『平安人の心で「源氏物語」を読む』 | 風信子 

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 日本の代表文学である『源氏物語』

 五十四帖ある物語のあらすじの紹介しながら、当時の時世や天皇と后たちとの関係なども解説された良書です。

 

 『平安時代の心で「源氏物語」を読む』 山本淳子著

 

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 現在、私は光源氏の晩年に差し掛かった部分を読んでいます。『若紫上』ですね。

 

 古典を読むということと古典を学ぶということは全く違うことなのだなぁと改めて思いながら、こちらの著作を読ませていただいておりました。

 

 古文の授業といえば、活用形を学んだことが一番意識に残っていて、『源氏物語』も一部しか扱うことはできませんから、平安時代の代表文学で『あわれ』の文学ということばかりが記憶に残っています。

 

 一般常識を学んだという感じが今はしています。

 

 実際、自分で読んでいくとわからないことは山のようにあり、光源氏は何故源氏なのか? 藤原道長が紫式部を愛娘の彰子の女房にしたのは何故なのか? 読んでいけばいくほど謎は多くて(;^_^A

 

 目に鱗だったのが、源という姓が天皇の血族を意味するということ。そして、光源氏は藤壺更衣という身分の低い母親を持って生まれたために臣下となるのですが、その血の源が天皇にあるという意味での『源』であるというのが、そうだったのね!! と。

 

 因みに現在大河で活躍中の源頼朝は清和天皇が始祖でそこから十代目に当たるそうです(もうほとんど他人という気もしますが)

 光源氏は一代源氏となります。

 

 他にも王氏と呼ばれるいう一族などもいたそうです(こちらは在原業平の血筋)

 

 そして、紫式部は「源氏物語」を書いていたために藤原道長に見出されたというのも、この本で初めて知りました。

 しかも、ヒロインである女性・藤壺更衣のモデルが中宮定子だったというのも、ああ、と思うところでありました。

 

 定子は若くして亡くなりましたし、しかも彼女が亡くなった時は没落の身の上でしたものね。それでも一条帝は彼女を溺愛していましたし、そのことは知られていたことでしょうし、確かに藤壷更衣の立場などを考えれば、ヒロインのモデルといわれて納得です。

 

 光源氏が多くの女性と恋愛をして、自ら理想の情勢になるように若紫を育て、弘徽殿皇太后の思惑に嵌って流刑にされたり、光源氏の人生もまさに波乱万丈なのですが、それに多くの女性たちが哀切の形でかかわっていくのは、リアルでもあり、また末摘花のように醜くて貧しくても光源氏のような男性に出会うことができるというのは、当時の狭い社会の中で生きていくしかなかった女房達に人気が出たのはわかります。

 

 私も当時生きていたら、今以上に夢中になって読んでいたのかなとかも思います。

 

 家系図や当時の寝殿造りの図も掲載されていて、人物の整理ができましたし、読んでいて楽しかったです。内裏の図や衣装などもなかなかその手の本まで手が届かないのでうれしかったですウインク

 

 宇治十帖まであと少し、そこまでくればゴールには近い音譜

 

 頑張って読むぞビックリマーク