「読んだ気になっちまってたなぁ」泣かせる ★☆☆☆☆
笑わせる ★☆☆☆☆
驚かせる ★★★☆☆
力溢れる ★★★☆☆
知溢れる ★★★★☆
発行年月 2007年10月
『「読み」の整理学 (ちくま文庫)
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【141冊目の面白い本】 『「読み」の整理学』 外山滋比古
【本の内容】
取扱説明書や役所へ提出する書類を読んで、何がなんだか分からない、という経験はないだろうか?自分の知らないこと、未経験の内容の文章は読むのは難しい、それに比べ、知っていることが書かれている文章は簡単に読める。実は読み方には二種類あるのだ。論文など未知を読むベーター読みと既知を読むアルファー読み。頭脳を刺激し、読書世界を広げるベーター読みを身につける方法とは?リーディングの新しい地平をひらく書。
【著者について】
外山 滋比古(トヤマ シゲヒコ)
1923年生まれ。東京文理科大学英文科卒業。『英語青年』編集長を経て、東京教育大学、お茶の水女子大学などで教鞭を執る。お茶の水女子大学名誉教授。専攻の英文学に始まり、テクスト、レトリック、エディターシップ、思考、日本語論の分野で、独創的な仕事を続けている
外山滋比古氏、最近本屋に行くと、思考の整理学というものがよく置いてありますな。こちらは「読み」の整理学。
著者の指摘は
読書には既知のことを再度読む、アルファー読みと、未知を読む、ベーター読みがある、と。
最近はアルファー読みばかりであり、読者の後退を示している。
自己啓発本が典型だが、すでに知っていることを手を変え品を変え読むことで、
再度勇気付けられる、だがそれだけ。
そうではなく、未知を読むのだ。古典をひっとうに、まずは読む。
何度も読む。そのうちにようやっと理解がなされる、これが読書による真の発見、効用でございます。
勇気付けられる指摘。
作者の意図と読者の読み取る意味は常に不一致である、と。
また、それでよいのだ、と。
全く同じ考えを持つ人間は存在しないし、それが創造的読書であるから。
実際にそうした読者の添削による昇華の例は数多くあるという。
T.S.エリオットの『荒地』もそうとのこと。
僕自身、『荒地』は知りませんが、古典とのことでございます。
エピローグに「モモタロウ」解読として、
著者のモモタロウへのベーター読みを試みた箇所がある。
それによるとモモタロウは近親結婚の危険さを暗示し、
人身掌握に長け、高度な政治力を備えたモモタロウ像が浮かび上がる。
面白いですなぁ。これぞ創造的読書。
いつも読者の意図を正確に読み取ることを是として学んでいた気がするので、
なんだかほっとしますな。
ともかく、読むと一口にいっても、
皆それぞれのやり方を実践しているのは事実でございましょう。
色盲とか色覚異常だとか言われる現象と同じく、
自身の読み方が非常に特異であることも考えられます。
アルファー読みばかりで満足に至らぬよう、気を張って読書をいたします。
この本を読むにつけ、いよいよ多読ということをあきらめざるをえない気がしてまいります。やはり読書とは時間がかかるもの。
幅広く、かつ深く。これは1人では難しい。
1人に詰め込むよりも、達人の集合体。世界地理を1人が薄く広く語るのではなく、
日本に詳しい人、アメリカに詳しい人、ロシアに詳しい人、それぞれ集い、例えば「食」というテーマについて語り合う。
この実現がブログでの夢であります。
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