【225話】更科瑠夏 現状維持という選択 | 恋心、お借りします

恋心、お借りします

(自称)水原千鶴を応援する会の会長。
頑張りますので、イイね下さい。

【225話】更科瑠夏 現状維持という選択

 

はいどーも!甲楽わんです。かのかり、楽しんでますか?

 

image

◆2人が付き合ってるって 言ってるんだから それでいいじゃないですかっ! 225話

 

ちょっと皆さん 顔 怖いですよ…

2人が付き合ってるって 言ってるんだから それでいいじゃないですかっ!

 

僕は楽しめていません。225話は、ハワイアンズ編に入って、もっともがっかりしたお話になってしまいました。

 

瑠夏ちゃんらしくない。

 

その一言に尽きます。無鉄砲ガールとして描かれてきた瑠夏が、この状況で和也と千鶴の関係を終わらせることを止めてしまうなんて!?納得いかないですね。

 

ちょっと、今日は更科瑠夏がどんな女の子として描かれてきたのか、一度整理したいと思います。なぜ今回の瑠夏の選択が腑に落ちないのか、分かっていただきたい。

 

そのあと、僕の不満は置いておいて、瑠夏の気持ちの流れと、現状を整理していこうと思います。今回もクソ長くなりそうです汗。

 

 

 

  無鉄砲ガール 更科瑠夏

 

更科瑠夏というヒロインは、見方次第では、めちゃめちゃうざいし、めんどくさいし、身勝手な子です。でも、そんな振る舞いをしてしまうのは全部、和也のことがめちゃめちゃ好きだから、ですよね。

 

和也ともっと一緒にいたい。近づきたい。優しくされたい。そういう気持ちが突っ走ってしまって、わがままを言ってしまう子です。その無鉄砲さが、めんどくさい(短所)部分でもあり、かわいい(長所)部分でもありました。

 

 

◆私 更科瑠夏は宣誓します! 25話

 

和也と出会って初めてドキドキできたとき、瑠夏は彼のアパートまで押しかけて告白します。さらに、千鶴と和也を脅迫してまで、和也の彼女にしてもらおうとします。いやいや、そんな奴おらんだろう、という感じですよね。いくら好きな人ができたらからって、出会ったばかりで告白なんてする奴いないですよ。まずは、自分を分かってもらい、親交を深めてから告白するというのが普通の発想です。マジでぶっ飛んでます。当然和也は、どうして瑠夏が自分を好きなったかも分からず、パニックになってしまいました。でも、それくらい更科瑠夏は、和也のことが好きで、自分の気持ちにとことん正直に行動する女の子なんですね。

 

 

◆彼女です 34話

 

お正月には、和也と千鶴にはレンタル彼女のことは黙っているという約束だったのに、彼女宣言をします。自分が本当の彼女なのに、家族の前では千鶴さんが彼女だと思われてるなんて納得いかない。その気持ちが突っ走り、和也と千鶴との約束や二人の考えなど100%無視です。

 

◆良い お誕生日を 84話

 

和也と千鶴の合同誕生日にも無断で乱入。虚言癖のある変な女の子だって思われたままでは、千鶴さんは嘘の彼女だと言っても信じてもらえない。変な女の子だって思われているなんて嫌だ。本当は和也君には、千鶴さんよりずっと素敵な彼女がいるんだって分かってもらうんだ。その気持ちで、木ノ下家に気に入られよう全力アピールとします。和也の話など全く聞きません。

 

 

◆キス 87話

 

そして、結局千鶴さんには敵わないと分かったら、負けてしまっているという現実に耐え切れず、自分が和也の彼女だということを確かめるように強引にキスをする。

 

 

◆いいですか 千鶴さんは「レンタル彼女」なんです 185話

 

和也が千鶴さんに告白することを考えていると知ると、自分はお試し彼女にしてもらった立場なのに(別れろと言われたらそれを受け入れなければならない立場なのに)、別れたくないと主張。和也を突っ跳ね、話し合う気などありません(180話)。さらに和也の家に泊まり込み、警備を開始。告白をすることがいかに馬鹿なことか理屈を並べ、告白を阻止しようとする(185話)。

