それなりに尾を引いている話ですし、ご存じの方も多いことでしょう。

 

 

「フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない。よっぽど慎重に考えないといけない」

 

「文部科学省がフリースクールの存在を認めたことにがくぜんとしている。大半の善良な市民は、嫌がる子どもに無理してでも義務教育を受けさせようとしている」

 

「ごく少数の人に対して、(行政で)負担をみなさい、というのはフリースクールに行きたいという雪崩現象が起こる怖さを感じる」

 

 

17日、滋賀県首長会議という場で、東近江市長がこういった発言をしたそうで。

 

さらに、記者会見では下のような補足を加えたとのこと。

 

 

「不登校は大半は親の責任。財政支援を国が言うべきではない。(フリースクールの)存在を認めるかどうかの論議をもっとすべきだ」

 

 


 

う〜ん・・・

 

そりゃまあ、どんな考え、意見を持つのも自由ではあるのだけれども。とりあえず、市長という立場で言って良いことではないような・・・

 

 

20日には、こんなことまで言ってます。

 

「普通の親は、普通っていうか、一生懸命、頑張っている親は、嫌でも(学校に)押し込んでるわけですよね。懸念されるのは、フリースクールは言ってみれば、楽ですから。親も楽だと思います、子どもが機嫌良かったら。それでいいのかと。必死で義務教育を受けさせている親たち、子どもたちが雪崩現象を起こすんじゃないかという危機感を持っている」

 

「0歳から6歳まで育ててきた親は、責任があると言わざるを得ない。責任は親にある。大半は親にある。(Q.学校に通うのは当たり前で、甘やかしてはならないと)そうなんです。それが普通なんです」

 

 

 

で、やはり、あちらこちらから批判の声が上がったようで。

 

全体の中の割合として加盟している団体はそれほど多くはないようですが、「フリースクール全国ネットワーク」というものがあり、他団体とともに、以下で始まる「意見書」を出したそうです。

 

 

NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク、NPO法人多様な学びプロジェクトの3団体は、2023年10月17日に行われた滋賀県の不登校対策について議論する首長会議における小椋正清東近江市市長の「善良な市民は本当にいやがる子どもを無理して学校という枠に押し込んででも学校教育に基づく義務教育を受けさせようとしている」、「不登校は大半は親の責任」、「フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない」という発言について、次の理由により撤回を求めます。

 

でもって、その理由として、以下の4項目を挙げています。

 

1)子どもの命を守る

2)教育を受ける権利を守るのが首長の責任
3)不登校に対する偏見の助長により苦しむ家庭を増やさない
4)子どもの中心の学びを実現する必要性
 
興味のある方は、リンク先の全文に当たってみてください。
 


 

 

そんなこんなで、当初はかなり強気だった市長さんも、さすがに捨て置けなくなったのでしょう。25日になると、若干譲歩。

 

「フリースクールへ行かざるを得ない保護者の皆さん、フリースクールを運営している皆さん、そういう方にとっては、私の配慮の足りない、ワンフレーズで伝わってしまったことに対して、非常に傷つけることになった。これは深く反省して謝罪いたしたい」
 

 

ただ、発言の「撤回」はしないと、その一線は譲らないようです。

 

「撤回して、何の効果があるんですか。私は、信念を持って発言しているわけですから、そこのところは分かっていただきたい。(Q.『不登校の大半は親の責任』不適切と思うか思わないか2択で)二者択一じゃないって言ってるでしょ。私がここで頑張って『もういいや』と、『もう不適切でした』と言えば、皆さん納得するんですか」

 

 

 

 

でもまあ、とりあえず、滋賀県フリースクール協議会との面会では「(市長には)今後、現場を実際に見て理解を深めてもらう」というところまで、双方歩み寄ったようではあります。

 

 

 

いや、しかし・・・

 

あくまでも想像でしかないのだけれども・・・

 

 

この市長さんは、これまでの人生「だいたい真ん中」を歩いてきたんでしょうね。

 

だから、どうしたって端っこに寄ってしまう人のことは解らないんじゃないかと。

 

 

ときに・・・

 

 

ベルカーブ(正規分布)というのをご存知でしょう。

 

例えば、IQ についてとかで、よく見ると思います。

 

 

 

IQの平均値は100であり、85–115の間に約68%の人が収まり、70–130の間に約95%の人が収まる。

 

 

 

ぶっちゃけた話、学習指導要領に沿った学校というのは、概ねこの「真ん中」68%にとって程良いようにできてます。

 

精一杯頑張ったとしても、それでも、おそらくは95%に入る人までしかカバーできないんでありまして。

 

もっと言えば、IQ としては68%に入っていたとしても、その「IQ」自体、様々な「知能」⎯⎯言語性(知識、類似、算数、単語、理解、数唱)、動作性(絵画完成、符号、絵画配列、積木模様、組合せ、記号探し、迷路)⎯⎯等の平均値でしかなく、そのうちのどれかが、突出して高かったり低かったりすると、それだけでも、その子にしてみたら、やっぱり様々な困りごとに直面するわけで。

 

そこから浮いてしまう子、こぼれてしまう子というのは、必ず存在するのです。

 

「言ってはいけない」部類の話ですが、それは神様の思し召し⎯⎯生まれつきによるところが確かにあって、努力とか我慢とかでどうにかなる、というようなことばかりではないのです。たぶん。

 

一応確認しておくと「IQ の平均値は100」というのは、「IQは、平均値を100としている」の意味です。なので、俗に言う「天才(ギフテッド)」とか「障害者(チャレンジド)」とかも、平均からどれくらい離れているか、相対的な話でしかありません。

 

 

件の市長さんには、これまでの決めつけ、思い込みを脇に置いて、それこそ現場を、というより、其処に存在している「人」を実際に見て、行政の長として、何ができて何ができないのか、よ〜く考えてもらいたいなあと思います。

 

 

こちら、市長発言より前の記事です。

 

(中日新聞10/15-23面)

 

 

そしてこちら、フリースクール云々で思い出した小説『ギフテッド』です。

 

 

国内トップの大学を卒業し一流企業に就職したものの退職、現在はフリーランスの翻訳者として慎ましく暮らす凛子。姪の莉緒は、読書と昆虫が大好きで論理的思考が得意だが、融通が利かずコミュニケーションに難がある、危うい小学生だ。莉緒の中学受験に伴走することになった凛子は、周囲の期待にうまく応えられなった自分の半生を振り返る――
 

頭がいい女子だから、いくつもの幸せを受け取れなかった。そんな私が、彼女の背中を押していいのだろうか。

 

 

 

ということで・・・

 

フリースクールに公金を入れる入れないはともかく、そこに携わる大人、そこにしか居場所を見つけられない子供達を全否定するのは、それは違いますよね。

 

・・・くらいは言っておきましょうか。

 

 

おまけ。

 

 

 

 

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マスメディアではあんまり取り上げてくれないのだけれど・・・杭州アジアパラ競技大会から。

 

男子日本代表は決勝でグループリーグで唯一の黒星を喫した韓国と対戦。前日のイランとの準決勝と同様に、ライバル同士の対決にふさわしく死闘が繰り広げられました。その結果、日本が47-45で競り勝ち、2010年の第1回大会以来となるアジア王座奪還を果たしました!