教え子から電話。
ビデオ通話だ。
画面には白髪の渋い男性。
「先生!僕の事わかりますか?」
周りからは
「覚えてないよ!」
「わかれへんて!」
「忘れてるって!」
との声が聞こえる。
教え子達が何人かで集まっているのだろう。
ビデオ通話が当たり前になってから、この手の電話は最近多い。基本生徒達からの電話はありがたいが「誰かわかる?」の質問に嬉しい悲鳴を上げる事もある。
この生徒達は既に廃校となった住之江高校の11期生、もう卒業して32年50歳。中には卒業してから一度も会っていない生徒も多い。
「ほら、覚えてへんよ。」
ビデオの向こうで茶化す取巻きをよそに本人は残念そう。
正直に聞く
「ごめん、誰?」
取巻きの一人がたまりかねて
「先生、M」と教えてくれる。
「おー!Mか!」
「M.Eか!!」
とフルネームが自然に出てくる。
今度はこちらから聞いてやる。
「お前ホンマにB中学のM.Eか?」
ビデオの向こうの教え子はフルネームと中学までズバッと答えてもらえて
「ホンマにに嬉しい!覚えてくれてた!」と大感激。
“顔見て誰かわからなくてごめんな。でもな高校生の時のお前は忘れるわけないよ!”
これが私の本音。
私などか覚えていただけで、こんなに無邪気にはしゃぎ喜ぶ教え子に感動させられ、こちらまで嬉しくなる。
最初は誰か分からなかった白髪の渋い男性の顔がもう、高校生の時の顔に見え、可愛く見えてくるから不思議なもの。
喜ぶ君が僕は嬉しい。
何年経っても教え子の喜ぶ顔は自分の宝物。
これが教師と言うもの。
教師はそんな憧れを持ってなる仕事。
教師を目指す若者や先生方には、そんな喜びを味わえる密度の濃い学校生活を生徒達と過ごして欲しいとつくづく思う。
電話してくれてありがとうね。
もう一度言わしてね。
喜ぶ君が僕は嬉しい。
教師はそんな憧れを持ってなる仕事。


