営業しているのを見ると、なんだかほっとするんです
文字が不揃いな看板、閉まりきらない扉、お店自体もちょっと傾いている。初めてみた時、まだ現役営業中だということにとても驚きました。
１週間のうち何度かお店の前を通るようになり、花の頃になると店先の植木鉢には色とりどりの花咲き、早く日が落ちる冬の夕方にはほのかに明かりが灯る・・・それを見て「あ、今日も元気に営業中だな」となんだか安心した気持ちになっていました。そして、気がついたら６年がすぎていました。
その間、一度中に入ってみたいとずっと思っていました。
ソウル駅の裏側、孔徳（/공덕コンドッ）洞にある”ソンウ理容院（성우이용원）”。１９２７年創業、ソウルで一番古い理容院。ソウル未来遺産にもなっているよう。
去年の夏、友人達にこの理容院の話すると「ぜひ行ってみたい」と・・・。ついに念願叶い、お店を利用して・・・利用する友人についていくことになりました。
長い間入りたいと思っていてもずっと行けなかった理由。それは、理容院だしこの雰囲気だし・・・とただただ勇気がなかったから。以前、人気ブログ日韓貧乏夫婦のmikiさんと一緒に散策したときは「前髪だけでも切ってみようか？」なんて話していたのですが、その時は残念ながらお休みで。
話が長くなってしまいましたが、私達が行ったこの日、お店の扉を開けるとすでに３人ほどが待っていて「２時間あとにまたきてね」との事。結構人気店なんですよ。
再度訪問するとお客さんは私達だけ。日本人だと話すと、店主はとても嬉しそうに色んなお話しをずーっとしてくれました。
理容についてのウンチクから、これまでに接客したお客さん、お店でつかっている道具、自分が書いた絵の話し、そして理容師になった話や息子さんの話。まるで荻原浩さんの「海の見える理髪店」みたいに。
結構お話好きな方だったんですね。レトロな空間で聞くそんなお話がとても良かった。もっとはやくくれば良かったな。
ちなみにカットは13,000ウォン。髭剃りは10,000ウォン。
お店の中にある何もかもに年季を感じる空間、扇風機がまわる音、そしてシャキシャキとリズムよく動くハサミの音、窓から入る夏の香りと風、不思議とね居心地がとてもいい。
シャンプー台？で使用されるのは２つのじょうろ。滴る水滴をぬぐうのはお客様自身です。
髭剃りのアワアワの作り方・・・何を見ても面白い。
カットも髭も、「すこし時間がたってからその違いがわかるはず」と店主。カットのせいか髭のせいかわかりませんが、友人はピッカピカになりました。
知る前まではただの古い理容院だと思っていましたが、お話をきくと３時間以上かけて通っている常連さん、最近はSNSなどを見て海外から来る方も増えているのだそう。
「ここは観光理容院」と、嬉しそうに話す姿が印象的。
身体の調子があまり良くないので、以前より営業時間が短くなったり、病院に行く日はお休みしたりしているそうですが、ずーっと元気で頑張っていただきたい。
友人が利用して以降も、相変わらずお店の前をたま～に通りすぎ、中に人影が見えると勝手に笑顔になり、カーテンが閉まっていると勝手にザワザワした気持ちになっています。
これからも勝手に見守っていていいでしょうか？いつまでもお元気で。
（※写真はすべて許可を得て撮影しました）
◆ ソンウ理容院（성우이용원）
住所：ソウル市麻浦区孔徳洞 7-30
場所：Naver地図→クリック