 

更科瑠夏って女の子は、とにかく和也の彼女になるためだったら、何でもやる子なんですね。和也と一緒にいるために、全力を尽くす子なんですよ。瑠夏自身は、和也に「好き」を押し付けるだけではダメだと分かっているし(46話)、普段はとても物分かりのいい子だとは思います。しかし、和也を手に入れるためには、和也の言葉には全く耳を貸さず、すべてを投げ打ってでも前に進む子なんですね。それくらい和也のことが好きで好きでたまらないんです。


和也に迷惑をかけてしまうような場面ばかり話しましたが、しかし、その無鉄砲さ、「和也の傍にいたい」という自分の気持ちに素直に行動できるところが、更科瑠夏のかわいらしさでもあります。

 

 

◆こうしてるだけで 私 涙が出るほど幸せで… 65話

 

 

 

◆”彼女”です 75話

 

 

image

◆私の願い事 何でも聞いてくれるって… 139話

 

 

image

◆私の体に触れてほしいんです 139話

 

 

image

◆私だって 女の子ですから 誕生日くらい お姫様になりたいって 思ったりします 141話

 

迷惑だと思われているかもしれない。でも、好きで好きでたまらないから、わがままを言ってしまうんだ。それが、瑠夏の「好き」の表現だし、彼女の武器、個性、象徴なんです。それが、更科瑠夏を更科瑠夏たらしめるものなんです。

 

瑠夏が、子供っぽく自分勝手かと聞かれたら、答えはノーです。あの子は、常識もあるし、人の気持ちも分かる子です。普通に生活していたら、いい子でしょう。ただし、和也のことになると、自分の「好き」という気持ちが止まらなくて、何よりもその気持ちを優先して動いてしまうんですよね。

 

小百合さんが倒れたときに「休戦」だと言って千鶴を気遣います。瑠夏は普通に人の気持ちが分かる子です。自分勝手ではありません。ただし、その気遣いは、和也が他の女の子に奪われてしまうのではないかという不安がないことが条件です。ちょうどあのときは、和也が千鶴と別れると言おうとしてくれたので(90話)、かなり安心できていたんですね。だから、千鶴のことまで気遣える余裕があったんです。もし千鶴さんに和也を奪われてしまうと不安を感じていたら、千鶴を気遣う余裕なんてなかったはずです(実際、和也の部屋に千鶴が上がり込んでいるのを見て、怒りを顕にし二人を非難してます。110話)。

 

ちなみに、嫉妬して自分勝手な行動をする点が目立ってしまっていますが、それは千鶴と敵対しなければいけない場面ばかり描かれていたからでしょう。必然的に自分勝手な行動をする頻度が高かかった。普段はとても物分かりのいい子だったはずです。和也とデートしてるときを想像すると、多少可愛いわがままを言っても、和也を困らせたり無理を押し付けたりはしなかったでしょう。和也に好きになってもらうために、可愛くなる努力をしたり、何か困っていることがあったら助けてあげたりしていたんじゃないでしょうか。

 

和也は、瑠夏が悪い子ではない(むしろいい子)だと分かってはいるし、お試し彼女という中途半端な関係に縛り付けている自分にも非があると分かっているものの、そういう瑠夏の強引な行動には頭を悩ませています。瑠夏の心は、和也の本当に望んでいることを聞き入れられるほど余裕はありません。読者の立場ではなく、和也の立場で瑠夏の言動を見てみたら、それはよく分かるはずです。

 

可愛いわがままである一方で、和也がそのわがままに迷惑しているのも事実です。瑠夏推しの人たちには、瑠夏がいい子だと思い込みたいのかもしれません。しかし、和也の気持ちを考えず、彼とまともに話し合うこともしない瑠夏の悪い部分から目を背けないでいただきたい。瑠夏を完全無欠な「いい子」にはしないで欲しい。彼女の悪い部分を理解したうえで許し、瑠夏を愛してほしいと思います。

 

