なぜ、紫式部は源氏物語を書いたのか?
その謎解きを中心としたシリーズの二作目です。
第二子を懐妊した彰子は実家である土御門弟へ、里帰りしていたがそんな中、一条天皇・敦康親王がいる一条院内裏が火事で焼けてしまう。
彰子の産んだ第二子も皇子だったために本格的に一条天皇譲位させるために動き出す藤原道長。そして、あくまで敦康親王を天皇へと望む彰子の意思を汲み取った紫式部が光源氏の零落する姿を書き始めるのだが……。
『源氏物語あやとき草子(二) ―国母の女房― 』 遠藤遼著
記録によると一条天皇は火事にみまわれることが多かったようで(;^_^A
もちろん、現代とは違うのでそれは単なる火の不始末かもしれませんし、もしかしたら意図された放火かもしれません。そんな状況の中でいろんな場所を転々とする天皇って、ある意味では家臣よりも悲惨かもしれないとひそかに思う私。
そして、外戚としての力を揮いたい道長はいろんな形で一条天皇へ揺さぶりをかけてくる。彼が動いてくれなければ政はできないわけで、精神的に追い詰められますわな。でも、彰子も一条天皇も敦康親王を東宮にしたいという一点は譲ることはできなかったわけで、ある意味どろどろの状態ですね。
実際、彰子が敦康親王を育てていたわけで情はありますし。
そんな中で仕事や火事という軋轢で天皇を追い詰めていくというのが、ある意味では怖いですなぁ。親戚なのにね。
そんな状況でも紫式部は『源氏物語』を書き続け、光源氏が次第に零落していく姿を描き出すのですが、それに対して道長がクレームを入れてくるのが何とも。
これは『源氏物語』の根本とはなにを描いたものなのかということになってしまうので、そのあたりは人それぞれということでね。
そして、ストレスなどもあったのでしょう。一条天皇は崩御。そして、彰子は皇太后へ。時代は三条天皇へと移るまでが描かれています。
『源氏物語』を読んで、いろいろ参考文献も読んで、様々な小説も読んで思うのは、この時代の複雑さですかねぇ。後ろ盾がないと天皇でいることはできない。ある意味、大きな力を持った外戚がいるものが天皇になる。この辺りの人と人の駆け引きが面白いと感じる人はすっごく楽しい時代だと思うんですよ。
腹芸のできない私だったら宮中に勤めるかなったら、胃が痛くてたまらないでしょうし、物忌みとかいって休みそう(笑)
ありえないですけどね、なんにも取り柄がないから(-"-;A ...アセアセ