ここ数日、腹具合が思わしくない。

変なものを食べたわけでもないし、偏った食生活をしたわけでもない。

理由に心当たりがなくて、頭を巡らせていたら・・・・・・思い当たった。

「この本を読むストレスじゃない?」

 

 

ウィル・トレント・シリーズ11冊目である。

 

正直、誰に勧めていいかわからない。

シリーズのファンなら、とうに読んでいるだろう。

私が勧めるまでもない。

 

では初めて読む人におすすめか? というと悩むのだ。

新しい章の始まりだからキリがよく、おすすめであると、

あとがきで翻訳者が述べているが、うーん・・・・・・

 

まず人がいっぱい出てくる。

シリーズ読者ならば、

これが主人公、

これが彼の恋人、

これは主人公のパートナー、

これが主人公の恐ろしい上司etc...などとわかろうものだ。

これに、15年前の事件関係者、

今回の事件関係者、

先の事件関係者etc....などが加わって、

さらに、シリーズレギュラーたちの人間関係である。

この人とこの人が親友同士、

この人とこの人は親子、

この人にはややこしい前妻がいて、

この人は――え、別シリーズの重要人物?!

 

初めての人に勧められるだろうか?

 

そしてインターネットだ。

XかTwitterかなどという問題ではない。

レディットやらワードプレスやらという、馴染みのないものが出てくる。

『「レディットみたいな感じだ」』(342頁)

ウィルは説明したつもりらしいが、わからんわ。

 

さらに薬の名前が出てくる。

フェンタニルで記憶障害が起きるとか、

ベンゾジアゼピンの症状はなんとかかんとか・・・・・・ややこしい。

病状やけがの症状なども出てくる。

全般性強直間代発作、心房中隔欠損症、統合失調症・・・・・・

漢字が並ぶ上にしんどそうだ。

 

かつ、テーマが重い。

被害者同士が語り合う場面があるのだが、

ああ、そうか、そうだよね・・・・・・と、読みながらうなだれる他ない。

 

1冊読む間は、体力の2割ほどを削られている体感だった。

 

 

それほど読むのがしんどい1冊だが、いいこともあるのだ。

少々のことではへこまなくなる。

冷蔵庫のプリンを家族に食べられたとか、

理不尽に八つ当たりされたとか、

座ってから忘れものに気づいてとりに行かなければならないとか、

そんな落ち込んだりイライラしたりして当然のことが、

平然と受け止められるようになる。

「こんなの『暗闇のサラ』に比べたら・・・・・・」

 

親しい人が落ち込んだりいらついたりしていても、こう言うことができる。

「たいしたことないよ。『暗闇のサラ』に比べたら」

現に私は夫に言った。

夫は未読だが納得していた。

読む私の様子に、なにかわかるものがあったらしい。

 

私は『暗闇のサラ』を皆には勧めない。勧められない。

ただ断言できる。読み応えはある。

文庫本で696ページ、厚さ2.7センチの大著である。

 

「それだけあったら、入院の時間つぶしに持っていこうかな?」

それは絶対に勧めない。

入院にも通院にも、病院に行くには絶対に勧めない。

 

それ以外の方は自己責任でどうぞ。

楽天ブックスへはこちら。

シリーズ順番はこちら