僕は、更科瑠夏を「愛している」、もしくは「応援している」と言ったらいいのかもしれません。無鉄砲なところも含めて、瑠夏という人が好きです。無鉄砲だからこそ、恋する女の子のかわいい姿をたくさん見せてくれた。和也や千鶴を困らせてしまうことも、瑠夏はそういう子だから許してしまう。瑠夏が瑠夏らしく戦う姿を応援したい。だから、225話で、その無鉄砲さを失ってしまうことが悲しいわけですよ。瑠夏が瑠夏らしくないことが、シンプルに残念なんです。和也が好きという気持ちを抑え込み、立ち止まってしまう瑠夏なんて見たくなかったんです。

 

もし瑠夏があのまま黙っていたとしても、悪いことをしているわけではありません。ズルをしているわけでもない。和也と千鶴との約束を破ったわけでもない。ただ明かされるべき真実が明かされるのを見守っただけです。嘘をつき続けた二人が悪いんです。むしろ、一般的な目線から見たら、嘘を重ねた和也に協力する方が悪いことのはずです。瑠夏は間違いを犯せなかったのではなく、和也の気持ちを裏切れなくて、和さんを悲しませたくなくて、嘘を隠すという選択をした。瑠夏が、この選択を後悔するときが来るかもしれない。自分の気持ちに素直になっていれば良かったと、戦わなかった自分を責めるかもしれない。だから、「瑠夏ちゃんいい子だね」なんて思えないわけです。

 

正直に言ってしまえば、更科瑠夏というキャラがブレてしまっているように感じています。それまで描かれてきた更科瑠夏とかけ離れてしまっている。たとえ自己犠牲をする瑠夏が読者には「いい子」に見えても、「成長」という言葉で称賛されても、僕はそんなことは望んでいない。そんなの、瑠夏らしくない。瑠夏らしく、自分の気持ちを第一に考えて突き進んでほしかった。それが、瑠夏の、和也をどれだけ好きなのかの証明方法だったはずだから。

 

これまで僕はストーリーやキャラクターの行動に不満を言うことはありませんでした。自分の願望や正義をキャラクターに押し付けない。キャラクターの大切なものや状況を理解して、その感情に寄り添う。それが僕のポリシーだし、読み方だった。だから、たとえ馬鹿な行動をしても、素直になれなくても、罪を犯してしまっても、キャラクターに不満を感じることはなかったんです。瑠夏が千鶴にブラフをしたときでさえ、その戦いを応援してきた。麻美でさえ、その正義を認めていた。しかし、それは、キャラクターの行動や思考が一貫していることが前提です。今回はこれまで描かれてきた更科瑠夏とは違った思考と行動をしている。それに対しては納得いっていません。

 

ではでは、気持ちを切り替えて、瑠夏の気持ちの流れを整理していきましょう。

 

 

 

  和也との関係性の変化

 

瑠夏にとって和也は運命の人です。

 

 

image

◆365日 24時間は言い過ぎだけど 364 24時間くらいは 探していたと思う 225話

 

365日 24時間は言い過ぎだけど 364 24時間くらいは 探していたと思う

いつだって 頭の片隅には在って

自分は欠陥品 そう言われているような気がして

七月の短冊に書くことは いつだって決まっていて

 

瑠夏は幼いころからドキドキできない病気に悩んできました。何をしても、ドキドキを感じられなかった。いつだってドキドキできる何かを探していた。

 

恋をすれば、ドキドキできるかもしれない。そう考えた瑠夏はレンタル彼女を始めます。しかし、出会った「彼氏(お客)」は、瑠夏のことを大切にしない軽薄な人ばかりでした。

 

瑠夏がドキドキする世界をあきらめかけたとき、和也と出会います。レンタル彼女を借りる人なんて、みんな彼女を大切にしない軽薄な人だと思っていた。しかし、和也は違った。歩道橋の階段で足を滑らせた瑠夏を身を挺して守ってくれます。さらに、ただのレンタル彼女を守るために全力で、(千鶴がレンタル彼女をやっていることを)お願いしてきます。

 

そのとき初めて、瑠夏の心臓は高鳴ります。

 

 

image

◆私を灰色の世界から救い出してくれる 王子様なんだって 225話

 

だから君が現れた時は 本当に思ったんだよ?

