片想い | 徒然コオロギ庵~旅する似顔絵師~

徒然コオロギ庵~旅する似顔絵師~

一年の半分を旅に過ごす似顔絵師コオロギの日々の雑記。趣味の古墳巡り&地質巡り&車中泊アレコレetc徒然とだらだらと書き尽くします

日記を書くのに1月もかかりました。

書いては消して、消しては書いて、

こんなに時間かかったのは初めてやね。



そう、

ちょうど1ヵ月ほど前、行ってきたのです。

被災地に。

愛する東北に。


大学時代から何度も訪れて、

「日本で旅したなかで、どこがよかった?」

と聞かれたら「東北!」と答えるほど大好きな東北。

東北を旅しなかったら、日本の旅の面白さに気づかなかったとも思います。

春夏秋冬、どの季節も静かに、強く、美しい東北。




今回の震災で、その大好きな東北が大きな被害にあったわけで、


阪神大震災をわりと近くで体験し、大学で地学を学ぶことを決め、5年間(夜間なので)学んだのに、

絵を描いたりふらふら旅をする日々で、

もし、ちゃんと研究の道に入っていたら、少しでも役にたてたのではないか?


いや、絵を描いているからこそできることがあるのではないか?

なんで医者や自衛隊にならなかったんだ?

絵を描いたところで命は救えないじゃないか?


と、旅の楽しさを教えてくれた大好きな東北になにもできない自分に苛立ち、


いつか絵を描くことで、力になれる時が来る!

と自分を説得したり、

いや、待っている暇があったらボランティア行けよ、


いやいや、その前に、いま、ここでやるべきことがあるだろう、


と自問自答にだらだら時が過ぎることが何よりも腹立たしく、


そんなある日、

ボランティアに行った知り合いのブログを読みまして、

「とにかく現地に!」

という思いをズシンと受け取り、


「とるものも手につかず」
「松島の月まず心にかかりて」


という「奥の細道」のフレーズが頭のなかをぐるぐる回り、

「観光もボランティア!」という言葉をテレビで聞き、


「とにかく行こう!」

ようやく腰をあげた次第です。


時同じく、同じ心持ちに溢れた柳川姉さんと、
テントむしに画材詰め込み、一路北へ。



復旧したものの、ひびだらけ、補強工事でガタガタな東北自動車道を走り、

自衛隊車両、ボランティア車両とすれ違い、


テレビで見るよりも生々しく痛々しく、広大な範囲の津波の跡、


つぎつぎ現れるニュースでよく目にした被災地の地名、

そんな光景を目の当たりにし言葉を失いながらも



ひとまず思い出の土地、宮城県松島へ。


凹む土産屋のシャッター、

「応援ありがとうございます」の看板、

観光客に笑顔で震災当時の話を何度も何度も繰り返す食堂のお姉さん、

「元気に営業中」の看板さげてお客様を呼び込むお姉さん、

津波の被害を感じさせない極楽浄土を思わせるお寺の美しい庭園、

美しい普段着の尼さん、


愛する東北のそんな光景、

そのすべての風景がいとおしく、

なにもできないけど、すべてを一つ一つ抱きしめたい!そんな心持ちでした。




五大堂、瑞巌寺に手を合わせ、


テントむしを更に北へ。


東松島、、石巻、、


凄まじい被災の爪痕の中を走る、大阪ナンバーのオレンジ色テントむしの間抜けなこと。。


夕暮れのコンビニ、つなぎに長靴姿のオジサンの、震災の片付け帰りにコンビニでビールを2、3本買って帰る姿、


まだまだ瓦礫だらけの町の川で、練習するボート部の学生。


たくましく生きている人びと。


「ただの冷やかし、野次馬になってはいけない」



と意を決しつつも、おっかなびっくりしながら避難所をたずね、

避難所の人びとの似顔絵を描きました。


自分の絵でいいのか?

絵で何か力になれているのか?


不安、葛藤。



今年のゴールデンウィークで似顔絵を始めてちょうど10年。

その間、ひしひしと感じてきた「似顔絵」の持つ力、ただそれだけをただただ信じて、


描きました。



「写真の似顔絵も描けますか?」


津波で流された中から必死に見つけて、かき集めてきた写真。


「家族そろった写真がなくなってしまったので、似顔絵のなかだけでも家族そろいたい。」


もちろんその写真に写っている方は、生きている方もいれば、亡くなられた方もいるわけで、


皆さんの似顔絵に対する思いに、

自分の発するどんな言葉も、嘘臭く、軽く流れていくだけで、


ただただペンに想いを込めて、、


「描いてあげる」でもなく、「描かせていただく」でもなく、


もっといえば


「描く」という言葉でもしっくりこない、


「祈り」のような、、行為。






帰り道も、帰ってからも、


「行ってよかった」

「いや、自己満足じゃね?」

「似顔絵でできることがある」

「自分の絵でいいの?」

「このタイミングで行ってよかった?」

「それよりもまずボランティアじゃない?」


と、再び自問自答の、嵐。

まとまらない答え。

迷走する気持ち。

すべて含めて今の自分だからしかたない。



でも、とにかく行ってよかった!

反省点や次に繋げる改善点もまだまだあるものの、

誰が何とか 言おうと、行ってよかった!


「みんなも行っておいで」

なんて簡単に言えることではないのですすめないけど、


また近いうちに、何かしらの形で行きたいと思います。



松島にあった芭蕉の句碑。


「朝よさを 誰がまつしまぞ 片心」


奥の細道の旅では、芭蕉は松島で 句を詠んでいないのに、

この句はなんだろう?

帰ってから調べてみると、


奥の細道の旅に出る1年前に松島に憧れるあまり詠んだ句でした。


朝も晩も松島のことを思っている。まるで片想いする誰かがそこで待っているかのように。


「松」と「待つ」をかけてるのね。



愛する東北へ行きたくて行きたくて。


そんな自分の気持ちにドンピシャで笑いました。



今回、柳川姉さんと一緒で、本当によかった。感謝!本当に感謝。
心強く、楽しく、ミラクルも少々(笑)


一人だと心細いよね。

東北に行きたいけど、どうしたらいいかわからない、、。

そんな人はたくさんいるんだろうな。


ぜひぜひ声かけてみてねー。


一緒に行きます!


東北のすばらしいところ、たくさん知ってます(芭蕉色強めですが(笑))




なんて、1ヵ月も考えて書いた日記だけど、まだしっくりこないねー。

難しいねー。



とにかく前へ進もう。そうしよう。