「で、どうされますか?」



江戸川弁護士が言いました。

「奥さんが作成された回答書はほぼ完璧だと思いますので、このまま先方の弁護士へ郵送かFAXされてもよいかと思います。

確か、本日は着手ということで来られたかもしれませんが…

この内容であれば、我々も特に必要なくご自身でも対応可能かと思います。

・・・着手金もお金がかかりますからね。

あ、もちろん法律相談はいつでも受け付けますから、何かあった時予約をして来てもらうスタイルでも大丈夫です。


・・・どうされますか??」






今日は江戸川先生たちと着手の契約をするつもりで意気込んで来ていたのですが、そんなことを言われ、今さら少し迷いが出てきました。




30万円 or 0円
(民事なので、弁護士の着手金は一律で30万円です)




支払えないことはないけど、やはり大金… 
一括で支払うの… ちょっときついな、、、




30万円 or 0円




弁護士の先生たちにも文章誉められたし…
もしかして自分で対応できるのかしら、、、?




30万円 or 0円





う~ん、、、、、
どうしよう~~~~~~(悩)




ぐるぐると頭の中で、天秤にかけて考えていました。



どうしよう、
どうしよう、、
どうしよう、、、


30万円 or 0円






・・・・・

その時、行政書士の道野いく子先生からの言葉を思い出しました。

「初動を間違えると挽回が難しいことがあります。」








はっ!!!


そうだ、向こうは仮にも弁護士だ!!
(アホだけど)


ちょっと誉められたからって調子に乗らず、ここは万事を取り、ちゃんと対弁護士の対応をしてもらおう!!!
何かあった時に守ってもらえるし、3人の弁護士についてもらったら何より
「心の安全」が保証されるではないか!!!!





私は思い切って言いました。
「あの… 着手をお願いします!!」



江戸川弁護士は頷きながら言いました。

「うんうん、そうね。
それがいいと思いますよ。

お一人で戦うのもね… 

・・・奥さん、今まで大変傷つかれましたよね




私は突然江戸川弁護士から優しい言葉をかけられ、目頭が熱くなり、涙をこらえました。


会議室に他に誰もいなかったら嗚咽をあげて泣いていたかもしれません。





「大変傷つきましたよね」



当たり前の事実。
そして、今まで誰にも言われなかった言葉です。


もちろん家族や友達たちは心配してくれ、一緒に怒ってくれたり、対策を考えてくれたり…
本当に感謝しています。


ただ、当たり前に事実を受け止めて心に寄り添うこと。
「傷ついたよね」とこの時、初めて言われた何気ない一言に心がじんわり温かくなりました。




・・・いや、何より自分が一番自分に言ってあげなかった言葉でした。


傷つき、怒り、戦い、気を抜かず、常に戦闘体制ONで生きていたこの半年間。


自分が自分に「傷ついたよね、辛かったよね」と寄り添うことができてなかったことに気がつきました。


叱咤激励こそしてきたけど、
自分が自分に優しく、心に寄り添うことはできていたかな。




そして、何より弁護士の先生にこんな優しい言葉をかけてもらったのは初めてでした。




江戸川弁護士の人間性や性格だと思いますが、五万といるクライアント、たかが1人のクライアントにここまで寄り添ってくれたことに
私は本当に… 本当に感動しました!!!





涙が溢れてきそうになったので、下唇を噛みながら「…はい…」と小さく答えました。