を勝ち取った吉田達磨氏だが、彼を迎えたファン・サポーターの心情は複雑だった。

 リカルド監督が浦和に引き抜かれた2020年末、後任として報道に名が上がったことのある吉田監督だが、それまで監督に就任した新潟や柏でいずれも降格を招き、前年天皇杯優勝した甲府でも、リーグ戦ではプレーオフ圏内にも入れず、2023年では監督交代された人物だったからだ。

 日本人でありながらポジショナルなサッカーを志向するという触れ込みだったが、その手腕には懐疑的な目を向けるファン・サポーターが多くいた。

 私自身、2023年、現地で見ていた大宮戦で、パスの出し先に迷う選手を見て「これは大丈夫なのか」と危惧したものだ。常にボールを保持するということは、後方も含め必ずパスを出せる場所に他の選手がいるということなのに。約束事が機能していないのでは?と。


4 吉田監督続投

 そして2024年。監督人事は思ったよりも時間はかかったが、吉田監督が引き続きヴォルティスを率いることとなった。

 チームによる関係者への説明では、「吉田監督ならばこれまでの路線を継続できるから」だったらしい。先日の徳島新聞でも「位置的優位を保ちながら縦に速いサッカーを志向」と書いていた。

 しかしながら、ファン・サポーターはやはり懐疑的だった。練習を見に行く熱心なサポーターは「クロスの練習ばかりで、ビルドアップや対人相手の守備練習とかやってない」などと不安の声を上げた。


5 開幕からの躓き

 そして迎えたホーム開幕戦。相手はACLに出場した、因縁浅からぬプロビンチャの先輩、ヴァンフォーレ甲府。吉田監督ダービーでもあり、期待は高まった。

 だが、結果は5対1。ACLを戦って練度の高い甲府に一日の長があり、これからこれから、という雰囲気もあった。


 だが、地獄はこれからだった。

 第2戦はJ3から昇格した鹿児島。徳島のレジェンド大島が監督を務め、前回J2在籍時には初戦で敗北を喫した。とはいえ、チーム力では徳島が上のはずで、アウェイであっても負けてはいられない相手だった。

 徳島が先制するも、後半、相手にゴラッソを決められ逆転負けとなった。

 当然、SNSは荒れに荒れた。監督解任論も当然ながら出てきた。理由は、選手間に連動性がなく、ポジショナルに必要な戦術を監督が浸透させてないのではないか。戦術的なことに触れず、精神論を語るだけの試合後の監督コメントもその批判に拍車をかけた。

 監督コメントに「心ない声」というフレーズが出たのもこの頃か。


3戦目はホーム、秋田戦。

 フィジカル主体のチームで、あちらも開幕後の調子がよくなく、普通にやれば負けない相手、と踏んでいた。

 前日の徳島新聞の記事には「ファン・サポーターには地獄のような思いをさせている」との監督コメントがあった。

 さすがに今日こそは勝ち点を確保するだろうと。

 さにあらず、だった。

 鳴門のボカリスエットスタジアムは、基本的に風が強い。このため、風上と風下でとるべき戦術は異なる。

 前半風上だった徳島は、先取点をあげるが一点どまり。

 問題は後半の試合展開だった。

 風下の徳島は、ゴールキックをはじめGKがボールを確保すると全て中盤へのロングキック。これをフィジカルに勝る秋田に奪われ、20本近いシュートを打たれた。いくら名手ホセ・アウレリオ・スアレスといえども、あれだけフリーで打たれれば失点やむなし。結果は鹿児島戦と同じく、2対1 の逆転負け。

 ファン・サポーターを失望させたのは、その試合後の監督コメントだった。後半の風下では「全部蹴れ」と指示していたというのだ。

 ゴールからできるだけ遠いところでプレーする、という目論見は解らなくもない。しかし、フィジカルに強みがある秋田とロングボール合戦では不利な上、徳島の強みであるはずの後方からのビルドアップをキャンセルすることになるこの戦術はあり得ない。それで結果といえば、後半は秋田に押し込まれたワンサイドゲーム、ほぼ徳島の自陣内でゲームが行われたのでは、どうしようもない。


