今朝(1/9)の日経新聞の社説に中途採用比率の公表の義務化についての話が載っていた。
政府は従業員300人以上の企業に対して、正社員の採用数に占める中途入社数の比率の公表を義務付ける法案を今年の通常国会に提出の労働関連法案に盛り込むとのことだ。
社説では、政府は企業の採用戦略にいちいち干渉すべきではないという論調だった。
企業にはそれぞれの経営方針や経営環境に従った採用戦略があり、中途採用比率を公表することで企業に政府からの圧力がかかり、人材戦略を歪める事になる、という主張であった。
確かにその通りだ。
だが企業は外から思っているほどに緻密な採用戦略を練っているだろうか。
そういう企業もあるかもしれないが、実際のところは経営者の一存で採用戦略が決まってしまうことも多いのではないか。
そして、経営者の一存というのも、自社のそれぞれの事業を遂行する際の業務のフローがどうなっているのかということから導き出されることはまずない。
単に人が足りないから、あるいは余っているから。
その人員の不足余剰も、労働者を部品と見做しているからかもしれない。
頭数だけ揃えればいい的な発想が抜けきれない。
求める人材も、とりあえず人がいればいいというレベルか、学歴実績ピカピカのスーパーマン(スーパーパーソン)かの両極端。
特に中途採用となれば、かなり求める人材というのをしっかり定義しておかないと、いつまで経っても決まらないとか、決まっても双方のミスマッチですぐに辞めてしまうの繰り返し、ということが起こりやすい。
世の中がバブルだから大量採用し、それが崩壊したら掌を返すを繰り返している。
人事担当も対応もそこに拍車をかけている場合がある。
いずれにしてもそこに大した戦略性は見られない。
だから、政府による干渉を受けてしまう。
採用戦略は、企業の方向性などの戦略があって、そこへのリソースの配分の戦略があって、それに対して必要な人材をどうやって充てがうかとなり、初めて出てくる。
採用戦略以前に、企業の戦略自体がない。
戦略と称しているものも、実際には戦略でもなんでもなく、せいぜい向こう2、3年の見通しを述べたに過ぎなかったりする。
むしろ政府による干渉がなければ、また企業は場当たり的な採用を繰り返し、その結果、働き方も一向に改善されず、パワハラやセクハラの温床も解消されないままになる。
あれだけのことを引き起こした大手広告代理店であっても、五輪の担当プロデューサーがパワハラを起こした理由で外されるなんてことがまた起きている。
企業が本気で変わる気がなければ、政府が業を煮やして干渉してくることはあり得る。
これは企業による自業自得なんじゃないか。
今の政府は色々とおかしいことも多いが、そんな政府に業を煮やさせている企業はなんなんだろうか。
そんな気がしたのですが、、、。
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