30円のサッポロポテト | 子連れホームレスからの再起・・・私の貧乏の戦い方

子連れホームレスからの再起・・・私の貧乏の戦い方

人生何が起きるかわからない、身内に翻弄されて子連れホームレスになった薄給リーマン一家の自力再生と今。

 

小さな息子を連れ、住んでいた家を追い出され、

日中は浜辺で時間を過ごし、車で寝泊まりを続けていた30年ほど前のある日、

 

忘れもしない、

とうとう、お財布には50円玉がひとつしかなくなり、

それで小袋のスナック菓子をひとつ買い、それを息子に食べさせ、

飲み水は浜辺にぽつんとあった蛇口の水道水が頼り。

 

我が家的には『一杯のかけそば』なんて、

外食出来るだけ贅沢な話だと思ったくらいで、

 

私もずっと太っていることに悩んでいた割には、

そうやって自分は食べられないことも多かったんだった。

 

 

 

 

少ない収入でも誠実に生活していたのに、

こんな目に遭うなんて、

 

息子の将来はどうなってしまうんだろう?と、

申し訳なさと不安で押しつぶされそうだった。

 

どんなことがあっても、石にかじりついても、私の命に代えても、

必ず息子にそんな背景を感じさせない人生を・・・と決心したのは、

 

車の中で星空を見ながら眠りに付いたあの時だった。

 

 

その息子は、

いつの間にか冷静で心に余裕のある大人に成長したもんだと思う。

 

ほんの3年くらい前まではまだ、

元気づけに半年に1度は東京に行ってたのにね。

 

もうすっかりそんな必要もなくなってきた。

 

鈍感な夫でさえ

「最近の〇〇(息子)は清々しい顔をしている」というくらい表情が違う。

 

 

一時的には心と環境のバランスが取れず、

ひとりで大人になったようなそんな物言いをしていた時もあった。

 

思い上がったような態度に、なんか鼻に付くなとは思ったけれど、

若い頃は、そんな時期もあるもんなんだろうとあえてそのことは指摘しないでおいた。

 

「なんだ、この安月給がえらそーに」って言われたりしたら、

こちらはぐうの音も出ないからね(笑)

自分で気が付かないことにはね。

 

 

息子に気付かせてくださったのは上司の方たち、

 

日頃から息子を見ていて、若い親がどうやってここまで育てたか、

 

まさかホームレス状態だったとは思いもしないだろうけれど(笑)

 

「ここまで育てるのは生半可なものではなかったはずだよ?

しっかり親孝行しなきゃね」

 

経歴も、もちろん人物も素晴らしい方たちが、

口をそろえて自分の親のことを称賛してくださることに、

息子は親への感謝の気持ちを新たにしたのだと言ってくれたけれど、

 

報われないことの多い人生の中で、

そんな報われない時も無駄じゃなかったと思わせてくれたことに、

むしろ、私たちの方が感謝している。

 

すっかり大人としての自信を付けた息子に、

親への感謝の気持ちなんてぽろっと言われたら、

 

全身がうれし泣きの涙となって、うっかり流れて消えてしまいそうになる(笑)

 

街を歩いていてちょっと行動のおかしい人を見つけたら、

さりげなく私の安全を気遣って、

 

「その店に入っといで」

 

無償の愛を注いだ我が子に愛を返してもらったりしたら

かーちゃん、もったいなくて涙腺崩壊えーん

 

 

一緒に食事をしても、さりげなく支払いをしてくれている姿なんて見たら、

 

それが、あの時50円玉ひとつで買えるものを探して、

サッポロポテトの小袋を買い与えたあの息子なのだと思うと・・・ね。

 

生きていてよかったなぁとしみじみと思う。

 

 

きっとね、そんな幸せな時って長い人生の中で一瞬なんだと思うよ。

 

一瞬でも母親にとっては一生もの。

 

その一瞬のために、

みんな長い時間を費やし、心を痛めて、それでも前向きになろうと必死に生きていく。

 

私も息子のことでは、今ようやくだけど、

その他では(お互いの実家問題)相変わらず大きな不安が口を広げて待ち構えていて、

不安に押しつぶされそうになっていたりする、

 

 

石にかじりついていたら、きっといつか実ることもあるんだと、

 

 

今、大きな迷いの中にいるあなたも、一緒に信じようね。