6 監督批判とカップ戦

 この秋田戦は3月9日に行われたのだが、SNSの徳島クラスタは荒れに荒れ、解任論も含め吉田達磨監督への批判が顕著になった。

 3連敗でここまで荒れるのかというレベルだったのだが、これには元々の吉田監督に対する懐疑的な見方に加え、スペインサッカーに詳しい著名なサッカージャーナリストの動画も多いに関係していたのではないかと考えている。

 名前を出すのは控えるが、前年のラバイン監督時には徳島のスペイン路線を評価して、クラブとコラボなどを行っていだいた方だ。今年の開幕にあっても、W杯の実況を務めたNHKの下境アナと組んで今季の徳島にエールを送っていただいていた。

 そのサッカーに詳しい専門家が、「早々に監督交代すべき」との提言を動画で訴えたのだ。サッカーの素人であるファン・サポーターの疑念を強化する方向に動いたのは間違いない。


 そんな最悪の状態(今考えればまだ序の口)のまま、3月13日水曜日、今年からJ1からJ3までのチームが参加することになったカップ戦、ルヴァンカップの一回戦が開催された。

 徳島の相手はJ3の長野。徳島同様にスタートを失敗し、開幕後勝ちなし。

 アウェイとはいえ、まあさすがに勝てるだろうとほとんどのサポーターは思っていたはずだ。

 しかしながら、結果は5対1の惨敗。前半で3点を失い、その後一人退場したとはいえ、まさかの大敗。

 

 もうこのサッカーはダメだ。去年までの徳島のサッカー、スペイン式の美しいサッカーを返してほしい。こんな負け方は少なくともしなかった…

 絶望に沈む徳島サポーター。頭を抱えて翌日を迎えた人も多かったはずだ。


7 西谷和希のインスタ投稿

 その翌日、インスタグラムのストーリーに一人の選手が意見を投じた。

「いつも僕達の後押しをしていただき、本当にありがとうございます。ヴォルティス本来のスタイルを取り戻すことが勝つための道しるべになります。ヴォルティスのスタイルこそが最高で最強です。自信を持って堂々と言えます。必ず取り戻します。そのために自分のできることを全力でやり続けます。これからも一緒に闘ってください。」


 西谷和希。2020年、栃木から徳島に移籍し、開幕戦でハットトリックを上げ、その年の優勝に貢献したウインガー。J1でも主力として活躍し、降格に伴い多くの選手が抜けても、徳島に残り、昨年はサポーターからMIPに選出された、徳島のサッカーの体現者。

 その西谷が、サポーターが最も欲していた言葉を発信してくれたのだった。絶望に満ちていたはずのタイムラインには希望の光が差したような気がしていた。

 それが後の悲劇につながることも知らずに。


8 初勝利

 3月16日、アウェイ水戸。この試合、序盤は優位に進め先取点を奪うも、同点に持ち込まれる。

 後半アディショナルタイム、徳島はフリーキックを獲得する。キッカーは中野桂太。柿谷のアドバイスを受け蹴り込んだボールは相手GKのクリアミスを誘い、オウンゴールを呼び寄せた。

 今期初勝利!

 メンバーに西谷がいない、試合展開はそんなに改善していないなどの問題はあるものの、念願の勝利に皆が沸いた。ロッカールームで監督自ら勝利の雄叫びを上げる動画も配信された。

 勝利にしくはなし。これで上向きになればいい。

 

