ピアニストという蛮族がいる 「ピアノ、やろうか」
     

 泣かせる ★★☆☆☆

 笑わせる ★★★☆☆

 驚かせる ★★★★★

 力溢れる ★★★☆☆

 知溢れる ★★☆☆☆


 発行年月 1995年03月

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【132冊目の面白い本】 『ピアニストという蛮族がいる』 中村紘子


【本の内容】
西欧ピアニズム輸入に苦闘した幸田延と弟子の久野久。師は失意の晩年を送り、弟子は念願の渡欧中に自殺をとげた。先人ふたりの悲劇を描いた6篇と、ホロヴィッツ、ラフマニノフほかピアノ界の巨匠たちの、全てが極端でどこか可笑しく、しかも感動的な“天才ぶり”を軽妙に綴った8篇。『文芸春秋読者賞』受賞の傑作。


【著者について】
中村 紘子(ナカムラ ヒロコ)
三歳でピアノを始め、慶應義塾中等部三年在学中、日本音楽コンクールにおいて史上最年少で第一位特賞を獲得。翌年NHK交響楽団初の世界一周公演にソリストとして抜擢され、天才少女としてデビュー。以後、日本を代表する名ピアニストとして活躍する。『チャイコフスキー・コンクール』(中央公論新社)で第二十回大宅壮一ノンフィクション賞、『ピアニストという蛮族がいる』(文藝春秋)で文藝春秋読者賞を受賞




ピアノには全く縁がございませんが、面白い本でございます。


ピアノを1日6~7時間、3歳から弾き続けてやっとなれるのがピアニスト。
そりゃあもう莫大な時間、お金をつぎ込んでプロになるわけです。
それくらいやればね、とお思いかもしれませんが、
私どもサラリーマンも1日8時間以上も仕事に従事しているわけで、
何かしらのプロになっていなければおかしいといわれるかもしれません。
何のプロと胸を張って言えるでしょうか・・・


一般論としてピアノ演奏における基本技術は12~16歳くらいが山場らしい。
この時点で演奏家として個性、魅力を発揮し始めていないとものにならない、
なんて厳しい世界なんでしょう。


そんな特異な世界なので、面白い人間がわんさかいると。
名ピアニストのホロヴィッツは言った。
「世界のピアニストには、3種類しかいない。ユダヤ人とホモと下手糞だ」と。
むちゃくちゃですな。


読んでいて改めて感じるのは、
世の中には対象物が本当に見えている人と、見えていない人がいる。


僕自身で言えば、この適性テストが粗悪な作りかそうでないか、
このビリヤードプレイヤーが素人か達人かはある程度見える。
だけれども、この高校生ピッチャーが将来大成するかどうかは見えない。


本の中にある話だが、
ある大物ピアニストの晩年での公演で、
曲の中でところどころ音を飛ばしまっているところがやはり中村氏にはわかる。
恐らく一般素人にはわからない。


ましてや中村氏は指の大きさからくるミスであることまで見える。
いっぱしのマニアであれば、音を飛ばしたことぐらいはわかるかもしれないが、
その巨匠が指が大きくて、そのためのミスだということまでは見えないだろう。


やはり「見える」の前提には自身の体験がある。
ピアノを数十年間引き続けているからこそ、そこまで見える。

物事を批評するには、自身の体験を通じ対象物に通暁していることが必要だ。


だからきっと小説を批評するには、小説を書いたことがないと、
この展開はすごいとか、この表現は思いつかないだとか、
そうしたことが感覚的に染み込んでこないんだと思う。

人間の幅を広げるにはやはり体験を積み重ねることが大事なのでございましょう。


それから、鍛錬する上での教育の重要性。
とにかくピアノは誰に教えてもらえるかが非常に重要なようだ。
教わらないと鍛えられない死角が存在する。


何事も謙虚な姿勢で教わることが大事なんでしょうな。
さて、今週末は初心者ゴルフレッスンに参ります。



「いつも~、ありがとうございますぅ」

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