GO! GO! シングルス -4ページ目

GO! GO! シングルス

~夜な夜な徘徊中~

面会の家族や友人や同僚が立ち去った後の病棟では、

やがてすすり泣く声が聞こえてくる。

本当の長い夜はそこからはじまる。

『お大事に』と言い放たれた言葉が、

深夜の病棟を行き場もなく漂いはじめる。

何度目を覚ましても、まだ夜のままなんだ。

永遠に明けない夜がやって来たのかもしれない。

そしてそれが空恐ろしくなる。

『いつ頃退院できそう?』

屈託ない笑顔できいてくる丈夫な者たち。

そんな事わかれば苦労はない、そう言いたかったけれど、

一番知りたいのは自分だ、そう言いたかったけれど。

面会の家族や友人や同僚が立ち去った後の病棟では、

やがてやり場の無いため息が満ちてゆく。

明けない夜なんかないと信じていたあの頃の自分が、

懐かしくて情けなくて泣けてくる。



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歩かず済むなら越したことない
そんな靴もある そんな道もある


負わずに済むなら越したことない
どんな病も どんな傷でも


傷の深さを競うだなんて
バカなことです たぶんきっと


新しいワークブーツを汚しに行こう
まだ強がりでも良いから土砂降りを走ろう



傷のない人は味が無いだなんて
降りかかる火の粉が恨めしいんだろ


傷のない人が羨ましいんだろ
人形に憧れるネズミみたいだ


傷つかずに生きられるのは
素敵なことです たぶん だけど


オフ車は泥まみれの方がカッコいいよ
今は強がりでも良いからアクセルをあけろ



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