もう一度食べたい味(私編) | 子連れホームレスからの再起・・・私の貧乏の戦い方

子連れホームレスからの再起・・・私の貧乏の戦い方

人生何が起きるかわからない、身内に翻弄されて子連れホームレスになった薄給リーマン一家の自力再生と今。

いさなさんのところで拝見した

『もう一度食べたい味』という記事がとても印象的で、


私の食べたい味ってなんだろう?と考えてみました。


もう一度食べたいと思うのは、味覚だけでなく思い出が占める割合も大きいですね。


私がもう一度食べたいものは、

近所の駄菓子やで祖父に良く買ってもらっていたバナナの形をしたマシュマロ。

きっと今食べると香料と着色料がきつくて美味しくないんだろうけど、

香りと味で当時の記憶が鮮明に蘇るんじゃないかな?って思います。



もうひとつは、昔、長崎に東洋軒というパン屋さんがあって、

そこの固めのスポンジのような生地にクリームが挟んである「ヤキリンゴ」と言うパン。


このヤキリンゴって福岡でも他のパンメーカーのものが売ってあるんですが、

東洋軒とは比べ物にならないくらい美味しくなくて子供心にショックを受けました。

今ではすっかり他のメーカーのにも馴染んでしまいましたが、

今でも食べるたびに「東洋軒のほうが美味しかったな」と思い出します。



私が忘れられないのが、

以前、夫の母が病床に伏していて、

日に日に弱って、食欲もなくなってきていた時のこと、


少しでも食べてもらいたくて、義母の好きなものを用意しようと思って、

「お義母さん、何か食べたいものある?」と聞いたことがあります。



義母の答えは

「もう一度あの具雑煮と茶碗蒸しが食べたいねぇ」


福岡生まれ福岡育ちの義母が、もう一度食べたいと目を細めて語ったものは、

長崎の具雑煮と、長崎の吉宗 (よっそう)というお店の茶碗蒸し


※具雑煮は、島原地方の郷土料理で、

文字通り、具がたくさん入ったお雑煮で、島原に行くとお店で一年中食べられます。



吉宗はお持ち帰り用のお店があったので、義母に持ち帰ろうと思ったものの、

その時は、福岡までは時間がかかりすぎると言うので、売ってもらえませんでした。


現在は冷凍されたものがネットショッピングでも可能なようです。



どちらも食道楽な義母がもう一度食べたいと言うほど、美味しいんですが、

義母にとっては、孫と一緒に長崎旅行した時の思い出がより美味しくしてくれていたんだと思います。



もう一度、義母に食べさせてあげることは叶わず、

それから数ヵ月後に他界しました。


今でも時々長崎に行って吉宗に寄ると

「食べさせてあげられなかったのが心残りやな」という夫。



でもね、そんな思い出を作ってあげられた夫は

親孝行な息子なんじゃないかなって思います。



もう一度食べたい味って何だろう?と考えるだけで、

そこにはもれなく幸せな情景が浮かびますね。