白馬に乗った 王子様だって

私を灰色の世界から救い出してくれる 王子様なんだって

 

それは、瑠夏が探していた「本気の恋」でした。ほんの1%だけだけれど、瑠夏の人生で一度も光が当たらなかった深く閉ざされた部分に、和也は光を当て温かく照らしてくれたんです。灰色にしか見えなかった世界を鮮やかな色で染めてくれた。

 

瑠夏にとって和也は、自分がドキドキを感じられる普通の女の子なんだと教えてくれた恩人です。ドキドキする幸せをくれる大切な人です。

 

(瑠夏視点の「彼女、お借りします」は、こちらを見てください→更科瑠夏の恋物語 満足度① 更科瑠夏の恋物語 満足度②

 

 

image

◆でも 君には好きな人がいて 225話

 

でも 君には好きな人がいて

その人は とても綺麗で 大人で

勝てたと思ったことなんて 一度も無くて

 

しかし、瑠夏の夢見ていた通りにはならなかった。和也にはもう好きな人がいたんです。綺麗で大人っぽくて、嫉妬してしまうくらい素敵な人。デートをしているときも、どこか上の空で、いつも千鶴さんのことを探している。彼の本気の恋は、瑠夏ではなく、千鶴さんに向けられていたんです。

 

 

◆年甲斐もなく 一人の少女に恋でもしてるようじゃな 36話

 

お正月、瑠夏は和也や和さんが望んでいるものが「彼女」ではなく、千鶴さんだと知ります。二人の嘘をばらすのは簡単。ずるいのは二人。でも、女の子なら誰だっていいわけじゃない。千鶴さんが嘘の彼女だと明かしたところで、和也くんの彼女の席が空くだけ。自分は和也の彼女にはしてもらえない。

 

 

◆だって 本当に 好きになって欲しいからっ 46話

 

そのときから瑠夏は、和也や木ノ下家の人たちに好きになってもらわなければいけないと考えるようになります。

 

しかし、現実は厳しい。

 

◆ひとり蚊帳の外の瑠夏 87話

 

瑠夏がいくら頑張っても、和也の頭の中にいるのはいつも千鶴さん。木ノ下家の人たちも、千鶴さんに夢中。和也と千鶴の合同誕生日のとき、瑠夏は、千鶴さんには敵わないという現実に苦しみます(更科瑠夏の恋物語 満足度②)。

 

 

◆受け取れない… 89話

 

それでも、瑠夏の心に希望の灯が点ります。誕生日会で、和也が千鶴と「別れた」と言おうとしてくれたんです。結局、うやむやになってしまいましたが、それでも瑠夏は嬉しかった。

 

 

◆これは前進でしか ありません! 92話

 

私は好きな人とキスできて 2人の関係も一歩進んだんだから

これは前進でしか ありません!

 

きっといつか和也君が千鶴さんと「別れる」と言ってくれる。それは正式な彼女にしてもらうための大きな一歩です。

 

 

image

◆…適当にはしないから 瑠夏ちゃんのことも 水原のことも 誰も不幸にならないように ちゃんと終わらせるから! 225話

 

…適当にはしないから 瑠夏ちゃんのことも 水原のことも 誰も不幸にならないように ちゃんと終わらせるから!

 

その後和也は、千鶴さんとの関係を終わらせる気でいると言ってくれます(250日記念の日は7月上旬辺りなので、この会話は和也と千鶴の合同誕生日の後です)。和也は、千鶴さんとの嘘の恋人関係も、瑠夏とのお試しの関係も、うやむやにする気はないんです。

 

 

image

◆ずっとこのままだったら どうしようって 本当に本当に 大好きだから― 225話

 

ずっとこのままだったら どうしようって

本当に本当に 大好きだから―

 

瑠夏は、このまま和也とはお試しの関係が続いてしまったらと不安です。和也のことが本当に大好きなのに、彼が好きなのは千鶴さんで、自分との関係が深まらないように避けられたり、突っぱねられたりします。このまま好きになってもらえず、彼女してもらえず、彼は「本当の彼女」を作って、そのときにはお試しの関係さえ失ってしまうかもしれません。和也が他の誰かのものになって、彼の傍にいる権利さえ奪われてしまうかもしれない。

