脳内出血で倒れ、右半身に麻痺が残ったものの「左手のピアニスト」として復帰された舘野泉(たてのいずみ)さんは有名です。しかし、舘野さんは麻痺の右手を回復させたのではありません。左手のためのピアノ作品を演奏されているのです。
さて、同じように脳梗塞で左半身に麻痺が残ったジャズピアニストが、倒れる前のことを思い出しながら両手指で鍵盤を叩く練習を続けて再びジャズピアニストとして復活した本田竹広さんと言う人がいます。
この二人は対照的です。
麻痺手を諦めた人と、回復させた人だからです。私は脳卒中で麻痺した手は麻痺足と同じように回復すると考えています。麻痺手は回復すると信じてリハビリする必要があります。
回復を信じさせることと回復の為のリハビリを強力に指導しなければならないのは療法士です。特に作業療法士は不自由でも両手を使った生活動作を会得させる責任があります。このことを忘れて片手動作をさせるのは責任逃れではないでしょうか。
ピアニストは指先の細かな作業を必要としますが、細かい手指の動きは小脳に記憶されているのです。だから、あのジャズピアニストは両手指で鍵盤を触ることで手の回復を促したのです。
麻痺手を諦めずに回復させる努力をしましょう。ジャズピアニストの本田さんのように。なお泉館野さんも右手の訓練は続けられて、自宅では両手でピアノを弾くことが出来るようです。でもプロですから人前では弾かないそうです。
闘病生活〔1〕生と死の淵をさまよって
http://www.aomori-net.ne.jp/~yamagen/honda/interview6.htm
闘病生活〔2〕奇跡の復活
http://www.aomori-net.ne.jp/~yamagen/honda/interview7.htm