くボケボケ時代から、
覚醒してしまうとアビス魔界で一番強かったのは、
実はしづひとです。
何故なら、ルドラ=シヴァと煉獄閻魔の使いこなした2人の武器を通して、神宿りというものを果たしていたからです。
加えて、逢坂桐蔭からの軍事的行動や思考も持ち合わせていたので、
三人合体、三位合体、
みたいになったしづひとは、
アビス魔界では、イレギュラーとされていました。
しづひとにはしずはなという兄がいます。
ひ「兄さん、兄さん」
は「どうした?しづ」
ひ「兄さん、実は今、死にそうな位熱があるんだ」
は「は、早く言えー!」
静華は弟の志津史にめたくそ甘い兄ちゃんです。
ボケボケ時代が終わり、
しづひとは変わりました。
もはや、アビス4という四人組より強すぎて、加えて、逢坂桐蔭を通してもらった左耳につけているピアスがすっごいので、
強すぎますが、
既に無意味な争いはしなくなっているので、
かなりの塩対応をしながら、
筒香兄弟に対峙していました。
ギ「あ、あれを俺は知ってる、マーキングだ」
リ「顔に唾吐かれただけだよ」
ギ「やだー俺は嫌だよ、汚いのが」
リ「ある意味ギガは潔癖だよな」
アビス4の2人、
ギガンテスとリヴァイアサンは幼馴染みですが、門番第一班として第二関門にいますので、
いろいろ見ております。
筒香烈火があまりにも邪魔をするので、
奴隷死魔、としづひとが名付けて、アビス魔界の奴隷にしてあげた、
筒香真白をぶっ潰す為には、
まず奴隷シマを庇護する筒香烈火を引き離すしかありませんでした。
もう少しで餓死するところを、
やはり烈火が助けてしまったので、シマは生き延び、
犯してしまった殺人や、
これまでの数々の罪という罪も帳消しにしてくれるとなった烈火を頼り、
奴隷の身からも解放され、
アビス魔界からも外に出られました。
しづひとが、烈火に条件を呑ませていたからです。
「必ず生きた状態で、萬屋店長と店番を返してやる。だから時間をくれ」
「概念は信用出来ないと奴隷死魔から我々は学んだ。ならば人質をアビス魔界に1人残して行け。実行するのが貴様なら妥当な者は奴隷死魔だろう。貴様が戻るまで人質の命は保証する」
「真白は駄目だ、妥当な奴なら他にいる。頼城隆景を人質にくれてやる」
「何故その者が妥当なのだ」
「真白がこんなになったのはあいつのせいだからだ、真白はああするしか他になかった、だから妥当だ」
ああするしかなかった、と言っているのは殺人の話です。
奴隷死魔とされてしまったのは、
筒香真白がついに、
空腹を満たす為に萬屋店長を刺し殺し、店番、副店長として異動してきていた方が店長の友人だったので、
その死を悲観し自害、
となった事件があったからでした。
いわずもがな、
逢坂桐蔭とルドラ=シヴァの二名が命を落とした事件です。
烈火はある計画を立てていました。
元々生きていた、概念世界に2人で帰って1からやり直す、というものです。
真白が犯した罪も帳消しに出来る、なかったことに出来る、
そして世界滅亡をしている概念世界の歴史を再稼働とすれば全部やり直せる。
これは、20代目門番襲名を果たした頼城元就がいれば可能、と烈火は考えていますが、
ド忘れしています…
元就は既におりません。
死んでおります。
慌てていると何か間違えたりとしますが、もはや慌てているわけではなく、悪魔的な考えをしているだけな烈火なので、
この時から、悪魔と人間、半々という状態になっています。
だからアビス魔界の方達は最初から烈火を、悪魔人間、と呼んでいたりしましたが。
ついに概念に退化しすぎていた真白が見えていた人間、烈火となると、
自ずとそうなります。
アビス魔界、もしくは神話世界しかついに把握出来ない相手、見えたり話したり出来ない相手が、真白だったからです。
悪魔か、神か、という二択です。
そして頼城隆景がちょうどよく現れたので、人質になることも快諾したので、
2人はアビス魔界から外に出ました。
しづひとはこの時、烈火に名前を聞いたり、期限は2日、と条件提示をしていますが、烈火は聞いてません。
代わりに隆景が答えたりしていました。
生きた状態で返す、という約束を果たす事はまず無理なんですが、
無理なことをアビス魔界にいる方達は分かっていたりしますが、
ギ「リヴァ、2日だって」
ギガンテスがたまたま席を外していたリヴァイアサンにもちゃんとホウレンソウしてました。
烈火は真白を連れ、まずは元就捜しを始めます。
アビス魔界では、しづひとがアビス魔界王の煉獄阿修羅(ちょい前までサタンと名乗ってましたが、正式に襲名したので煉獄姓、和名になりました)に報告、
側近兼秘書をしているひろもすぐ分かります、
人質にされた隆景が、元就の遺志を継承している者として存在していることです。
しづひとも分かっていたことなので、アビス魔界王も分かっているので、猶予が2日という意味も分かっているので、
その2日は、しづひとはちょっと休み、となりました。