 

そんな大きな不安を抱えながら、瑠夏は、和也が千鶴さんとの関係を終わらせて、自分に振り向いてくれる未来を信じているんですね。

 

 

 

  更科瑠夏の葛藤

 

そしてハワイアンズ、麻美によって千鶴がレンタル彼女であることがバレてしまいます。周りからすれば、水原千鶴という素敵な彼の彼女は、千鶴が演じてきた虚構のキャラクター。仕事を理由にそのキャラを演じてきた千鶴は、木ノ下家や実のおばあさんを騙してきた悪い子だと思われて仕方がない。千鶴を嘘つきにしたくない和也は、嘘を重ねて千鶴と本当に付き合っていることにしようとします。しかし、麻美がキスをしろと要求。レンタル彼女にキスなんてできるはずがなく、このままでは和也が言ったことが嘘だと知られてしまう。

 

和也が嘘を重ねるのを見て、瑠夏は彼がこの嘘を守ろうとしていると分かっています。千鶴と自分は付き合っているという嘘を守り抜く。それが和也の意志。

 

瑠夏は和也から、「瑠夏ちゃんを不幸にはしない、嘘の恋人関係をいつか終わらせる」と聞いています。彼は、この嘘と真剣に向き合うことを約束してくれているんです。それを信じるなら、和也の言ったことを信じるよう、周りを諭すべき。

 

しかし、その一方で、瑠夏はふたりの嘘の恋人関係に不満を持っていました。麻美と同じように、二人のやっていることは間違っているんだと何度も伝えてきた(34話)。ずるいのは二人。

 

 

image

◆私は… 私は…! 決まってる!そんなの! 225話

 

私は… 私は…! 決まってる!そんなの!

何もしなければいい!

ただ見てるだけで 二人の嘘の恋人関係は終わる

和也君と千鶴さんを助ける必要なんてない

 

和也は和おばあさんが千鶴さんのことを気に入っていることを理由に、嘘の恋人関係を続けてきた。そのせいで、瑠夏はいつまでもお試し彼女のままだし、木ノ下家の前では千鶴さんの友達扱い。本当の彼女は自分なのに、木ノ下家に大切にされるのは千鶴さんで、自分は千鶴さんのお友達のフリをしなければいけなかった。千鶴さんは、口では和也君のことが好きではないと言うくせに、レンタル彼女の依頼を受け続けてるし、和也と協力して嘘を隠そうとしている。間違ったことなのに。レンタル彼女を本物の彼女だと言い続けることも、そんなお客さんに協力するレンタル彼女も、絶対に間違ってるのに、二人は嘘の関係を続けてきた。

 

 

image

◆ねぇ和也君 私と和也君は運命なんだよ? 225話

 

だって すっと探してたんだから…! ずっと

千鶴さんなんかより ずっと ずっと!

だって 悪いのは 2人でしょ!?

ずっと ずっと 後回しにして! ずっとずっとはぐらかして!

 

世界で一番和也のことが好きなのは、自分なんだから。和也くんと千鶴さんが嘘の恋人関係を続けることは間違ってるんだから。特別な人を独り占めしたいと思うのは悪いことじゃない。いつかちゃんと好きって言ってもらえるように、これからもっともっと頑張るから。

 

 

image

◆ごめんね 和也君 ごめんね…っ 225話

 

瑠夏はそう自分に言い聞かせ、和也を裏切ってしまう罪悪感と戦い、必死に立ち止まります。瑠夏は、このまま黙って、二人の関係が終わるのを見守るはずだった。

 

 

image

◆和さんを見つめる瑠夏 225話

 

しかし、そのとき瑠夏の目に入ったものは、和おばあさんでした。

 

 

image

◆東京のばあさんだと思って いつでも頼ってくれ… 85話

 

瑠夏が和也のお試し彼女になったばかりのころ、彼女にとって和おばあさんは、「ただの和也君のおばあさん」だったはずです。彼女になるための攻略対象とでもいうべきでしょうか。しかし、和也と千鶴の合同誕生日やこのハワイアンズで共に過ごすうちに、そのやさしさに触れ、瑠夏にとっても大切な存在へと変わっていきました。

