テレビを見ても、YouTubeを見ても、催眠術といえば「人差し指が中に寄ってくる」とやっているものばっかりです。
アメリカのほうではマグネットフィンガー法と呼ばれているもので、催眠の世界では大昔からある方法です。
両手の指を交互に組ませ、人差し指だけを真っ直ぐに伸ばし、顔の前にもってくる。そして指先を開くと、伸ばした人差し指は自然と中に寄ってきます。
この自然現象が起きているときに、催眠術師が「指が中に寄ってくる……もっと寄ってくる……どんどん寄ってくる……」と声を掛けることで、いかにも催眠術にかかったように思わすことができる方法です。
催眠の技法には、暗示の力だけで現象を起こそうとするものから、少しだけ有利な体勢を作ってから暗示を与えるもの、そしてトリックを織り交ぜ、極めて暗示に反応しやすい体勢にしてから、あとの残りを暗示で補うものまでいろいろです。
その中で、このマグネットフィンガーと呼ばれているものはまるっきりのトリックであり、もっとも姑息な催眠技法です。
だから人差し指が中に寄ってくる可能性は高いのですが、催眠を受ける側がこのトリックのタネを知っていた場合、催眠に導くことができなくなります。
たとえ、「これは催眠にかかりやすいかどうかのテストです」と言っていたとしても、「催眠なんて結局こんな姑息なことをするものなんだ…」といった印象が被験者の中に定着してしまい、ラポール(催眠をかけるために必要な信頼関係)が壊れて修復するのが不可能になります。
これにより、かかるはずの人がかからなくなることもよくあります。
催眠術師の中には、もし相手が知っていたら、「確かに指は勝手に寄ってくるんですが、私は寄ってくるかどうかを見ているのではなく、寄ってくるスピードを見ているんですと言ってごまかせばいいんだ」などという人もいますが、そんな話でごまかせるほど被験者はバカじゃありません。
このセリフを言っている催眠術師を私は見たことがありますが、そのときの被験者はこの催眠術師をダダをこねる子供を見るような目で見ていました。
こんな子供騙しのような方法でも、催眠の技法として確立しているものなので私もいちおう教えていますが、この方法を教えるときには一つのルールを設けています。
それは、必ずほかの方法と一緒に教えるということです。
書籍などでは、「催眠認識」を説明する例としてとてもわかりやすいものなので、デメリットと一緒に書いていたりしますが、ワークショップなどで教える場合は、必ず基礎ができたあとで応用として教えるようにしています。
ところで、このブログを読んでくれている人は気づいているかも知れませんが、私はある時期から、この方法に対して否定的な記事を何度も書いてきました。
これには理由があり、うちのワークショップを受けに来てくれる生徒さんから「ここに来る前に参加したセミナーで催眠をかけるときは必ずマグネットフィンガーをやるようにと教わりました」という人がたくさんいるからです。
こういった人の話を聞くたびに、私はこのブログでマグネットフィンガー法を否定的に書いてきました。
さらには、「マグネットフィンガーをやらなければ催眠にかけることはできない」と教えられた人もいて、催眠をかける作業を台本上で覚えさせられたという人も少なくありません。
この人たちは、姑息なことを仕掛けていることがバレたときの恥ずかしさが怖くて思い切った施術ができないのです。
中には、怖がりながらも教えられたスクリプト通りに作業を行い、マグネットフィンガーの段階まできて、「これって誰でも起こる現象ですよね?」と被験者に言われて逃げ場のない恥ずかしさに襲われ、催眠を施すことが怖くなったという人もいます。
この業者の催眠セミナーを受けた生徒が、「被験者がトリックを知っていたらどうするんですか?」と聞くと、「このトリックを知っている人は全体の1割ぐらいしかいないから大丈夫だ」と言われたらしいのですが、これは被験者のほうが大人だから催眠術師のメンツを考えて、傷つけないように言わないでいてくれているだけです。
嘘だと思うのなら、マグネットフィンガーをやったあとで、「これ、実は誰でも寄ってくるの知っていました?」と聞いてみてください。おそらく半数以上の人が「はい、知っていましたよ」とか「そんな感じがしました」などと言うでしょう。
私が催眠を覚えたばかりの頃を思い出し、想像してみても、きっと暗示に失敗したときの恥ずかしさには堪えられても、姑息なことを仕掛けていることをその場で指摘された恥ずかしさには堪えられないと思います。
だから、「催眠をかけるときはマグネットフィンガーをやらなければいけないんだ」と教えられたら、神経の図太い人間しか生き残れないのです。
催眠の技法には、基本的なものだけでもざっと数えて50種類以上あります。それなのに、仕事で催眠をやる人間がなんでこんな子供騙しのような技法に執着するのか私には理解できません。
また、そういった教え方をするセミナーに参加した人たちから、「これがその台本です」と言って見せられたことがあるのですが、内容を見て私は驚愕しました。
被暗示性テストでマグネットフィンガーをやったあと、いきなり数を数えて催眠を深化させるようになっているのです。
通常は、「ラポール形成」→「被暗示性テスト」→「催眠導入」→「催眠深化」→「操作および実験」→「催眠覚醒」といった工程になるのですが、催眠を行う上で肝となる「催眠導入」の作業がすっぽり抜けているのです。
「催眠導入」の前後の工程は補助的な役回りです。肝心の「催眠導入」の作業がないので、最初に施すマグネットフィンガーのトリックにまんまと引っかかった人だけがこの人たちの良き被験者になるのでしょう。
もっとも肝心な部分がないのだから、成功率など高いはずがないんです。
この先も催眠の先生として指導を続けていくのなら、最低でも催眠導入のプロセスとやり方ぐらいは勉強したほうが良いと思います。ここの知識がないから子供騙しのような技法に頼らなくてはいけなくなるのです。
ちなみに、昨日も、Amazonキャンペーンに参加された方から「特典ムービーを観ましたが、人差し指が寄ってくる催眠をやらなくてもかけられるんですね」といったメールをいただきました。でも、マグネットフィンガーをやらなくてもかけられるというより、マグネットフィンガーをやる状況のほうがかなり限られてくると思います。
まず、相手がトリックのタネを知らないと確信が持てたとき、そして、被験者がマグネットフィンガーのトリックを知っていた場合でも、責任を負う必要がない場合に限って、有効な手段となるのです。
催眠をやることによって、報酬が発生するような責任のもとでやるようなものではないですし、少なくてもプロが得意になってやる技法ではないと思います。
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