時代の音声空間 | 絵画的世界の窓

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GALLERYからの景色

 

茶の間という言葉がふと浮かんだ。

 

いま、この言葉、生きているか?

 

企画展「ある日の食卓展-家族の歴史ー」のことをぼんやりと考えていた。

 

「お茶の間の皆さん」なんて、

そんな言い方をテレビの人はよく言ったのではなかったかな。

テレビを観てるこちら側に対して。

 

いまこの場にはない音や画像が、電波に乗って日本全国津々浦々まで届けられるまでは、

日本全国の何処も、その場にある音とそこから見える情景以外は存在しなかった訳だ。

 

中原昌也著「人生は驚きに充ちている」(新潮社)をぺらぺらしていたら、

古井由吉氏との対談で、古井氏が夏目漱石の時代はNHK放送のまえだから、

あの時代は今とは全く想像を違える音声空間であった、という指摘をされていて、

つまり「・・・ながら」があり得ない、ということか?

 

物音、のみ?

風、鳥の鳴き声、草木のざわめき、雨音、人の声・・。

 

自然と一体のより濃密なる空間。

 

Wikipediaによると、現在のNHKの前身、

日本ではじめて放送業務を開始した社団法人東京放送局は1925年設立。

 

漱石先生は1867~1916ですから。

 

食卓に届く音。

 

それはラジオやテレビからの音がかなり混ざり込んでいるはずで、

そのつもりはなくとも誰かと共有している記憶を持つことに通じるのだろうな。

 

「ある日の食卓展ー家族の歴史ー」。

この秋開催予定です。

こうご期待!

 

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