 

 

image

◆儂はそんな瑠夏殿の事も 大好きなんじゃ 225話

 

儂は瑠夏殿も好きなんじゃ 元気な声も 溌剌とした笑顔も

傍にいるだけで こちらまで 若返るようじゃ


そう言って瑠夏を褒める和おばあさん。瑠夏は、自分はただの千鶴さんのお友達だと思われていると考えていました。でもそうではなかった。和おばあさんは、瑠夏のことも大好きで、大切に思ってくれていた。このハワイワンズへの旅行にも、瑠夏に喜んで欲しくて誘ったんです。

 

瑠夏は、和おばあさんにとって水原千鶴という女の子がどれほど大切なのか知っています。本当の娘のように、その幸せを願っているんです(【204話】本当の娘みたい 追いつめられた瑠夏は!?)。そんな大切な人が嘘をつき、自分を騙していたと知ったら、どれほど辛いだろうか。だから瑠夏は、千鶴がレンタル彼女だとバレたとき自分は平気だと言って強がる和さんを見て、瞳を潤ませませていた(223話)。

 

 

image

◆2人が付き合ってるって 言ってるんだから それでいいじゃないですかっ! 225話

 

ちょっと皆さん 顔 怖いですよ…

2人が付き合ってるって 言ってるんだから それでいいじゃないですかっ!

 

瑠夏は黙って嘘がバレるのを見ていられませんでした。和也の意志を裏切ることも、和おばあさんを悲しませることもできなかった。和也を独り占めしたいという気持ちや二人への不満を押し殺し、周りに和也の言うことを信じるように促します。

 

 

 

瑠夏の葛藤を分かりやすく整理してみます。この葛藤では、二つの思いがぶつかり合っています。

 

①和也の意志は嘘を守ることであり、瑠夏にとっても和也は大切な人なので、その思いに反する行為をしたくない。和也は千鶴さんとの関係を終わらせると言ってくれていたので、その思いを裏切りたくない。彼を嘘つきにしたくない。(プラス、自分にとっても大切な和おばあさんを悲しませたくない)

 

②早く千鶴さんとの関係を終わらせてほしい。和也を独り占めしたい。

 

黙って見ていれば(和也の嘘がバレてしまえば)、嘘の恋人関係を終わらせることができますが、和也を裏切ってしまうことになります。和也に助け船を出せば、和也を裏切ることにはなりませんが、和也と千鶴の関係を終わらせることはできません。瑠夏は、どちらの選択をしたらいいのか、迷っていたわけです。

 

はじめは、黙っているつもりだった(②の気持ちの方が強かった)。しかし、和さんを悲しませるのが嫌だという気持ちが高まって、助け船を出してしまった(①の選択をした)。和也を裏切りたくないという気持ち(①)に、和さんを悲しませたくないという気持ちが重なって、千鶴と和也の関係を終わらせたいという気持ち(②)を上回ってしまったわけです。

 

僕が違和感があるのは、この場面で瑠夏が和也や和さんの気持ちを推し量るだけの気持ちの余裕があったこと。また、和也を独り占めしたいという気持ちを殺してしまったことです。それまでの瑠夏は、たとえ目の前に障害があったとしても(精神的な葛藤があっても)、自分を正当化し、納得させ、和也の彼女になるために突き進んでいたのですが。

 

 

 

  現状維持という選択

 

僕は、和也が実質的に千鶴に告白してしまったので、瑠夏はふたりがこのまま本当に恋人になってしまうんではないかと不安になるだろうと思っていました(【224話】嘘を真実に変えた和也の告白)。しかし、瑠夏は二人の嘘がバレたとき、嘘を守る立場に立つのか、真実を明かす立場に立つのかばかり悩んでしまい、そこまで思考が回っていないようです。

 

瑠夏の苦渋の決断は、「現状維持」です。和也を諦めることでも、千鶴と和也の本当の恋人関係を認めることでもありません。和也の彼女の席を空けるチャンスを捨てて、自分の手でこの嘘を終わらせてくれると言った彼の言葉を信じたということですね。

