愛が重たい!「加門七海の鬼神伝説」 | 風信子 

風信子 

 いらっしゃいませ。こちらは読書日記中心のサイトになります。本を好きな方が一時楽しんでくだされば嬉しいです。

 「鬼」 どんなイメージを持つかと言われたら、多くの日本人の答えは角があり、金棒を持ち、虎柄のパンツを穿いておるという感じでしょうか。

  

 「酒天童子」 「茨城童子」 「鬼女紅葉」 「大江山の鬼」 様々な鬼に対するこれでもかという加門七海さんの愛情がこもった一冊。

 私も鬼は嫌いじゃないですが……。 

 加門さんの鬼への愛が重たいかも(^▽^;)

 

 「加門七海の鬼神伝説」 加門七海著

 

image

 

 私の中での鬼にイメージは朝廷にまつろわない人々の集団というところです。実際にそうした人々に土蜘蛛(この著作の中でも扱われています)等の差別的な名称をつけていたことは事実ですし、蝦夷などもその代表格でしょう。因みに蝦夷では阿弖流為が大好きなのですよ、私はラブラブ

 

 「鬼」それぞれの伝承や言い伝えを丁寧に紐解きながら、語られる物語はとても面白かったですが、愛が重いあせる

 

 源頼光率いる四天王がダメダメ集団でもいいのですが、(うん、いいの、いいの)、他の本でこんな紹介のされ方はしませんよ、おなか抱えて笑ってしまった爆  笑

 

 あくまでも主役は鬼なのですからね。

 桃太郎が大嫌いなのも分かる。

 

 そーいえば、真説桃太郎的な話って太宰が書いたんだっけ? それとも芥川? 覚えてない( ̄▽ ̄;)

 昔話の桃太郎のような話ではなくて、桃太郎は人間に被害をもたらすこともなく平穏に暮らしていた鬼を理由もなく襲撃して、女性には乱暴をし、宝物を奪い取るという話なんですが。(石川賢さんがコミカライズしてたよね、はっきり覚えていないところはご勘弁を、読んでいてうわぁと思ったのは事実汗

 

 視点を変えれば、ころりと世の中の秩序は変わります。鬼というのはその象徴のような気もします。

 

 その辺りは「酒天童子」や「茨木童子」のところで楽しんでほしいと思います。

 

 個人的に好きなのは「鈴鹿御前」と田村麻呂の話ですね。このお二人、仇敵同志だったのに、めでたく恋愛結婚。そして、鈴鹿御前は朝廷と夫のために力を貸すのですよ。貞女の鏡ですねぇ。

 

 茨木や戸隠等の地名に関わることや、明日香村の巨石遺跡に関することまで網羅したこちらの一冊は鬼に関する入門書かも。楽しく読めます。

 

 ここで初めて鬼に興味を持ったら、小松和彦先生の「鬼と日本人」や馬場あき子先生の「鬼の研究」を読むとさらに楽しめると思います。

 

 加門七海先生は「河童」専門かと思っていたのですが、「鬼」も溺愛されていたのですねラブラブ 素敵!!

 

 元々、権威とか振りかざす人が苦手ですし、判官贔屓の私なので、鬼が好きなのも自然なことなのかもしれないですね。(でも馬場先生の「鬼の研究」は手に入れるまで、相当、悩んだんですよね~)

 

 久々の加門先生の面白民俗学、十分堪能させていただきました。楽しかったです音譜