9 続く地獄

 3月20日は祝日で、山口を迎えたホーム戦。

 メンバーにやはり西谷の名前はない。

 秋田戦よりも冷たい強い風が吹く中、徳島は前半、風上となった。

 「前半に3点くらいとっとかないと厳しいのでは?」そんなことをふと思った。

 しかし前半の試合展開は山口に押し込まれることも多く「どちらが風上?」というような展開に。

 後半、やはりというか、素晴らしいゴールを立て続けに奪われる。橋本健人によるオウンゴールで一点を返すも、敗戦。

 この日の試合後のブーイングは激しく、監督解任しろとの声も大きく響く。

 吉田監督を師と仰ぐ島川は、その声に反発するような表情を見せる。

 この日、居残りを続けるゴール裏サポーターの前に現れた岸田社長は「2試合後判断する」と名言。

 試合に出ていなかった西谷が姿を見せ、大きな歓声が上がった。


10 運命の日

 引き分けの仙台を挟み、3月30日、ザスパ群馬戦。J2昇格同期の群馬は未勝利で、この時点で最下位。徳島が負けると最下位に転落する。

 この日、朝から衝撃が走る。地元紙の徳島新聞の報道で、西谷がチーム内での不適切発言により、秋田戦以降、メンバー選出から外れ、最近は強化本部長から他とは別練習を指示されている、というのだ。

 やはり西谷は外されていた。

 このとき、多くのファン・サポーターの思いと、クラブの運営の実情との解離が明らかとなった。


 そんな多くの観衆の感情が揺さぶられた状況で、試合は開始される。

 試合展開はあまり覚えていないが、徳島から群馬に移籍した川上がカウンターから素晴らしい個人技でゴールを奪い、それが決勝点となった。


 敗戦。最下位。

 試合後、ゴール裏のみならず、多くの観客がメインスタンド、バックスタンドに残った。私も見届けたいと、席にいた。

 現れた社長と強化本部長は、何らかの方針を示すことを説明したが、当初、明言は避けていた。

 サポーターの一人が西谷について言及した際、最も多くの賛同の拍手が上がった。

 一度社長が下がった段階で、私は帰路についた。

 なんとなくその場にいるべきではない、という気がしたから、というほかない。


 駐車場に行く道で、スタジアムから拍手が聞こえた。SNSで確認すると、監督交代を社長が明言した、という。

 喜ぶべきことではない。しかし、これで漸く動きだせる。そういう意味で、一つの開放感はあった。


11 解任、辞任、引退、契約解除

 翌日3月31日、吉田監督の解任と、岡田強化本部長の引責辞任が発表された。

 さらにその翌日、吉田監督を慕っていた島川が「どうしても許せないことがあった」と急な現役引退を発表。

 4月3日、暫定監督の指揮のもと、上位の清水と引き分けに持ち込み、これで上向きになるかと思われた翌日。

 西谷和希との契約解除が発表される。


12 誹謗と風聞と混乱

 西谷との契約解除。

 おそらく、全てのヴォルティスサポーターに衝撃が走り、悲嘆に暮れた人も多いだろう。この結末はあまりに受け入れ難い。

 ちゃんと説明してほしい、が、契約により詳細については公表できない、との公式のリリースのみ。


 あまりに気持ちの追い付かないためか、在籍選手を誹謗する投稿も拡散され、公式が注意喚起する事態にまでなった。

 このざわつきは、誹謗の対象となった柿谷曜一朗本人がインスタグラムで心情を発信するまで止まなかった。


13 選手の気持ち

 ここまで、ファン・サポーターの視点から語ってきたが、実際にはプレーする選手たちとサポーターの心理に、それとはわかりづらい解離があった。

 吉田監督は、ファンにとっては徳島のサッカーの破壊者だが、選手にとっては信頼すべき指導者であったということである。

 敗北が続くとき、選手たちは必ず自分自身に矢印を向け、もっと研鑽しなければ、と言う。選手たちは監督の下でまとまっている、と言う。

 それは、選手たちにとっては、そうであったのだろう。不甲斐ない試合をしている責任を追うべきは自分たちであるはずなのに、サポーターは選手を責めず、監督を批判する。

 それは耐え難いジレンマだったのではないだろうか。


 このため、3月30日、社長が監督交代を明言し、スタンドから歓声が 上がったことで、多くの選手がショックを受けたという。

 特にチームのリーダーシップを率先してとっていた柿谷曜一朗は、チームは監督のもとでまとまっている、と訴えた。

 残念ながら、そのまとまっているという中に西谷はいないということが、黒幕は柿谷という邪推を呼んでしまうのだが。

 これは柿谷自身によるインスタ投稿があるまで、沈静化しなかった。これはクラブの責任、というもっともな指摘もされている。

 