しづひとは魔界関所管理の幹部です。44か所ありますが、
前半の22か所を担当。後半22か所は兄のしずはなが担当しています。
しづひとは逢坂桐蔭を、恋愛感情ではない好き、という感じで見ていたので、
自分の大好物の飴(しづひとは甘党)を定期便にして持ってきてくれていた逢坂桐蔭を慕っていましたが、
殺害されたのをきっかけに、
ボケボケ時代を卒業、
サトリメンツ同様、
まじもんのイレギュラーとして覚醒していましたので、
僕、から俺、に呼称を変えていたり、大好物の飴を噛み砕いて吐き捨てたりとしていたのも決意の現れです。
そんな時に隆景から、
「あなたの知らない逢坂桐蔭を知りたくはないですか?古代神國で彼がどう生きていたかを知りたくはないですか?」
と聞かれたら、
「知ったら戻れなくなりそうなのでやめておきます」
と答えます。
「事実を受け止め、真実を知ることで誰しもが前に進めますが」
と隆景が続けると、
「…知りたいです、どうしても伝えたい事がありますが、それが出来なくても、逢坂さんを知りたいです」
としづひとは返答。
「あの筒香烈火が血眼になって捜している相手はあなたの横を歩いています」
と隆景がしづひとに最初に言っていたから余計です。
人質なのでしづひとと一緒にいる隆景ですから。
そして、古代神國へしづひとは隆景と向かい、
本当の逢坂桐蔭、を知りました。
アビス魔界に戻ってきてから、しづひとは号泣していました。
約束の2日が経つジャストタイミングで奴隷と庇護者が戻ってきます。
アビス4のギガンテスとリヴァイアサンが有給休暇をもらって、
現神國に赴いたプチ旅行、
その時のギガンテスが買ったお土産が食べ物だったので、
アビス4の第二班の風神と雷神に少しでも何か食べてもらいたいという優しい2人です。
風神と雷神の師匠が、ルドラ=シヴァだったからです。師匠を自害に追いやられてから弟子2人は食欲ゼロとなり、趣味を越えた筋トレもやめてしまった程ですから、
仲間として心配な第一班です。
現神國でたまたま遭遇していた烈火、真白との徒競走が始まりました。
食べ物が目の前にあるとなれば超必死に異次元な走りを見せた真白、
食への執着が彼の足を速めます。
ギガンテスも馬鹿力ですがめたくそ足が遅いので、端から見れば、
小学生以下の速さで2人は走っています。
ギガンテスとリヴァイアサンは花粉症でずっと鼻の中に綿を詰めていましたが、
たまたまくしゃみして綿が吹っ飛んだギガンテスが恐怖に怯え逃げます。
真白の風貌がやばいことは分かりますが、実際の臭さを知り、ギガンテスは叫びながら逃げます。
ギ「来ないでー!!」
リヴァイアサンもナンダナンダと綿を外してからは、
リ「うげええ!」
吐き気です。
仲良しな2人なので、足の遅いギガンテスにあわせて走るリヴァイアサンですから、
超必死に追いかけてくる真白を振りきれず、
烈火ですら真白に振り払われるレベル。
そしてジャストタイミングで約束の2日が過ぎた時に、
アビス魔界の外で、しづひとが待っていました。
真白は急ブレーキ。
ギガンテスとリヴァイアサンは中に入りしばし、休憩。
烈火は舌打ち。
アビス魔界から出られたので、このまま逃亡としていたからです。
「人質は解放してある。この2日で約束は果たされなかった。奴隷死魔を引き渡せ」
「2日とか聞いてないぞ」
「奴隷死魔を引き渡せ」
「はっ、魔界もあいつを特別扱いか、知らないだろうがあいつは弱い。多重人格者ってのも知らないだろうが、人間は弱いんだよ。誰かに守ってもらわないとまともに生きられない。つらすぎて多重人格にもなる。特に元就がそうだったからな、どうせ元就も真白に憧れたんだ、なにせ真白は創造神、概念王。概念世界に入り込んだのも下克上みたいなもんだ、真白に成り代わりたいだけだったんだよ、今も隠れているのは後ろめたさがあるだけだ、何とも惨めな創造神だよ」
こんな形の会話を聞いていて、ぶち切れたのはアビス4です。
しづひとはあくまで冷静です。
ギガンテスが烈火と真白をアビス魔界の中に引きずり込みます。
第一関門、入り口結界に激突した2人は気絶しました。
そして始まる邂逅戦。
ギガンテス対筒香烈火。
これ、やばい戦いです。
ギガンテスが本当はどんな方かが分かります。
烈火は沈黙しました。
第2戦はリヴァイアサン対奴隷シマ。
好奇心旺盛なリヴァイアサンとそれに解答している隆景タッグですが、
既にリヴァイアサンはやばいわけです。
奴隷シマが腰を抜かしてガクガクと動けないでいるのはそれです。
第3戦、戸隠風神+アエノ=トール対奴隷シマ。
雷神はアエノ=トールが実名です。
奴隷シマはこうして、
奇声を発しながら、烈火に助けを求めながら、消滅しました。
概念は死亡となりません。
消滅、となります。
真白は生粋概念であったので、
遺体も残らずに消滅となりました。
そんな一部始終を見ていたしづひとは既にサトリメンツ同等に、
何かの悟りを拓いていました。