経団連「エネルギー政策に関する第2次提言」について | こらあのブログ

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11月15日に経団連から掲題の提言が発表された。
このブログでこのような提言に対するコメントを発するのは
唐突な感があるかもしれないが、エネルギー政策に関しては
個人的な思い入れがあるので、ご容赦願いたい。

まず、今回の経団連の発表内容については非常に残念である。
今回に限らず各種発表が同様であるが、日本をリードする大企業の経営者の
団体としては、自己の権益にあまりに固執した内容であり、本来エリートの集団であり
知識・見識・ノウハウ・判断力・実力とを兼ね備えた方々の提言としては物足りない。
日本という国家を適正にリードしようという気概が感じられず、ただ単に自己が
責任を負っている「自分の企業の利益」という視点からのみの提言であると
言わざるを得ず、大変残念である。

テーマは異なるが同様の姿勢は今年の「春闘」前の姿勢においても見られた。
今年の春闘に関しては、最終的には東日本大震災によって「場外乱闘」的な
結末を迎えた訳であるが、震災前までの経団連の姿勢は非常に「保守的」なもので
あった。
各種マスコミも批判は展開していたが、リーマンショック以降の企業業績悪化の際に
労働者に協力を求めた(強いた?)賃金(一時金を含めた広義の賃金)の減額に対
し、
企業業績が明確に回復傾向にある中で、連合を中心とする労働者側は賃金の「復
元」を
要求した訳であるが、経団連は種々の言い訳を用いて断固たる反対を表明したので
ある。

①客観的な視点、②マクロ経済学的視点、③国家的視点、から見れば、労働者側の言い分

明らかに理がある。
①企業が苦しい時に労働者側に負担を負わせたわけであるから、最低限として業績に
対応した
水準に戻す道義的責任がある。
②景気回復は、時限的な政策主導、外需主導型であったことから、内需喚起が必要で
あり、
国内消費拡大に向けて所得を上昇させる必要があった。仮に貯蓄選考が高かったと
しても
コストはかかるものの金融システムを通じて再分配されることになるので、需要喚起には繋
がる。
③財政再建の観点から、社会保障制度の抜本的見直し、消費税等の増税が民主党にお
いて
議論されていた時期であり、国民の安心感確保のためにも賃金の回復は必要であっ
た。

経団連として、労働者側の要求を歓迎する旨の公式発言はできないだろうが、もう
少し
度量の広い見識での発言をして欲しかった。

今回のエネルギー政策に関する第2次提言についても同様の趣を感じたので、今回コメントさ
せて
頂くこととした。

さて、本題に戻るが、今回の経団連による「エネルギー政策に関する第2次提言」につい

大企業の利益という視点からのみの内容であると感じるのは以下の理由である。

中長期のエネルギー政策のあり方という項目において、(2)柔軟かつ多様なエネルギー利
用計画の策定、
(3)安定した電力需給の実現、(4)技術を活かした国際貢献の推進、とそれぞれの表
題は正に
日本のエネルギー政策において課題としている項目であり、正しい視点であると思われ
るが、
中身を俯瞰すると「原発推進」と書かれているだけである。
「(2)柔軟かつ多様なエネルギー利用計画の策定」という観点からは、本来エネルギーのベスト
ミックスという観点から
エネルギー安全保障の観点、環境負荷の観点、技術・経済性の観点からまさに最適な役
割配分を論じた
上での提言であるべきだが、政府の掲げる目標は経済性の観点から「野心的」なも
のであり、
現実的ではないから原子力に回帰すべきだとの提言は安直過ぎる。
ソフトバンクの孫氏が机を叩いて怒ったという記事が新聞報道されていたが、孫氏の思惑
がどこにあるかは
別として、「(3)安定した電力需給の実現」を含めても企業における負担増(コストアッ
プ・自主的なエネルギー確保)
を避けたいという理由が見え見えでそのような理由のみで、単純にエネルギー源を原子
力に頼る
という結論に至るのは軽薄である。また、「(4)技術を活かした国際貢献の推進」に
おいても
①化石燃料の効率利用技術、②原子力技術に触れているものの、なぜか新エネルギーに関
する
コメントは出てこない。コストは別としても化石燃料同様に太陽電池は世界最高水準のエネル
ギー変換効率
を誇っているはずであるし、マイクロ水力発電や風力発電等の「再生可能エネルギー」分野
においても
国際貢献は十分に可能である。むしろ、京都議定書における枠組みで毎回議論され
ているように
途上国を含めた環境問題に対する取組が今後必ず顕在化する中で、日本の技術力は
必ず求められる。
東日本大震災の前から欧州においては脱原発が進められている中では、日本の技術
資源を
「再生可能エネルギー」分野に重点配分する方が、中長期的な戦略としては原子力に注
力するよりも
ビジネスチャンスの拡大に繋がる可能性が明らかに高い。

さらには、「(5)温暖化政策とエネルギー政策の一体的推進」という項目についても
表題としては
正しい視点であると言える。但し、中身を俯瞰すると「温室効果ガスの中期目標も
一体的に検討し、ゼロベースで見直すべきである。」また、「日本の事情を速やか
に国際社会に
説明し、理解を得る」というコメントからわかるように、日本の温室効果ガス削減に対す
る取組に対して
国際社会からは明らかに後ろ向きと捉えられるような内容であり、日本の経済界の
リーダーとして
日本全体を正しい方向に牽引するという視点を持っているようには思えない。

再三の繰り返しにはなるが、日本の最高峰の幹部集団である経団連がこのような
「安直」と
捉えられるような提言を「文書」として出すことが非常に残念でならない。
もう少し「安直」とは言われないような努力をすべきではないか。
経団連は官僚組織や政治組織ではない訳ではあるが、反論をも内包した度量のある
内容
とすることで、もう少しイメージは変わると思うのだが…。
逆に、このようなコメントを出すことで、「安直な経団連を押し切ってでも毅然と対応
する野田政権」
というイメージを国民に与えようと考えているのであれば、あり難いが・・・。

本来は提言全般に関してもう少し詳細に論駁すべきではあるが、時間の制約から、
一部分のみを取り出しての「感覚的」な視点からの批判ではあるが、批判とさせて
頂きたい。