帰国間近 | 三面鏡7番目に映る

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中国四年目の生活

1230日(雪)前門へチャイナドレスを作りにバスへ乗ると、「携帯を失くした」とおばさんの叫び声でバスは警察が来るまで1時間ほど停車することに。乗客の中で文句を言う人は少なく、床に携帯が落ちてないか探す者ばかりであった。日本だったら、忙しい人ばかりなのでわざわざ一人のおばさんのために時間を費やさない。が、おばさんの叫び声とともに、混んでる車内の後ろの方から乗客の数名が「誰かおばさんの携帯に電話すればいい」、と提案する声が聞こえてくる。おばさんの顔さえ見てないのに、こんなに協力的な中国人に温かさを感じる。

  雪と言うこともあり、チャイナドレス屋さんはがらがら。北京唯一の国有企業のオーダーメイド屋さんで、一階で生地を選び、二階で寸法を測る。お店に到着した時点でへとへとで店員のせっせと寸法を測るのに身を任せてしまった。店を出た時点で卒業式以外では二度と着る事の無いチャイナドレスを作ってしまった自分に気づく。帰り道、寒さの中バスを待つ。足先は感覚無し。友達のくれたdoveのチョコレートを一かけ味わうと、甘さのうずの中に今日一日の出来事も滑り落ちてとろけ消えた。

1231日 体の異変のため病院へ。保険で交通費が支払われるため、タクシーでもうすぐ離れる北京の街並みを見送る。以前は幽霊屋敷のように明かりの灯らない高い建物にも明かりがちらほらあり、北京の不動産投資の溝も埋まってきたことを実感する。

11日 昼間スーパーへ買い物に。夜手洗いで洗濯していると二階から「警察呼んで!」と叫び声が。行ってみると、韓国人男性がロシア人にぼこぼこにされている。周りは見てるだけ。男の顔面は腫れ上がり、鼻血が流れる。私は急いでマキロンを探しに部屋へ。ガラクタを引っ掻き回してマキロンを取り出し、急いで持っていく。血を見るのは慣れてるはずなのに、恐怖を感じる。走って激しくなった動悸と同時に恐怖で息をきらす。自分にできること、自分にできること。。急いでビーチサンダルのまま外にでて、路肩の溶け残った綺麗な雪をかき集めて、ジップロックに詰めて、持って行く。「これで冷やして」と。

彼は、見知らぬ私に「鼻血が止らない」と訴える。無差別に人にすがる彼の気持ちは痛々しく私に突き刺さる。私は看護婦じゃないからどうしたらいいか。自分の無力さに腹が立つ。あとはあとは。。自分にできること。。部屋に駆け戻ってヒエピタを取り出す。急いで彼の鼻に貼る。あとはあとは、自分にできること。彼は震えていたから、手を握る。そのうち周りの韓国人が彼を病院へ連れて行く。私は一階に戻ってさっさと洗濯物の続きを済ます。部屋に戻ってベッドに座って、雪でかじかんだ自分の手を見て、冷たい暴力という恐怖をかみ締める。

12日 病院へ。

13日 卒論の直しが必要とのことで学校へ。明日までに直して提出。

14日 卒論提出する。天成市場で買い物。帰り道で駐車中の二手回収おじさんに家まで送ってもらい、コピー機を5元で売る。

15日 抜缶(吸い玉)をしに病院へ。中医の先生に中国最後の思い出に、背中に吸い玉のあざをこしらえてもらう。

1月7日 病院

18日 引越しの準備

19日 病院

110日 DVDを買いに「鼓楼」へ

111日 チャイナドレスの寸法を測りに「前門」へ

112日 衣類など荷物2箱船便で郵送。病院

113日 買い物「天成」へ

114日 「鼓楼」→「中村関」

115日 帰国まであと5日 動物園市場へ 

116日 病院

117日 卒業式予行。父母来中。

118日 卒業式

119日 「川底下村」へ

120日 完全帰国