14 私見

 以上が現在に至るまでの経緯である。

 どうしてこうなってしまったのか、改めて整理してみる。


 まず第一に、吉田監督は徳島のサッカーを継続したのか、という点である。これは、真実はわからないという他ない。ポジショナルへのアプローチは監督によって異なることはリカルドとボヤトスの方向性の違いを想起してもわかる。件のジャーナリストもNHKのサイトで開幕前の方向性は現在のサッカーに合致している、と言及していた。

 志向するサッカーそのものは変わらなかったのかもしれない。しかし、それを監督自ら言語化することはなく、トレーニングやその成果としての試合に現れることはなかった。もっと時間をかければもしくは、とも思うがあまりにリスキーではある。

 他のチームでは開幕四試合で解任される例もあり、解任は結局のところ仕方なかったのではないか。


 次に、監督以外の責任の取り方である。

 岡田強化本部長は20年に渡り徳島の強化の任にあった功労者であるが、ボヤトス引き抜きからの混乱はあったものの、昨年から続く不振について、やはり責任をとらざるを得ない立場だったといえる。


 西谷については、どのような経緯があったのか、未だ明らかとはなっていない。しかしながら、サポーターにとって救いとなったインスタの発信こそが、チームとサポーターの間に決定的な楔を打ち込んでしまった、ということは感じざるをえない。

 あのインスタの件がなければ、不適切発言はクローズアップされることなく、メンバー外処置も数試合で終わったかもしれない。

 これは推測であるが、監督に明確に反旗を翻したとサポーターの願いの象徴になってしまったことが、一丸となって勝利を迎えたいチームメイトとのズレを産み、西谷本人にとっても大きな葛藤となったのではないか。

 私としては、西谷が納得しているのであれば、とても残念であるが、契約解除という結論は仕方のないものとして受け入れざるを得ないと思っている。


 島川の電撃引退については、謎が多い。恩師の解任を要求し、喜んだサポーターを「許せない」と思い、継続する意思の糸が切れてしまった、というのが素朴な解釈だが。


 残された者について。

 柿谷については、柿谷が発信しているとおりのことを素直に受け取るしかないと思う。柿谷は岩尾ではないし、リーダーシップの取り方も一様ではない。ただ、チームを背負っているのは俺だ、という意思を明確に持ち、つたなくとも言葉を紡ぐ姿勢は徳島にルーツをもつスター選手の態度として評価すべきものであり、私は柿谷曜一朗を支持したい。


 暫定監督は、清水戦のコメントで「サポーターな残った選手を応援してほしい」などと言ったことは余計だったと思う。

 何故なら、今期こそ、サポーターは選手をずっと応援し続け、どんなミスをしても責めることはないほどには応援していたからだ。連携がうまくいかず、かつてのようなサッカーができていないのは、全て監督が悪い、と思っていたからだった。


 サポーターが望むもの。

 監督が明確な方向性を示し、それに近づくべきふさわしいトレーニングが行われ、選手のポテンシャルが最も効果的に発揮される。そんなチームだ。

 それがスペイン式であれば、なお良い。よしんば対極にあるような町田のようなスタイルになったとしても、クラブとして明確に打ち出すのであれば、最終的には多くのサポーターは受け入れるのだろう。それが箱推しというものだから。


 最後に。

 今回の混乱は、監督コメントを含め、試合に現れる状況と結果が大きく異なっているにも関わらず、チームからの発信があまりに少なかったことにあると思う。

 吉田前監督は、これまでの監督に比べ、明らかに戦術的なコメントは少なく、それが監督自身の技量に対する疑念と不信感を呼んでしまった。これを効果的に説明できるアシスタントがいれば、昨年のようにもっとサポーターも我慢できたかもしれない。


 これまでに積み上がったものはあるのか。先週の長崎での大敗で、選手たちも自信喪失状態にあるのではないか。

 この2日、チームからの発信はないが、現状を打破する何らかの策を打ち出してほしい。サポーターは期待することと応援することしかできないのだから。


 20周年という記念すべき年を、最後は笑って迎えたい。それが偽らざる今の気持ちだ。