朝ドラ「虎に翼」面白いですね
伊藤沙莉ちゃんのお芝居は勿論ですが
女性陣も男性陣も俳優さんのお芝居が皆お上手で引き込まれます
今日はタイトルの通り
子の親権「民法第877条、子はその家にある父の親権に服す」
なんですと?
今の時代は子の親権は母親が強いことが一般的に知られています
母親に親権が付与されることはあり得ない?ですって?
現代とは180度違う展開に驚きました
昔の話とはいっても虎ちゃんの時代は昭和、戦後の話ですよね?
抜粋しますと
「明治民法において、本条には親権に関する以下の規定があった。戦後改正による家制度廃止に伴って大きく改正され、民法第818条及び民法第819条に継承された。
- 子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス但独立ノ生計ヲ立ツル成年者ハ此限ニ在ラス
- 父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ家ニ在ル母之ヲ行フ」
解説によれば
「親権の主体につき規定。明治民法第877条においては、まず、親権は父に属し、これを欠く時に母が有するものとされていたが、戦後改正で父母ともに有することとなった。」
民法第819条はこちら
なるほどですね~
戦後に子の親権は父から父母双方へ
そして母が強くなっていったことが分かりました
では何をきっかけにそうなったのか
「父権から母を含む親権へと初めて改められたのは1900年から施行されたドイツ民法においてであった。しかも、母が父と同じ権利を行使できるようになったのは、20世紀に入ってしばらく経ってからのことである。」
わぁ…やはり女の権利の歴史はまだまだ新しいな…
上村昌代さんという方の論文
「親権概念の歴史」から抜粋しました
とても興味深く目からうろこで面白かったです^^
いやいやいや…
家長の前の時代は家父Paterfamiliasの時代で
paterの意味を知って引くわぁ~
「宗教上においては、あらゆる神々に対して用いられ、法律上においては、何人の支配を受けないで、自ら一つの家族と所有地の上に権威を持する男子はすべてパーテルと呼ばれた。」
男子は神…
「決して父性という観念を含むものではなく、権力、権威、もしくは首長的尊厳というような考えの言葉である。」
「この家父はその絶対的権力に服する家子の上に、生殺の権(ius vitae necisque)をもち、子を売却すること(ius vendend)、遺棄すること(ius exponendi)もできたのであり、当初、家父は先に挙げた家子に対する絶対的権利をもっていた一方で、何人に対しても義務を負わず、扶養義務を負うこともなかったとされる。」
ひぇ~
権利だけが巨大化して義務を負わない男という生物…
それが自由婚姻の流行によって血族意識が高まり変わっていく…ローマの家長的権威主義による「絶対的な支配者と無能力者」という男女の図が、ゲルマンの家長主義により男にも義務が課され女にも権利が生まれ…やがて「子は保護するもの」という社会的保護主義の流れの中で「親主体の親権」から「子主体の親権」へと移り変わっていく…
なぁるほど
子を主体とすれば母が強くなるのも分かります
しかしこれもまた今変わろうとしてますねぇ…
共同親権問題は新たな危険な問題をはらんでいますねぇ…
「梅子さんの場合は?」とつい考えてしまいます
現代だったら親権は母親になるだろうけれど、子供たちの気持ちは
「はて…?」(って虎ちゃんの口癖が移ります)
子供の意思も尊重されるとすれば上二人は父親側、下は母親側って兄弟が分断されちゃうのかな…すると梅子さんは兄弟を引き離す決断ができなくて下の子も手放すことになっちゃうのかな…
さらに梅子さんが離婚した場合について現代だったらと考えてみる
梅子さんみたいに夫からも子供からもモラハラを受け続けている母は結構いると思うけれど、やっと勝ち得た「離婚」という自由でありリスタートの人生が「共同親権」という言葉で縛られたらどうなんだろう、夫は社会的に身分があり権力者、妻に暴力をふるうでもなしで子供たちも不自由なく暮らせている…という現状があったとしたら、世の中は何を支持するのだろう…「経済的自立」が「子の幸せ」という概念に影響するのかな…子は夫と夫の家族に洗脳されているような状態でも…?うーん…実際試合に勝っても勝負に負けた状態になっちゃうのかな…梅子さん…
まるで明律大学法学部の学生になって判例研究している気分です
私も「民法」「国際法」「家族社会学」など大学で学んでいたけれど
心の姿勢次第でもっと楽しんで学べたはずだったなぁ~
朝ドラにハマりやすい私…
「らんまん」の時には「にわか植物学を学ぶ人」になりましたが「虎に翼」では「にわか法学を学ぶ人」になります~
先の論文の中の以下の文章が心に響きました
「子も、家のものであるよりも、社会のものであると観念されるようになった。中川善之助によれば、「子は親の私物ではなく、社会の公物だとされ、子の福祉を保障することは社会全体の義務であり、権利であると考えられた。」
子は社会の公物…
「子に対する親の権利義務は、すべて子の福祉のためであり、親権法の基調は、家のためでも、親のためでもなく、ひとえに〈子のため〉でなければならないことになる。」
子に対する親の権利義務は子のため…
「それでもやらなきゃいけない」
って梅子さんが言いましたね
自分のためではなくて子供のために親が果たすべき義務
それは同時に自分が自分の人生を生きる権利でもある
最近は後者が強い世の中という印象です
個性の尊重、自分らしく生きる…
親である前に自分であれ…とか?
でも人には役割がある
社会の一員として期待される役割や
自らが選んだ道の中で果たすべき役割
子供がいる、親になるという人生を選んだのなら
子に対して果たすべき親の義務があるんだなと
梅子さんは決して自分のために好き勝手にさせてもらっている
「いいご身分」なんかじゃなくて
子供を正しく育てるという母の使命のために世の中と闘っている
泣けたぁ~
先週から描かれている虎ちゃんの周辺人物の人生の苦悩
全部泣ける
貧困の中での女性の苦悩と悲しみと怒り…よねさぁん
お金に翻弄され女であることに翻弄され人生を諦めた姉
女であることを憎み恨むが女という武器を使うしかない人生…
一方、甘んじている女側代表というのでしょうか
虎ちゃんの親友、花江の苦悩もまたわかる
嫁に来た女の苦悩と葛藤と自信の喪失と孤独…
あっち側とこっち側
「虎ちゃんには嫁に来た私の気持ちなんてわかんないのよ」
昔から「女の敵は女」だけど「女の味方は女」
5人の結束が強まっていくの気持ちがいいです
次は誰がクローズアップされるのかな
ドラマは日々のエッセンス
朝ドラ、大河、民法ドラマ大好き
今日もドラマに刺激を受けています~