ルドラ=シヴァは思っていた。
「あ、誰かこっち来る」
その15分後、シヴァが寝転がっていた花畑に逢坂桐蔭が来ました。
しかし、シヴァには分かりません。
「花を摘むって好きな子にでもあげるんか?」
違うと分かっていても、相手が誰だか分からないので聞きました。
「師匠が花を飾りますので摘みに来ました」
真顔、敬語、そして感情の起伏がない平坦な口調。
シヴァには、
未来視可能なる能力がありますが、
過去視は不可能なので、
現在に相対している桐蔭すら、分かりません。
「桐蔭は笑わないね」
「笑う、ことは考えに無い」
「考えて笑うってのはなかなかないよ」
「笑うのは考えに無い」
「よくわかんない」
「俺もシヴァが言っていることが理解出来ない」
シヴァは頑張りました。
しかし、桐蔭は笑うことがありませんでした。
そんな桐蔭が一度だけ、
笑ったことがあります。
煉獄閻魔、彼が何気なく発した言葉で微かですが笑い声がしました。
星座の話を桐蔭がしていた時、
閻魔が勘違いをして、
正座の話をしたからです。
というような三人の友情は、
代名詞として、
「俺たちの夜明け」とされました。
逢坂桐蔭が名付けました。
シヴァに槍、閻魔に短剣、
自分には護身用にと銃剣、
を造った際に、
RISING SUN、
それが三人の代名詞となりました。
何故、桐蔭の護身用銃剣、
RISING SUNが、450キロあったかというのは、
三人の体重の合計です。
三人は当時、
12歳~13歳でした。
桐蔭は平均体重です。
シヴァもそれなりに平均体重です。
「此に乗れば良いのか」
閻魔が乗った体重計。
2人はガン見していました。
「なあ閻魔、実はデブ?」
「閻魔は筋肉量が質量と体積に比例していないのでは」
「可笑しいのか」
「痩せてるよな、うんうん。ごめんデブなんて言って」
「身長と体重から割り出される数値が種族相違で別なんだろう」
「可笑しいのか」
よいせ、
とシヴァが閻魔を持ち上げてみました。
「桐蔭、この体重計壊れてる」
「使用前に確認し、正常作動すると考えていたが」
「シヴァ、我輩を片手で持ち上げないでくれないか」
「俺も閻魔を持ち上げてみよう」
桐蔭、無理でした。
「あれ?閻魔は軽いよ?ほーれほーれ」
「や、やめぬか、孤独胴上げして悦ぶ輩が居るか」
逢坂桐蔭が笑ったのは、
一回だけでした。
シヴァには出来なくて、
閻魔には至極簡単なことでした。