シャルロッテ・リンクを初めて読んだのが、つい先日、
『裏切り』である。
たいそう面白かったので、シリーズの続きの出版を楽しみにしているのだが、
過去の作品はさほど関心が沸かなかった。
それがである。
我が積読山脈の裾野に、上下きっちりあるではないか!
というわけで、早速読んだのであった。
結論を言えば、面白かった。
しかし、上巻は少々きつかった。
5組の夫婦、カップルが出てくるのだが、
それについてのあれこれが描かれる。
10代の恋、夫婦の仲、
さらには親子のもめごと、
カップル同士の仲 etc...
いやいや、そんなに描写されましても、ええと・・・・・・
読む支えになったのは、いきなり一人殺されている場面だ。
それから少々過去に戻って話が描かれる。
いずれこう進んでいくのだという、言わば予告があったから、読み進んでいけた。
予告通り、いや、予告以上に事件は起こり、
面白くなっていく。
誰と誰が夫婦なのかは、メモしたほうがいいだろう。
誰だっけ? がなく読んでいけて、私はとても楽だった。
舞台はヨークシャーで、主な登場人物はドイツ人だ。
作者シャルロッテ・リンクはドイツ人である。
13才の時に旅行で訪れて以来、イギリスに夢中なのだそうだ。
『・・・・・・世界じゅうのほとんどどの地図にも載っていないここスタンバリー村に立って、・・・・・・』(上 22頁)
この『沈黙の果て』も、先日の『裏切り』も、
いかにこの殺人が行われたかという、
トリックを暴くものではなく、
なぜ殺人をしたのか、をテーマにしている。
「ミステリーにはトリックがないと」という方には向かない作家なのだろう。
しかし面白い。
ベストセラー続出の、ドイツの国民的作家というのも無理はない。
ぜひ一度読んでほしい。
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バー二ーの活躍があったら、なおよかったなあと思う。