報道されたことは覚えていないくらいだから、特に驚くほどのことではなかったのだと思う。
きっと組織という組織はどこも似たようなものなのだろうと思うし、
そんなこの国にはとうに失望しているから。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
徒党を組めば何でもできるが、一人では何もできない人間の集まりだ
大勢に紛れてしまえば、ひとりひとりの顔が見えなくなり
皆で背負えば、罪や責任の重さが軽くなると思い込み
やがては罪の意識も責任も全く感じなくなってしまう
そんなふうに押し流されて、
一体この国はどこまで本流を逸れてしまったのだろう。
今や曲がった流れが本流になっているのじゃないだろうか。
この本は
それでもまっすぐ流れる清流が細々と存在していることを知らせてくれた。
熱のこもった筆致は、
冷静な読者に多少距離を感じさせるかもしれない
しかし確実に
少しずつ諦めることで鎮静化させたつもりの怒りを思い出させた
怒りに対する相手や周囲の冷めた目までも一緒に感じることができる
個人の前に組織は強い
この世はどれほど理不尽に溢れていることか!
エネルギーを浪費するだけで、なにひとつ変えることなどできないと、
押さえ、忘れた振りをしてきた自分の怒り
実際には消えていたわけではなかったらしい

多数であることが力を持つならば
この国はなぜ悪い方にばかり振れてしまうのだろう。
その最たる見本となっているのは、
この国の最高機関や最高権力者たちなのではないかと思えてならない。

清流を守った著者と著者を取り巻く人たちの勇気とエネルギーは尊敬に値する。
が、果たしてこちらが多数派になる日が来るだろうか…