企画・編集した『疫病・災害と超古代史』(原田実著、文芸社文庫)が12月5日に発売されました。よかったらお買い上げいただけるとうれしいです。https://www.amazon.co.jp/dp/4286221792
以下、コピーと目次を載せます。アマゾンには目次のすべてを載せられなかったので、下記が完全版です。
※なお、帯文等で天変地異を転変地異と誤記してしまいました。原田実様、読者の皆さまにお詫びし、この場を借りて訂正いたします(ツイッターにも同趣旨のお詫びを載せました)。増刷の際に直します。
ギリシア神話、旧約聖書、日本の古代史文献などを、天変地異や予言、疫病から読み解く。
ギリシア神話や聖書など西洋文明の基礎となった古典には古代世界を襲った様々な災厄が記されている。一方、日本の「古史古伝」「超古代史」などと呼ばれる史書には、古代の日本列島およびその周辺の国々が天災や疫病に見舞われたことが記されている。神話にしろ偽書にしろ、それらに災禍のイメージが刻印されているということは、その成立当時、厄難の物語が求められたということである。ではそうした物語と現実世界での災厄との関係はどうだったか。そこから何が学べるか?――パンデミックに襲われた2020年を総括しながら、考察する。
アトランティスとオカルティズムの系譜/大地震がウガヤフキアエズ朝を崩壊させたか/ヲシテ文献の思想は儒教や仏教の影響を受けていた/2020年の日本を読み解くキーワードはノストラダムスと予言獣/『上記(うえつふみ)』『竹内文書』『富士宮下文書』『契丹古伝(きったんこでん)』『秀真伝(ほつまつたえ)』『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』では天災と感染症をどう描いたか、など――
--------------------目次-----------------
第1章 災害と疫病で読み解く聖書・ギリシア神話
■旧約聖書やギリシア神話では災害や疫病にどう立ち向かったか
『ティマイオス』と『クリティアス』
アトランティスとオカルティズムの系譜
プラトンは日米戦争とアメリカの滅亡に関して予言した?
アトランティスはジブラルタル海峡の近くにあったと考えたプラトン
オレイカルコス(オリハルコン)の正体は黄銅
アトランティス物語はペルシア戦争のイメージを過去に投影したか
アトランティス物語の構想を膨らませるうちに矛盾が生じたか
陰謀論とも結びついた近代アトランティス学
ノアの方舟の話はメソポタミアに伝えられていた
塩の柱は、石の柱の起源説話の名残か
「出エジプト記」の災厄は、古代中東の自然災害を列挙したものか
石から人間が生まれた逸話はギリシア独自の所伝
『ティマイオス』でのパエトーンの災厄の解釈
トロイア戦争時にアカイア連合軍を襲った悪疫
アイギナの疫病を描写した『変身物語』
第2章 天変地異・予言で読み解く「古史古伝」
■『上記』でウガヤフキアエズ朝の謎が解ける
出雲王朝とウガヤフキアエズ朝について語る『上記』
古史古伝のウガヤフキアエズ朝の元ネタは『上記』
天皇一行をエサシまで導いた巨大な亀はUFOだった?
皇室の血統が異国に残るのを止めるために地震が起こされた?
第71代の御世の大地震がウガヤフキアエズ朝を崩壊させたか
偽史の連鎖があって、『上記』も組み込まれた
■災害から読み解く『竹内文書』
天変地異を多く描いた『竹内文書』
ミヨイとタミアライはムー大陸説をもとに作られた
「木になる餅」はマナか
竹内巨麿と酒井勝軍と鳥谷幡山
『竹内文書』の予言とキリストの「遺言状」
「大宇宙史」に目覚めた元軍人・矢野祐太郎
『竹内文書』と青年将校運動とオウム真理教
「万国土の海」は水害に悩まされた巨麿自身の記憶の反映か
■災厄から読み解く『富士宮下文書』
皇室の祖神と中国神話の神農を同一視
戦争に備えた九州遷都と大地震による大和遷都
『神皇紀』と戦後の研究者たち
「不二阿祖山大神宮」の主張を検証する
『富士宮下文書』の富士山噴火記録の信憑性は?
富士山噴火や戦乱などに立ち向かった人々の物語
第3章 災害・疫病で読み解く「古史古伝」
■天変地異で読み解く『契丹古伝』
浜名寛祐と『神頌叙伝』と『契丹古伝』
丹鶏出現の奇瑞と神頌を記した石
佐治芳彦や鹿島曻は「海漠象変」の謎をどう解いたか
『契丹古伝』の作者は清代後期の知日派文人か
■疫病鎮めと病気治しで読み解く『秀真伝』
三輪山型神婚説話で、神が蛇の姿で現れるわけ
古代や中世の遺跡・文献からヲシテは発見されていない
もともと歌道と神道の秘伝書として書かれた
『秀真伝』と近松『日本振袖始』の共通点
ヲシテ文献の思想は儒教や仏教の影響を受けていた
病気治しを教義とする新興宗教が依拠した「古典」だったか
■津波から読み解く『東日流外三郡誌』
遮光器土偶の人気に便乗して、アラハバキのご神体に
「安東水軍が興国の大津波で壊滅」は根も葉もない作り話
ノストラダムスと予言獣――あとがきに代えて
--------------著者プロフィール------------
原田 実(はらだ みのる)
歴史研究家。1961年、広島県生まれ。龍谷大学文学部卒。八幡書店勤務、昭和薬科大学助手を経て帰郷、執筆活動に入る。元市民の古代研究会代表。と学会会員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)会員。古代史関連の偽史、偽書を中心とした著述家として活躍。
著書に、江戸しぐさが架空であることを明かした『江戸しぐさの正体』(星海社)の他、『トンデモ日本史の真相 史跡お宝編』『トンデモ日本史の真相 人物伝承編』『天皇即位と超古代史』(文芸社文庫)、『日本トンデモ人物伝』『トンデモニセ天皇の世界』(文芸社)、『日本の神々をサブカル世界に大追跡』『「古事記」異端の神々』『「古史古伝」異端の神々』(ビイング・ネット・プレス)、『トンデモ偽史の世界』(楽工社)、『もののけの正体』(新潮社)、『つくられる古代史』(新人物往来社)、『オカルト「超」入門』『江戸しぐさの終焉』(星海社)、『オカルト化する日本の教育』(筑摩書房)、『偽書が描いた日本の超古代史』『捏造の日本史』(河出書房新社)、『偽書が揺るがせた日本史』(山川出版社)など。
ホームページ
「原田実の幻想研究室」http://douji.sakura.ne.jp/