”記憶を失ってしまいました”② | 子連れホームレスからの再起・・・私の貧乏の戦い方

子連れホームレスからの再起・・・私の貧乏の戦い方

人生何が起きるかわからない、身内に翻弄されて子連れホームレスになった薄給リーマン一家の自力再生と今。

 

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記憶を失う直前に作ったハンバーガー。

これを食べた記憶はありますが、

作った時にはすでに私の脳は黄色信号だったのでしょう。

はみ出した玉ねぎは私の脳みたい。

 

 

前回の続き、

 

結果的に、失った記憶は戻ってきていません。

そしてこの先も戻ることはありません。

 

私は父がクモ膜下出血で重い後遺症を負ったので、

遺伝的なリスクを考えて、脳神経外科で頭部のMRIを撮るようにしています。

 

おかしな言動をする私を見て、

夫は救急車を呼ぶか迷っていたそうですが、

息子と電話をしているうちに、ちゃんと話をしているようだったので大丈夫かと思ったとか、

 

でも、私にはその時の記憶もありません。

 

やがて全身麻酔から覚めたように頭の焦点がいくらか合ってきて、

少しずつ、本当に少しずつ夫の言っていることが理解できるようになって、

 

私が認知症のような状態にあったことを夫に聞かされても、

 

「へんなの~」と楽しい経験でもしたかのようにケラケラ笑えて仕方ありませんでした。

 

まるで他人事か、演技をしていたかのような変な感じ。

 

それでも首の後ろ辺りの軽い痛みと、頭のピントが合っていない感じを引きずっていました。

 

これが大変なことかもしれないとの認識に繋がりません。

 

「明日病院に行ってみるか?」と聞かれても、

 

「なんで私を認知症みたいに言うのよ?

ちょっとスマホに覚えのないLINEがあるだけじゃん?

友達に送ろうとして間違っただけなんじゃないの?」と、

 

スマホを見返すたびに(そう一度に全てを把握できなかったのです)

少しずつ見返すたびに次々に発見する記憶にないおかしな履歴に気が付いて、

LINEの乗っ取りでもないし、

夫の言っていたこともウソではないのだと、確かに私はおかしかったのだと、

夜になってから、ようやく自分の様子を素直に聞くことが出来るようになりました。

 

言葉が得意ではない夫に私が質問をしては、

返ってくる夫の小さなピース(言葉)で埋めていく作業をしていくと、

 

少し前に私のトラウマを夫がつつきだすような出来事があり、

それ以来、血圧がかなり高く、脈拍も多く、頭痛もあって、

かなり良くない状態が続いていたので、

自分で脳血管型の認知症の疑いを持ちました。

 

何をどうしてもなかなか落ち着かない血圧、

いつもは寒いと布団をかけて寝るのに、

その日は暑く、普段は一年に一度も使わない扇風機をかけ、

それだけでは足りず、窓も開けて寝ました。

 

夫は私の体感温度の変化にも異常さを感じたとか。

 

脳のどこかで何がが起きている・・・

 

頭痛もハンマーで叩かれるようなものではないのでクモ膜下出血ではないだろうけれど、

脳梗塞かも知れない。

 

何もなくてこんな異常な症状が出るワケはない。

観念して、明日はまずかかりつけの脳神経外科を受診して、その後心療内科かなと、

出来れば脳が原因ではなく、薬で対処できる心の問題であって欲しいな、でも無理なんだろうな。

 

いつもはひとりで受診するけれど、記憶がないので症状の説明ができない。

またいつ記憶が無くなるかわからないので、夫に休んで付き添いをお願いするしかない。

 

考えるのは、

これからあんな症状が頻発するようになるのかも?

この後、私はどんな風に生きればいいのか?

 

夜中にでもおかしなことがあれば迷わず救急車を呼んで欲しいと伝えて眠りについて、

無事に朝を迎えることができた。

 

頭の焦点はまだ完全には合ってない感じはある、

首の後ろ辺りの痛み、血圧も相変わらず高く、脈拍も安静にしているのに100近い。

 

とにかく早く病院へ、

 

朝一で飛び込んだのに、コロナ対策でかそれまでは聞いたことがないくらいに予約で来ている患者さんが殆どだった。

 

長い待ち時間の間もエアコンが効いているはずなのに、ぐっしょりと汗をかく私。

 

ようやく診察になって、私の状況を知っている夫と一緒に診察室へ。

 

その時、また初めて聞く私の様子に、驚いて夫を振り向く。

 

自分のことなのに、知らないことばかり。

 

先生と話していると、それまで血圧が高い自覚があったのが、

スーッと落ち着いていくのを感じた。

 

「それは一過性全健忘だと思われます。

脳の海馬への血流が一時的に滞って短気記憶が出来なくなるんです」

梗塞などの脳の疾患もないかの検査もしましょう」

 

頭部MRIを撮ってもらい、夫と結果の説明を受ける。

 

先生の話ぶり、抑揚のひとつひとつにも敏感になってしまう。

 

 

結果、出血も過去の出血の痕跡も無し、梗塞も無し、

 

 

自分で自覚している最大級のトラウマが発動してしまったストレスにより、

記憶をごっそり失ってしまったってことだったようだ。

 

うん、耐えがたいストレスの中に居た自覚は十分にある。

上手くそれを乗り越えようとして鉄壁のバリケードを築いたつもりが、

夫の無神経な言葉で内部崩壊してしまったと言う感じか。

 

先生曰く、

今回のことでの、一過性全健忘はこの一度きりで、今後繰り返すことはないでしょうと、

脳神経外科的には投薬治療も必要ないとのことでしたが、

 

記憶を失うことにならなくても、

トラウマによってまた血圧が上がって脳梗塞とか、良くない影響を及ぼしかねないので、

そこらへんの相談をすると、

 

「あなたが持っているもの(トラウマ)と今後も向き合えるのであれば、

今回のように血圧が暴れて収まらない時には、貼り薬って方法もありますよ」と、

 

貼り薬をお守り代わりに持ち歩くことにした。

 

少しずつ頭がクリアになってきても、

当然のごとく、失くした記憶は一向に戻ってくる気配もない。

 

診断から一日経っても、

料理をすればいつもより手際が悪いし、ゆめちゃんのお世話をうっかり忘れるし、

PayPayでスキャンして支払いをするお店では金額の入力を間違ってしまうし、

失った記憶に引っ張られているように曜日と日にちの認識にずれがあって、

感覚を調整するにはまだもう少しかかりそうな気がするけれど、

 

本当に不思議な体験をしました。

 

消したい記憶だけ消せればいいのにね。