まだ私が20代前半

芸能系の仕事をしてた頃の話です。


芸能の仕事の中で、一時期怪談系の仕事を主にしていたのですが


怪談話を語ったり、いわくつきの場所でロケを行ったり、ラジオドラマを収録したり


どの仕事もおかしなことが起こらないことがないのが常でした。


その中でも印象深かったのが


怪談師ファンキー中村さんが語られている『魔守り乃虎』というお話をラジオドラマとして収録したときのことです。


怪談師のファンキーさんの中でも人気のお話ですが、なかなか語られることは少なく


何故なのだろうと疑問を抱いておりました。


その理由は簡単なことでした。


このお話を語ると、体調を崩したり、怪我、事故等に見舞われるからです。


その話を聞いても半ば半信半疑で台本を受取ります。


台本を読んでいても特にこれといった何かはないので私はだいぶ油断をしておりました。


収録当日


昼から始まった収録は、事務所にある小さなレコーディングルームで行われました。


マイクは1つしかないので主演の男性から順番に収録を行います。


自分の収録も終わり、何事もなくて良かったとホッとしつつ、仲間と収録したときの感想を語っていたのですが


何か違和感が…


徐々に身体が重くなっていく感じがしました。


私は座っていたソファーから動けなくなり、しだいに腕が重くなり、気づいたら指まで動かなくなったのです。


もちろん顔の向きを動かすこともできず、自分の身体なのに思うように動かせない


まるで局部麻酔を打たれたときのようでした。


これはマズいと思ったファンキーさんが、とある方へ電話をかけて繋いでいました。


その方はファンキーさん知り合いの霊能者さん


手が動かせないので、電話を耳元に当ててもらいながら霊能者さんとお話をします。


「今の状態はどう?」


「これから気を送るからね」


「がんばって」


他にもいろいろ話してもらっている内に、指先から少しずつ筋肉が動かせるようになっていきます。


「終わったから切るね」と電話を切ってから


氷が溶けるような緩やかさでしたが、全く動かなかった体が自由になってくのがわかります。


何故急に動かなくなったのか…


今でもそれはわかりません。


もし可能性があるとしたら、語ってはいけないお話を紡いだことによっておこった怪奇現象だったとしか言いようがありません。


その収録中での現象は私だけだったような記憶ですが、その前後には、やはり共演者やスタッフさんまで怪我や体調不良等があったようでした。







ちなみに


気を入れてもらい動けるようになった私でしたが

あまりにも気が入りすぎたのか

次の日、朝早くから職場まで走ってもまだ元気がありあまる飛び跳ね具合でした。


『元気玉』があったらこんな感じなんだろうな照れ