前回に引き続き、「ゆがめられた考え方」についてみていきます。
⑥拡大化と縮小化
自分の能力や周りの人の能力を正当に評価できず、自分はダメ人間で、自分ができないことでも
周りの人は皆出来ると思ってしまうことです。
私たちは、他人や、他のグループと争うときに、相手の力を過大評価することがよくあります。
しかし、うつの場合の拡大化は、自分の失敗についてとか、自分が未熟だということで起こります。
何かに失敗した時、周囲の人はそれを知っている、彼らは自分の失敗を触れ回り、自分の人生を
ダメにするだろうと考えます。
つまり、自分の失敗を取り返しのつかないことと考え、さらに、その結果も過大に考えてしまうので
す。
一方、自分のしたことを過小評価するということもあります。
昇進した、ボーナスが多くなった、仕事を褒められたなどというときに、素直に喜べないのです。
「そんなことは誰にも起こることだ。自分がよいわけではない」と自分を卑下し、矮小化してしまうの
です。
前回に引き続き、「ゆがめられた考え方」についてみていきます。
⑤結論を急ぐ
自分が小さな失敗をしたり、約束の時間に少し遅れたりしただけで、周りの人は自分を嫌っている、
みんな自分に悪い印象を持っていると結論付けてしまうことです。
これには2つの例があります。
第一は「相手の心を勝手に読む」ということ、もう一つは「未来を予測する」ということです。
相手の心を勝手に読むという例には、次のようなものがあります。
あなたが道を歩いているときに、知り合いの人とすれ違ったとしましょう。
あなたは挨拶しようとしたのに、向こうは知らん顔をしているとします。
あなたは「あの人は私に会いたくないのだ」とか「あの人は、人前で私など相手にしていないのだ」
と憶測します。
しかし、相手の人は本当に自分に気が付かなかったのかもしれないのです。
このように、勝手に相手の心の内を読もうとして、相手の心を否定的にとらえると、あなたは相手に
敵意を持ったり、その人と付き合おうとしなくなります。
第二は将来や周囲の出来事の予測です。
あなたが誰かに電話をしたとしましょう。
その人は留守で、留守電に「電話をください」というメッセージを残します。
電話に出た人にメッセージを託すこともあるでしょう。
ところが電話の返事がありません。
あなたの反応は「あの人は私と話したくないのだ。裂けているに違いない」と相手の心を憶測します。
そこで「もう電話なんかするもんか、もしこちらから電話をしたら、向こうは自分を馬鹿にするに違い
ない」などと考えてしまうのです。
前回に引き続き、「ゆがめられた考え方」についてみていきます。
④肯定的なことを無視
他人の誉め言葉を、「あれはお世辞だ。本当は別のことを考えているに違いない」などと勘ぐって、
何を言われても素直にうれしいと思わないことです。
良い情報を無視するならまだしも、自分を傷つける情報に変えるのですから始末に負えません。
例えば、誰かがあなたの洋服とか持ち物を褒めたとします。
「あの人はいつもお世辞を言うから」という一言で、他人の、気分をよくする言葉を否定してしまい
ます。
うつの感情を生む考えの本質は「自分はダメだから」という気持ちです。
仕事がうまくゆかない、試験の成績が悪いというときには「自分はダメなんだ」と考え、仕事がうま
くいったとき、試験の成績が良い時でも「誰でもこのくらいはできる」とか「これはまぐれで、どうせ
また失敗する」と考えるのです。
そのような人は自分にとって良い出来事を無視したり、喜べなかったりということを何度も繰り返
します。
それは人生を豊かにする重要な手立てを失ってしまうことです。
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③知的フィルター
過去に起きたこと、今起きていることについて、自分に都合が悪そうなことのみを取り上げて、心配
したり、自己批判したりしてしまうことです。
ある女性が会社で、ある事業計画の案を提出しました。
ところが後でよくよく考えてみると、いくつかの部署からの案を盛り込まなかったことに気が付きまし
た。
その後ある会議で、同僚が彼女の発言にクレームをつけたことがありました。
彼女は、「みんなが自分を非難している。自分の案がダメなことを知っているのだ。同僚といっても
冷たい人ばかりなのだから、自分の失敗を望んでいるのだ」と考えたのです。
しかし、数日後に彼女の案は採用されました。
つまり何かあったときに、悪い面だけに目を向け、そのことだけを考えるようになることが知的フィ
ルターです。
うつの時には、悪い情報だけが入ってくる色眼鏡で世の中を見ています。
自分がそのような見方をしていると自覚していないので、入ってくる情報を正しいと思ってしまうの
です。
現在、いじめや過労、パワハラなどでうつ状態に陥り、自殺や精神疾患に追い込まれる人が後を絶ちません。
そんな状況の中、2015年から始まったストレスチェックは、実施者と会社が精通しているのではないかとの
恐れを抱くことから、形骸化しています。
うつ病の世間での認知が昔と比べて大幅に上がったとはいえ、いまだに家族や友人にうつ状態の苦しさ、つら
さを訴えることができない人がたくさんいます。
うつピア会では、自分がもううつ状態になってしまうんじゃないかと恐れているうつ予備軍から、もうすでに
精神疾患に冒されていて愚痴の吐きどころが見当たらない人たちが集まり、自由に発言し、自由に提案を出来
る場にしたいと考えています。
ちなみにピアとは仲間のことです。
詳しくはこちらをご覧ください。
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②単純化
何か問題が生じると、その理由を十分に検討せず、単純に結論付けてしまうことです。
よく使われる例を述べましょう。
若者が同じ部署の女性を食事に誘います。
しかし、女性は「今日は用があるから」と断ります。
すると男性は「自分は彼女に嫌われているのだ。だから用があると言って断ったのだ。もともと自分は
女性に好かれないのだ。だから一生一人で生きるしかないのだ」と、どんどん結論を硬直化、単純化
させてしまいます。
彼の考えでは、彼女は自分の誘いに応じなかった、今日だけでなく、これから誘っても食事には行か
ないだろうという結論を出してしまいます。
さらに世の女性はすべて、自分を嫌うだろうとまで考えてしまいます。