「吾輩は猫である」と天然痘ウイルス | 絵画的世界の窓

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「主人は痘痕面である。」という書き出しが

「吾輩は猫である」にある。

 

主人とは吾輩の飼い主にあたる珍野苦沙弥氏で、

まあ、漱石先生を重ねてしまう。

 

当の漱石先生は確かに痘痕面であったらしい。

ぼくのみている岩波文庫版の註にはそう書かれている。

 

痘痕とはあばたもえくぼの、あばたです。

 

顔に残る凹凸痕ですね。

 

で、これ天然痘ウイルスに罹った後、

治癒しても残る痕という意味なんですね。

 

天然痘の歴史は古い。

紀元前世紀にまでさかのぼるというから、

ウイルスは人類史とともに、なんだと改めて考えさせられる。

 

ワクチンを接種しても、その痕が免れないのが漱石先生の事例、ということ。

 

日本で本格的にワクチンが普及するのは嘉永2(1849)年とWikipediaにある。

 

漱石先生は

痘を前世紀の遺物扱いするけど、いやしたい気持ちはわからないではないけど、感染症

ペストの記述は以前にも触れたけど「吾輩は猫である」に既にあって、

この時期に読むとなおさら感じるものがある。

 

吾輩は夏目坂通りのねこ様展!

Cat Exhibition.

2月8日まで。

12:00~18:30.

火曜定休。

 

銅版画・安藤睦子、油彩・上原柳二、

イラスト・谷村あかね、貼り絵・はやしらん。

 

Galleryころころ

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