 

瑠夏の思惑通り周りが和也の嘘を信じれば、ふたりの嘘の恋人関係はこの後も続きます。千鶴と和也は嘘の恋人関係で、瑠夏はお試しであるものの本物の彼女。これまでの関係が壊れることなく、維持されるわけです。

 

もし仮に、瑠夏が黙っていて、和也と千鶴は付き合っていないということになったとしても、それは瑠夏が和也の彼女になれるという意味ではありません。ただ和也の彼女の席が空いたというだけ。和也が千鶴さんとデートすることはなくなるでしょうが、瑠夏のことを好きになって付き合うという意味ではありません。瑠夏が彼女の座に座れる保証なんてどこにもないんです。瑠夏が和也を裏切らず、和さんを悲しませないという選択をしたのは、嘘の恋人関係が終わらせても、本当に欲しいものが手に入るわけではなかったから、というのが大きな理由でしょう。もし、本当に和也を手に入れられる状況や、千鶴に奪われてしまうような状況が訪れたら、瑠夏はさすがに止まらないでしょうね。

 

 

 

  想定外だった瑠夏の反抗

 

今、真実を明かしたいチームと、嘘を守りたいチームの熾烈なバトルが繰り広げられています。麻美が真実を明かし、その演技で千鶴を悪者にしようとすれば、和也がそうはさせないと嘘を重ねる。すると麻美がだったらキスをして証明してみろと要求する。それに対して、瑠夏が和也の言うことを信じようと周りを諭す。さながら、技に技で対抗するバトル漫画。

 

 

image

◆つっ 225話

 

瑠夏が和也の味方になるのを見て、麻美は舌打ちをします。瑠夏の行動は予想外だったでしょうね。麻美は和也と千鶴の関係に不満を持っていた。当然、千鶴のせいで彼女になれない瑠夏も二人の関係に不満を抱いていると思っていた。だから、プールで声をかけて瑠夏の様子を伺ったわけです(200話)(ただし、このとき麻美の目的は分かりません。瑠夏の反応次第で、味方につけようと画策していたのかもしれません)。しかし、「その時」が来たとき、瑠夏は千鶴と和也の味方に付いたわけです。

 

このあと瑠夏の言うこと次第では、キスをして証明してみろという脅しもうやむやになり、周りの人が和也の嘘を信じてしまうかもしれません。それでは、水原千鶴が小百合さんに嘘をついていたことにはならない。千鶴に嘘をついてきた報いを負わせたい麻美は、納得いくはずがありません。麻美は何とかして、和也の言っていることが嘘だと証明したいはずです。

 

瑠夏の助け船は、周りに和也の言ったことを信じようと呼びかけただけで、周の人たちを納得させられたわけではありません。和也と千鶴の二人が、周りの人を納得させる必要があるという状況に変わりはありません。証明のためにキスをするという必然性が無くなったわけではないんです。現状、麻美の優勢は続いている。

 

さらに、麻美にはもうひとつカードを持っています。それが、瑠夏が和也の彼女だという事実です。木ノ下家や木部が和也の言うことを信じそうになれば、何とか止めなければいけない。そのとき、このカードが出てくる可能性だってあるわけです。「瑠夏ちゃん、あなたはこれでいいの?本当のこと言えなくて、ずっと我慢して、」なんて発言が麻美から出でもおかしくないです。

 

 

という感じで、225話を振り返ってみました。瑠夏は千鶴と和也側についたわけですが、勝負が決したわけではありません。むしろ、麻美の反撃を煽ってしまったように見えます。この後、麻美がどう切り返してくるのか、そしてそのとき、和也や千鶴、瑠夏がどうするのか、注目しておきましょう。

 

そして、やっぱり勝負を決めるのは、千鶴なのかなと期待しています。次回予告が「好きだから」なんですが、千鶴が和也のことを好きだというのかもしれませんね。もちろん和也は、水原がそういうのは自分の嘘に協力しているだけなんだと思うわけですけどね。

 

では、また次の記事で!