『海賊と呼ばれた男(上・下)』
百田直樹
2014年7月15日第1刷発行
講談社
出光興産創業者・出光佐三がモデルの小説。
高杉良の「虚構の城」が出光興産がモデルであり、比較に意味を込めて話題の書を手に取った。
日本人の中でいち早く「石油」に目を付け、小売業を開始。
開始当時は石炭がメジャー資源であり、石油はマーケットが全くなく、扱うことを大勢から
反対されながらも販売開始。日田重太郎氏という資産家より献身的な支援を数度となく受け、
危機を乗り越えていく。
漁船への海上デリバリー給油が当時のエリア販売の商慣習破りとして、「海賊」の異名をつけられる
原因に。
機械油(潤滑油)の配合実験を繰り返し、低温に強い機械油を開発。アメリカメジャー製の機械油を
ブランド過信で使用していた満鉄を説得し、冬の満州で米メジャー会社立会いの下、実演を行い、
参入に成功。
消費者第一を考え、会社の利益よりも消費者への還元を優先した販売政策が、業界他社からの
反感を買う。また、戦後、従来の日本の石油会社の大半は、欧米メジャー資本と従属的提携を
強いられたが、出光のみは、独自路線を堅持。国内外より包囲網を受けるも、独自で石油タンカーを
製造し、北中米からゲリラ的に石油を調達。また、イラクより、英の外交・軍事的圧力をかいくぐり
石油の調達を実施。
さらには、日本で石油の精製ラインを持ち、現在に連なる盤石な体制を構築。
一方で、高杉良から批判的に描かれた「大家族主義」(労働組合なし)等は、出光佐三の理想的な
経営手法であり、また、出光佐三のカリスマによる影響が強すぎる点によることがよく分かる。