今、テレワーク疲れやテレワーク難民のニュースが後を絶たない。実際に予想通りの日本のテレワーク事情が見えてきた。
昨日もこういうWebニュースを見かけた。
“在宅勤務は生産性ダウン”と感じる国調査で断トツトップ。日本は、先進国の中でテレワークの導入が一番進まない国の一つであるのは私も同感だ。
だからと言って、現時点ではそれほど問題だとは思っていない。10年後もそうだと社会問題になるかもしれないが・・・。
今は狭義のテレワークを考えるのではなく、もっと広くオンラインを使って仕事を変える、メリットを見出すという方向に日本は転換する時期だと思っている。
日本はそういう意味では、海外からのテクノロジーやしくみを日本風にアレンジするのは昔から上手だ。しかも日本の特徴はコテコテのアナログだ。これを武器にオンラインを取り込むのがベストと考える。だから時間もかかる。
すでに、何度かブログでも書いたが、
日本の場合はそもそも未体験ゾーンのテレワークを突然の在宅勤務から始めざるを得なかった。
これは、水に慣れていない大人にいきなりクロールで25メートル泳ぎなさい。と言っているようなものだ。(実際私が30代前半で長いブランクののち水泳を始めたときがそうだった。)
本当は、在宅勤務だけでない本来のテレワークから徐々に始めていれば良かったのだが、今回ばかりはやむを得なかった。
始まってしまったものは仕方がない。急激な行動変化や環境変化の反動で、在宅勤務を良くないものと決めつけたり、その連想でテレワークも“いまひとつだ”と思っている人も多いと思う。
一方ですでに20%ぐらいのビジネスパーソンや経営者はテレワークを使いこなしている。
この差は何だろうか?
使いこなしている人は、もともとオンライン的な仕事をしていたにすぎない。自律してどこにいても誰とでも仕事ができる人達だ。
それは、必ずしもネット環境やオンラインでのMTGに精通しているという意味でもない。
オンラインで仕事をする時代が来ているという事を当たり前に思っていただけである。
水泳で言うと水には慣れていて、特定の泳ぎ方を知らなかっただけである。
この水に慣れる。とはどういうことか?
私はオンライトとオンサイトのバランス感覚を養うことに尽きると思う。
私は、このオンサイトとは現場という意味があるがリアルとか直接という意味も含めて使っている。アナログ感覚と言ってもよい。
私の会社ではテレワークは、“オンラインビジネス”の一つだと思っている。オンラインビジネスの定義はこうだ。
インターネットなどを使ってオンライン上で人と人がつながり、営業、商談、セミナー、研修、交流会等を実施する仕組みの事である。
私自身は、ITの仕事を長年やってきたし、俗にいうテレワークは創業時から当たり前にやってきた。
もともと、27年前に仕事スタイルと会社経営の方法としてSOHOワーカーを選択したことが出発点だが、本当の意味でオンラインに精通したのは新興国中心の海外ビジネスの経験からだ。
海外経験がある方ならわかるが、オンラインを使うとメリットが沢山ある。
デメリットやストレスを感じる前に、メリットを様々体験できる。
セミナー、商談、通訳、同行、商談会などきりなく効果がある。
海外ビジネスの最大のハードル、それは日本からの物理的な出張だ。
経営者は特にコスト感覚には敏感だ。
自ずと出張回数に制約がかかる。
海外出張のコストを減らす方法はないのか?
と考えると出張回数を減らしてオンラインを使おうとなる。ごく自然の流れである。
それで具体的にそれでうまくいくのかが気になる。
現地に行く目的、行かないといけない理由は何か?
現地の街の様子や生活の様子の観察と体験から始まり、時には居酒屋で食事をして街を歩き生活体験をする。これは、BtoCのビジネスをするのであれば必須事項と思われる。
もう一つはキーパーソンとの面会だが、毎回直接会ったほうが良いに決まっている?
本当にそうだろうか?
