「秘密結社大国アメリカ」という章の、フロンティア開拓の影で秘密結社が共済組合的な役割を果たしていたという話も面白かったけど、一番興味深かったのは、KKKも慈善団体的な活動をしていた時期もあったという話。

 

著者はKKKの歴史を3つに分けているんですが、第二期には病院建設や貧困対策など慈善活動も行われたというのだから驚くじゃありませんか(この面に光を当てたのは綾辺昌朋さんという方で、ネットで論文が読める)。家を失った黒人の援助なども行われたという。

その時期のKKKはフリーメイソンにも似た友愛団体だったんですな。ただし、あくまで白人至上主義・反カトリック・反ユダヤ主義に立っての活動だから、差別主義的ではあるんだけど。

 

そもそもKKK第一期の活動目的が黒人にリンチを加えることではなく、南部白人の権益確保であり、黒人解放を助けた白人の共和党員も多く殺しているという話もKKKの意外な一面を見た思い(知らない人がいるかもしれないから言及しておくと南北戦争当時、奴隷解放を進めたのが共和党。奴隷制を維持しようとしたのが民主党)。

 

KKKの加入儀礼や位階の説明を読むと俄然興味を持っちゃうし、装束のシンボリズムを知ると衣装もほしくなっちゃうんですが、さすがにKKKのコスプレはまずいでしょうな(苦笑)。

 

第2期KKKの活動(白人至上主義・反カトリック・反ユダヤ主義)は従来の社会秩序や地方の伝統の崩壊に対する反応だったそうだから、その意味では今のアメリカの状況にそっくりといえなくもない。そう考えると来年からKKKのメンバーが多少増えるかもしれないけど、まさかマイナリティへのリンチや襲撃はもうしないですよね。そんなバカなことはしないと信じたい!