洗濯物をくすぐってみると面白い。
「おてんとうさまの
まんまえで
わらってつったつ」(木端美人)
『・・・・・干物』(拙著「亀裂が奔る」PP.66〜67より)
くすぐってやれ
くすぐってやれ
かくさねばならなかったものや
隠してきたモノどもを
くすぐってやれ
昨日落としてしまったものや
記憶から隠れてしまったモノどもを
くすぐってやれ
ほら出てきた
いでてきた いでてきた
隠す必要のなかったものが
いでてきた
見向きもされないものが
いでてきた
そして
お天道様の真ん前で
笑ってつったつ
お前の陽炎
多くのモノゴトがデジタル化に向かい、社会を微塵切りにしてゆく。その断ち切られ或いは引き裂かれた境界には、謎の亀裂が増殖している。自覚しにくい日常的に拡散している生活の亀裂には、我々が取りこぼしてきた、あるいは忌避してきた情念の骸が潜んでいるのではないだろうか。
この詩集は、それらの亀裂を言葉の目地によって捉え、危うい亀裂の輪郭を浮かびあがらせることで、デジタルの世界では見過ごしてしまいがちな、もう一つの現実の世界を浮かび上がらせる試みである。(2016年「出版にあたってのコメント」より)