私は経験上全くそんなことは思っていない。
一回も会わないのは、ビジネスとして成立しないが、会うと言っても商談ではなく食事会やゴルフだ。これは、流石にオンラインではできない。
新興国は特に信頼関係を構築する場所は会議室ではない。
また、通訳や同席者の問題も海外ではつきものである。実際、私は英語は得意ではない。もちろんベトナム語もできない。
仮に私が英語が得意でもベトナム人の経営者が皆英語が得意なわけではない。
必然的にベトナム語と日本語の通訳の同席が必要になる。
私は、この同席という行為の代案を考えて随分前から実行している。
ベトナムの地形をご覧いただきたい。
日本とよく似ていて縦長である。
私達の拠点はこの地図の通りだが、通訳などの主要スタッフはホーチミンいることが多い。ハノイ出張に通訳を連れていくと飛行機などのコストがかかる。だから、私はipadでのオンライン通訳を普通に使ってきた。
また、日本にいる社員の同席も同じようにMTGに参加できる。
今、日本では在宅勤務中心のテレワークの中で、議論されているのは基本的に社内のMTGをオンラインで進める時の課題である。
この使い方がオンラインのすべてのように思われてしまっているところが、もったいない。
もちろん、社内のオンラインMTGにしても、やり方次第では有効だがマイナス要素も多々ある。このあたりは、ブログに書いて来たことも含めて近々に発売予定のテレワークの極意にエッセンスを凝縮しようと思っている。
話は最初に戻るが、
仕事でオンラインを使うと考えた場合、専門家でなくてもあれこれ考えると幾つでも浮かぶ。セミナーや研修・教育は定番だろう。
専門分野ではオンライン診療やオンラインカウンセリングなどもある。これからオンラインのサービスは一気に増える。
世間では、ようやく営業もオンラインにという動きが見えてきた。私は大歓迎だ。保険販売などもオンライン営業の動きがすでにある。
この営業という仕事、実際に会わないと商談が成立しないのだろうか?
そう思い込んでいる中高年のビジネスパーソンは大半だろう。でもそれは違う。時代は変わった。
今話題のオンライン飲み会も一考の価値がある。
オンライン飲み会は物珍しさもあって少しのブームになった。
ただ、普通の人は何度か体験したら飽きるしあまりしたいとは思わないだろう。
私の会社では10年以上前から試しているが、いまでもやるとしたら、特別の納会とか表彰パーティぐらいだ。かつてやっていた私達のオンライン飲み会の原則はこうだった。
期初などの大事な幹部MTG(もちろん、オンライン)の後、まずはオンラインで30分ほど集合で打ち上げの乾杯。その後、それぞれの拠点や場所で飲み会。仮に一人だったとして、飲み屋に行く。冗談半分の取り決めだが、やはりオンラインとオンサイトの融合がベースだ。シニアの集まりの会を五反田の居酒屋で何度も行ったが、そこにベトナムからオンライン参加での企画も現地から実施もした。
営業に必要なものはフェイストゥフェイスで信頼関係の醸成?
そのために何度も客先に足を運ぶ?
今は、代替えできる方法がいくらでもある。
例えば自らの情報発信をオウンドメディアで行い、自分の事を相手に伝える。
どうしても必要な場合は食事会もありだろう。
私はこの数か月ビジネス上、当たり前にしていた飲み会が皆無だ。
その分の時間を別の事に使っているので、未体験ゾーンとして楽しみながら新しい発見も沢山あった。そして最近ずっと考えている。生活環境が仮に戻ったとして、元のビジネスのやり方に戻るのか?
答えはNOである。できれば進化したいと思う。
1週間毎日の飲み会を週一回にしようと考えている。
そう。
“とっておきのオンサイト”
を積極的に作っていく。
そうすることによって、様々なメリットが生まれる予感がしている。
今でもそうだが、久しぶりに行く居酒屋、久しぶりに行く公園、久しぶり直接会う友人のなんと新鮮な事か。
とっておきのオンサイトはオンラインでの活用とのバランスをとるための使い方になっていくと思う。
以上