く。
冬道は飛縫の胴を穿ったその瞬間、こうなることを予測して剣を放り投げていたのだ。弧を描きながら、剣は冬道の右手に納まる。
反応が間に合わない。剣を握った右手は、今度こそ紙風船を叩き潰した。
冬道は勝ちを確信した。だが、飛縫の表情にはしてやったりと言わんばかりの笑みが貼り付けられている。
「ちっ……っ!」www.jnxpj.com
舌打ちしながら冬道は飛び退く。まだ終わっていない。このくらいで飛縫に勝てるはずがなかったことに、冬道はいまさらながら再度認識した。
たしかに飛縫の頭の上にある紙風船は叩き潰した。しかし、それは大将の証である色の違う紙風船ではなかった。
お互いの大将は競技が始まる前に伝えられることになっている。途中での変更は認められていないため、大将が変わることはない。
なのに、飛縫がつけていた紙風船は大将用のものではなかった。
「大将を変えることはできない。だけど、それを必ずしも大将がつけていろというルールはなかったけど」
「じゃあ他のやつが大将用の紙風船をつけてるのか?」
「それだとルール違反になる可能性がある。だからわたしの紙風船は、別の場所にある」サマンサタバサ
こんな屁理屈めいたことをやっている時点でルール違反のようなものだが、司会および解説の二人がそれを認めるはずがない。
楽しいという理由だけで飛縫の奇行は容認されている。
正式なルール以外ならば、今回に限ってはどんなことでも通用するようになってしまっているのだ。
「ならお前を倒すためには、この会場のどこかにある大将用の紙風船を探さないといけないわけだ……」
冬道は目を覆うように手を置き、空を仰いだ。
「おもしれぇ。だったらこっからは――全力だ」
目を見開いた冬道の瞳は真紅に染まっていた。
その姿はどことなく今朝の藍霧と重なるものがある。
腰を低く沈め、地につけた両足に力が籠る。限界まで溜め込まれた力が一気に爆発し、閃光を錯覚させるような速さで戦場を疾駆する。
「く……っ!」サマンサタバサ 財布
飛縫は即座に踵を返して追いかける。冬道は大将用の紙風船がどこにあるかわかっているかのように、真っ直ぐにその場所に向かっていく。
距離は開いていくばかりだ。どれだけ頑張っても、冬道に追い付くことができずにいる。
まるで――いまの冬道と自分のようだ。
冬道は変わった。やるべきことを見つけ、前に足を踏み出した。だからこそ冬道は変わったのだろう。
だけど、飛縫はどうだろう。目先