最初に結論から言うと、

「PTA会費」からの学校園への寄附寄贈は違法行為です。つまりしたくてもできない訳です。



理由は、下記2点です。


①PTAが自発的な寄贈を行っていたとしていても「PTA会費」からの寄附寄贈は、各家庭への「割当て」に該当するため、強制的に徴収していなくても地方財政法第4条の5(割当寄附の禁止)に違反します。

例え総会で決議されていても、各会員が寄附の是非や金額を任意に選択できないため割当寄附と見なされます。


地方財政法第4条の5(割当的寄付金等の禁止)

国は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む)するようなことをしてはならない。


②寄贈を予算化している場合(総会議案書の予算案を確認すると分かる)は、会費への寄贈分の上乗せ徴収となり、会員の自由意思に反する行為として民法 90 条の「公序良俗に反する行為」に値します。よって寄贈は無効となります。実際に訴訟になり無効となった判例があります(※)


滋賀県甲賀市希望ヶ丘自治会による「赤い羽募金を自治会費に上乗せして徴収できるという総会決議」について無効を訴える訴訟 民法90条の公序良欲に反しており議決が無効となる判決が下された(大阪公判2007年8月24日)



以上が「PTA会費」からの寄附寄贈が違法行為である理由です。


そうなるとPTAから寄附寄贈できないじゃないかとなりますが、「PTA会費」から寄附寄贈しなければよいのです。

会費からじゃなく会員個人の「真の自発的な寄附寄贈」であれば可能です。


 例えば、寄贈を目的としたバザーや廃品回収などを行いその収益から寄贈する。寄贈物を事前告知した上で募金箱を設置し、各家庭から集まった金銭で寄贈する。などがあげられます。

 しかし、それは金額が目標を超えた時にどうするのかといった問題や、募金箱の設置・管理問題など簡単ではありません。寄附金を集める際は、寄贈する物品を伝えた上で集めていますので、お金が余ったからといって異なるものを寄贈することはできません。

寄贈品の足しになる程度の寄附金であればよいのですが、なんせ善意ですのでそこはコントロールできません。

なので結構めんどくさい感じです。

それでも集めるぞ、寄附するぞ、というやる気のある方はどうぞ。



ここでひとつ、寄附寄贈している場合確認してもらいたいことがあります。「寄附採納手続き」をしているかどうか。

やっていない所結構あります。

うちももれなくやってませんでした。


自治体(学校園)に寄附寄贈する場合は、所定の手続きを踏む必要があります。

これは学校園が書き、自治体に提出。自治体は寄附寄贈を受け取ってよいか判断し許可されれば晴れて寄附寄贈できるという仕組みです。


この手続きをしていないとどうなるかというと、PTAは寄附寄贈しているつもりだが、書類上貰ったという認識ではなく「借りている」という認識になります。

「借りている」ということは、破損が生じたらPTAが修理修繕し、事故が起きればPTAが責任を問われます。そして管理が必要な物品の場合は管理する義務も生じます。

さらに問題は、寄附寄贈されたことを自治体が知らない、ということ。

何かトラブルが起きたときは、学校園は自治体から見放されます。

よって、この手続は学校園にとっても大事なことなので必ずやっておく必要があります。


我が幼稚園PTAは、寄贈を予算化し毎年10~20万を会員に内緒で寄附寄贈してました。裏項目で予算化していたので会員は知ることはできませんでした。さらには、寄附採納手続きもしていませんでしたし、寄贈品の管理もしていなかったので非常にダメダメな状況でした。


上記説明を園とPTAにしたところ、寄附寄贈の一切が禁止になり、また、過去の寄附寄贈品の寄附採納手続きを行い、晴れて自治体のものとなり、管理を移譲することができました。


知らない所で勝手に会費から寄附寄贈され、管理は不十分、事故が起きても知りませんだなんてことは絶対起きて欲しくないです。