昨夜のお客さんはアメリカから来られたご夫婦。


旦那さんは日本を離れ四十年になるという。


お母さんが高齢なので、白人の奥さんと今回十八年ぶりに来日したらしい。


今まで京都奈良を始め、主な観光地は行ったことがあるので、妻籠にしたそうだ。


若い頃画家を目指していたそうだが、子供も出来たのに食べられないので、建築士の資格をとり設計から施工までを手がけているとか‥。


奥さんはフランス文学の博士号を持っているらしく、地元の教育委員をしているらしい。

そのお二人に妻籠の歴史や成り立ちをお話するなかで、「売らない・貸さない・壊さない」の三原則を話した。


すると、様々な質問とアイデアを出してきた。
特に、空き家対策について、貸す上での制約の仕方を具体的に話されたり、大学教授などの文化人はこういう土地に住みたい人が多いから、少し離れた場所に住宅地を作れないか‥など、たくさんの提言をされた。
「私達はアイデアを考えるのが好きなんです」と、おっしゃっていた。


それらの提言は妻籠においては目新しいものではないので、出来なかった理由を私は挙げたのだが、さらにそれを打ち破って前に進もうという積極性があって、私は圧倒された。


さらに、私が

「小さな民宿なのと金儲けが目的でないので民宿だけでは食べていけない」と話すと、

「息子さんは何をしていますか?」と聞く。

「息子は近くの町の会社に勤めています」

「息子さんと協力して、様々な仕事をつくりだして、通年お客さんを呼べるようにしたらどうですか?」等と言われた。


《民宿だけで食べていけないから勤めに出て行く》という発想でなく、《もっと人手をかけて仕事をつくりだし、民宿だけで食べられるようにする》という考えはすごいと思う。


 私も、趣味の詩吟がほどほどの趣味なら良かったのだが、年間110日~130日ぐらい出かけ、その中で30日から40日ぐらいは平日や日曜日がつぶれる。

そういう詩吟優先の生活ではとても言われるようなことは出来そうもない。


そんな生活をほとんど文句も言わず、支えてくれる妻は本当に良く出来た女だと思う。