フリッツ・ラング監督の有名作品です。
2時間15分という長尺です。
1943年制作。
昭和18年です。
日米開戦が昭和16年。そんな頃に米国では立派な映画を撮っていたのだから、国力の差の大きさが実感されます。
映画の舞台はチェコスロバキア。
ナチスの総督ラインハルト・ハイドリッヒは非情な統治を行っていた。
工場ではチェコ人がサボタージュで抵抗、150人が処刑される。
総督が劇場で狙撃され、その犯人を向かいの花屋にいた娘、マーシャが目撃する。
犯人はタクシーを待たせていたが、運転手がガソリン浪費の罪でつかまる。
外出禁止令で行き場を失った犯人は、マーシャの家に花を持っていき、ヴォニャックと名乗ってかくまってもらう。
マーシャは結婚前で、ヤンという恋人がいた。
「死刑執行人」と呼ばれたハイドリッヒの暗殺は一切描かれず、暗殺されたという噂が広まるところから始まります。
このあたりは、いまいちわかりにくい構成です。
犯人も、レジスタンスかスパイなのか、いまいちわかりません。
ナチスの行政府。
「ヒトラーに仕える者はドイツに仕える者、ドイツに仕える者は神に仕える者」という標語が英語で書かれています。
英語だと違和感ありまくりですね。
実際にあった標語なんでしょうか。
ナチスは、チェコ人に暗殺犯を出させようと無作為に人質をとり、マーシャの父の教授もその一人になります。
「チェコに裏切り者はいない」と言う教授。かっこいいです。
しかし、父親を救いたいマーシャはごちゃごちゃと策動して……
……マーシャ、殺したくなるくらいイライラさせてくれます。
息をするように嘘をつきまくります。
対して、花屋の婆さんはがんばります。
チェコ人は頑固、なのだそうです。
ドイツ人専用キャバレーがあるのが面白いです。
突撃隊の旗。
確か、西ドイツではかつて、ナチス関連の旗や紋章は禁止だったはず。
この映画も、西ドイツでは見られなかったのでしょうか。
人質のチェコ人が仲間に向かって裏返しのVサインをしています。
国により時代により、サインの意味はかわってきます。
今では裏ピースは卑猥な意味を示唆する煽りジェスチャーです。英米ではしないように!
後半、チェコ人の裏切り者を処するために、民衆が団結します。
このあたりがとても痛快です。
……そやねん!
久しぶりに見たのですが、とても面白かったです。
これは超おすすめです。
名言
・自由は戦い取るものだby教授