脳卒中患者の家庭復帰とは、脳梗塞や脳出血などで体が痲痺した人の手足を動くように訓練させて、元の家庭生活に戻ることを言う筈です。
痲痺した手足を訓練すれば少しずつ自分の意志で動かせるようになります。痲痺の改善です。
手足は完全に元の状態に戻らなくても、元の生活に近い生活動作をすることが出来ます。
元の生活に近い生活動作とは、両足で歩き両手を使うことです。
リハビリ医療関係者は、麻痺の回復度合いに関係なく退院させて自宅に戻すことを家庭復帰と言うのでしょうか。
ある患者が、装具と杖で室内移動が可能となり、片手動作での日常生活が辛うじて出来るようになって家庭復帰させることにした。
さて、この人は自宅に帰って元の生活に近い生活動作が出来るのでしょうか。
装具と杖で室内移動し、痲痺手は動かないままで片手動作である。
何とか生活できることと、元の生活に近い生活が出来ることとは全く異なる。
痲痺は治らないのが当たり前なのだから、装具と杖で室内移動し、痲痺手は動かないままだが、片手動作で殆どのことが出来るから十分である。
この様な考えがリハビリ医療関係者の常識なのでしょうか。
退院させて自宅に帰すことと家庭復帰させることは異なるのです。
退院させて自宅に帰すために、療法士と医療ソーシャルワーカーが患者の自宅を見聞して、住環境整備の指導を行うことがある。
介護認定があれば、次のような家屋改造を行うときに補助金の交付を受けることが出来ます。
階段・廊下・トイレ・バス等の手すりの設置。
浴室・脱衣室・階段などの滑り止め措置。
住宅内の段差の解消。
「家庭復帰のための住環境整備」と言えば聞こえが良いが、手足がそこそこ回復しないから元の家庭で生活することが出来ないのである。
階段・廊下・トイレ・バス等の手すり、浴室・脱衣室・階段などの滑り止め、住宅内の段差の解消は、健康な人であっても邪魔にはならない。
しかし所謂バリアは家庭内だけではなく社会には多いのである。
家庭復帰だけではなく、広く社会復帰するためには様々なバリアに打ち勝つだけの回復が必要なのである。
もちろんバリアフリーやユニバーサル社会が実現することを否定するのではありません。
リハビリの本質が家庭復帰と標榜するのであれば、家庭復帰に見合うリハビリを行うべきだと考えるのである。
ちなみに、私は介護認定の申請はことわったから、住宅改造は何もしなかった。
私は1階の和室で生活しているし、2階のベランダにも行く。階段の手すりは発病前から付けているが、今でも手すりを頼りに上がることはない。