「月夜に消えた男」・・・
なんだか、幻想的な感じがする。
月の輝く夜、霧の中に姿が消えていく男――
だが、読んでいていくと、ふと思う。
なんというか、たしかにそうだが、しかしこれは・・・
「アレだな」と結論づけるしかない。
アガサ・レーズンのシリーズは、やはりアレなのである。
主人公アガサの行動としておなじみなのは、
気になる男性に向けて、
なりふり構わず突っ走ってしまうところだ。
ミセス・ブロクスビーでなくても、
読者は毎回やれやれと息をつくしかない。
「アガサったら、また――」
しかし私は思う。
恋愛というのは――異論はもちろんあるだろうが――
自分の馬鹿さを知ることではないかと。
相手が笑ったら天にも昇る心地がして、
相手が目をそむけたら地の底に落ちる心地がする。
こんな自分がとんでもない愚か者だと知ることこそ、
恋愛だと思うのだ。
クサリヘビ(ヨーロッパクサリヘビ)
すると、アガサは恋愛のただ中にいることになる。
毎回毎回、凝りもせず。
だからこそ、アガサだなと思う。
コンテストに買った物を出し、
嫌なヤツのメイドを引き抜く。
余人が躊躇するようなことをあっさりやってのけるアガサ。
人の頬を張り飛ばし、
ほわわんと乙女の空想をし、
夜は人知れず涙をこぼすアガサ。
だからこそ、読者はアガサが好きなのだと思う。
いいなと思う男性に、躊躇なく突き進んでくれ、アガサ!
ため息をつきながらも、私は応援するから!
『アガサ・レーズンと月夜に消えた男』は、
登場人物が多く、めまぐるしく舞台が変わる。
表紙のかわいさに惹かれて、気軽に手をのばすと、
後悔するかもしれない。
その場合は、じっくり読み直すことをおすすめする。
シリーズの初期から読んでいくのもいいかもしれない。
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