明けない夜は長い | まほろばピエロ~島田大翼のブログ~

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オペラシアターこんにゃく座の歌役者・島田大翼のブログです。

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先日、池袋のあうるすぽっとで「マクベス」を観劇した。花組芝居の方たちが何名か出演されている舞台で、「子どもに見せたい舞台シリーズ」と銘打ってはあったが、特に演出が幼稚なわけでもなく、むしろ大人が見てとても楽しめる舞台だと思った。ダンスやギャグも盛り込んであり、子供も喜んでいた。

この中で、マルカムは去り際にこういう感じの台詞を言ったと思う。「永遠に開けないと思うから、夜が長いのだ。」これが一番しっくり来る言葉選びかもしれない、なんて、聞きながら考えた。

さあ、イングランド王の御前へ行こう、
兵たちは待っている、暇乞いさえすればよいのだ。
マクベスは熟れた果実、一揺りすれば落ちる。
天使の軍勢はこちらの身方、われわれを励ましてくれよう。
出来るだけ元気を出してくれ、どんな長夜も、かならず明けるのだ。


福田恆存訳のマクベスでは上のように書かれている。もっとも一般的な訳かもしれない。松田聖子の「瑠璃色の地球」の冒頭の歌詞も「夜明けの来ない夜は無いさ」となっている。いずれにしても読み取れるのは希望、だろうか。



This tune goes manly.
Come, go we to the king; our power is ready;
Our lack is nothing but our leave; Macbeth
Is ripe for shaking, and the powers above
Put on their instruments. Receive what cheer you may:
The night is long that never finds the day.


これが原文。一番下の行が「どんな長夜も、かならず明けるのだ」にあたる部分。直訳すると「夜明けの来ない夜は長い」となろうか。「夜明けの来ない夜は無い」とはちょっと、感じが違う気がする。この点、「と思うから」を挿入して「夜明けが来ないと思うから夜が長い」とすると結構しっくりくるのだな、と感じた。一方、松岡和子は「明けない夜は長い」とそのまま訳し、「メタルマクベス」の劇中で森山未來が歌った。その名も「明けない夜はSO LONG」。

明けない夜は長い デス・フォー・ランダムスター! 
今年の風邪は長い デス・フォー・ランダムスター! 
つまらん芝居は長い デス・フォー・ランダムスター! 
明けない夜は無い デス・フォー・ランダムスター!




かっこいい。最後の最後には、客席通路の手摺りの上でやはり「明けない夜は無い」と歌っている。行くぞ、って感じがするね。